麻薬漬けの日本経済と経営者

安倍政権の支持率は下がっているのだが、企業の70%は安倍政権が存続することを願っているらしい。調査対象は資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に4月4日─17日に実施され、回答社数は220社程度だそうだ。これを読んで日本の企業は麻薬漬けになっているんだなと思った。だが、いろいろ調べて行くうちに別の考えが浮かんだ。野党は3年間の総括をしっかりと行ったほうが良い。それで支持が回復する稼働かはわからないが、少なくとも今よりはマシな状態になるだろう。

企業経営が安定したと喜んでいる人が多いのは日本が出口のない戦略をとっているからである。日銀が市場から資産を購入しているのだが、この記事では18兆円爆弾と言われている。購入しているのは株価指数連動型上場投資信託(EFT)などの金融資産だ。

記事は株価の下支えのために金融資産を購入していると言っている。なぜ指標に連動する商品を買うと株価が上がるのかはわからない。この界隈の人たちには自明のことなのかもしれないし、あるいは別のメカニズムが働いているのかもしれない。いずれにせよ株価が押し上がることで富裕層と企業には恩恵が期待できる。

株価の上昇は、資産効果などを通じて個人消費を押し上げるほか、企業の資金調達環境やマインドの改善によって設備投資を促すことが期待できる

だが、実際には物価は期待しているほどには上昇していないし、企業も内部留保を蓄積している。つまり期待するような効果は出ていない。株価の下支えには別の目的があるか何かが間違っていて効果が出ていないのだろう。安倍政権は嘘つき政権なので実際の動機と説明が違っているということは十分に考えられる。

だが野党系にも日銀出身の人がおり、彼らが黒田総裁を論破できていないということは、すなわちそれなりには理論構築ができているということになるだろう。あるいはなんらかの想定や見込みがありそれを掲げている限りは政策が破綻しないということになる。

このニュースを見て行くと意外なことがわかる。実はこの政策を始めたのは民主党政権なのである。これは既視感のある話だ。安倍政権は悪事を働くときに自分から動いたりはしない。民主党政権が「決断した」ものを利用する。例えば南スーダンのPKO派遣がそうだった。TPPも自民党内の反対派を抑えるのに「もう始まったことだから」として推進された。

大企業が「株価が上がり」なおかつ「株主の監視の目が薄くなった」ことで恩恵を得ているのは間違いがない。さらに企業経営者たち安倍政権が終わることでこの政策が見直される可能性があることを知っているのかもしれない。

記事はいささか難しく書いているが、そもそも株価を日銀が支えていることはわかっているので、買い入れをやめますといっただけで株価が下がってしまう可能性が高い。だが、国際のような償還期間がないので、日銀が積極的に売る決断をしなければいつまでも持っていなければならない。この記事が「爆弾だ」と言っているのは「いつかは売らなければならないが売ると言った途端に株価が暴落する可能性がある」からである。

この記事にはわからないこともある。多くの国では金融緩和政策が終わりを迎えている。だからうまく行けば日本の金融もそれにつられて自然と上向く可能性がある。そのあとで金融資産を売って規模を縮小しても構わないわけだ。しかし、記事は他の国が金融緩和政策をやめたら日本もやめなければならないので時間がないと言っている。これが理解できない。

一つヒントになるのは記事の中で使われている耳慣れない経済用語「飛ばし」だ。企業が業績の悪化を隠して別の会計に一時退避させることを飛ばしと言っているらしい。

飛ばしがいけない理由については個人的に記事を書いている人がいた。もともと損が出るはずだったのをごまかすのがよくないということのようだ。株価が不当だったということになり、その当時の取引の妥当性が全て失われるということである。つまり、損が出ていると知っていれば投資をしなかった人を巻き込むのがいけないと言っているのだ。

オリンパスの飛ばしについては別の記事がある。いずれは株価が回復するだろうという見込みの元に損出を隠したようだ。

このことから、飛ばしがいけない理由がわかる。企業の場合は法律が禁止しているから飛ばしはいけない。だが、国の場合には飛ばしをしてはいけないという法律はないようなので(だから黒田さんは次も総裁ができるのだろう)それが実質的にいけないことを証明しなければならないことになる。

一時的に国の経済に損出が出たことがわかるとパニック的な売りが広がる可能性がある。だからそれを保護してパニックが起こらない程度に損を均すという効果が期待できる。あるいはそうこうしている間に日本経済は回復するかもしれない。リーマンショックは一時的な問題だったわけだから、この政策に正当性がないとは言い切れない。と同時に「危機が去った」ように見えてしまうので、構造的な問題は解決できない。だから構造的な問題は温存されどんどんひどくなって行く可能性もある。

つまり、回復を織り込むならそれは必ずしも悪いこととは言えないが、構造的な問題を隠蔽するために行ったとしたら問題があるということになる。詳しくはわからないものの飛ばしがいけないのは弱い人間の心理が後者の可能性を否定できないからだろう。さらに付け加えれば「回復するのか、それとも原因が温存されるか」は誰にもわからない。今の日本経済の状況はまさにそれにあたる。

ロイターの調査に戻ると、日本の企業はこの変化が構造的な日本企業の弱体化であることを知っていて「その場しのぎがいつまで続けられるかはわからないが、少なくとも自分が役員をやっている間は続いて欲しい」と願っている可能性が高い。その意味で「麻薬のようだ」と思う。なぜならば、企業が業績の回復を期待するなら設備投資や人材投資が増えるからである。その意味でいうと統計というのは実に正直なのだ。企業は経済の回復に自信はないが、当座は以前よりマシになったと考えているのである。

そもそも、民主党政権はこうした副作用のある政策をなぜ始めてしまったのだろうか。今は政権批判ばかりしているので批判がない問題は「なかったこと」にされてしまう。だから、民主党にいた人たちがこのことを自発的に考察しないのはわかっている。しかも民主党系の野党は批判しかしないので支持が集まらない。

少なくとも民主党は自分たちが政権を手放してしまえば後になって悪用される可能性のある政策を実行していたのは明白なようである。その当時、十分議論しなかった可能性もあるだろうし、わかっていてやった可能性もある。このことを総括して国民の前に提示することは「政権交代ありき」の政治を日本に浸透させようとした人たちの責任だろう。

仮に彼らが自己反省の上で与党攻撃を行ったとすれば、それは今よりもはるかに説得力のあるものになるだろう。それは政党批判ではなく政策批判だからだ。希望の党と民進党はまた集合することに決めたようだが、政党の看板をころころ変える暇があるのなら、政策の総括も同時に進めて欲しいと思う。’

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