日本人はG7サミットの何に注目し、何に注目しなかったのか

G7サミットが終わったらしい。メディアのカバーがほとんどない代わりに盛況だったのはTwitter実況だった。成果を強調したかった安倍政権と反安倍人たちがそれぞれ盛り上がっていたのだが、気にしているのは「他人の評価」である。そして他人の評価を気にしすぎることで日本は国際的なプレゼンスを失いつつある。

安倍首相側は自分の参加によってG7の結束が強まったと強調するツイートを出した。この自慢ツイートが期せずして「安倍政権が全く会議の流れを把握していなかった」証拠になった。


この人の嘘は救い難いレベルに達している。実際にはトランプ大統領はその場から逃げ出すためだけに「安倍首相が良いと言った文言でいいよ」と主張したようである。安倍首相はそのことを理解しておらず表面上の対話だけを頼りに会議に参加していたことになる。

トランプ大統領はカナダを逃げ出したのだが、飛行機の中で自分が悪者になったのがよほど悔しかったのか、Twitterでカナダのトルドー首相を責め立て「首脳宣言を採択しないように指示を出した」とつぶやいた。ロイターはG7が共同宣言を出せなかったことを失望気味に伝えている。

すでにG7の役割は終わっているのだから合意に達することができなかったこと自体に驚きはない。すでに先進国だけで何かを決められる時代は終わっており、イアン・ブレマーはことあるごとに「現在はG0の時代である」と主張している。アメリカとヨーロッパの間の貿易に関する揉め事ももとはといえばトランプ大統領が支持者を慰めるための内向きな動機に基づいており、その視野に世界情勢に対する考慮もアメリカの国益もない。ただトランプ大統領のわがままを支持する人たちが一定数いる。これは安倍政権と同じ構造になっている。今や後ろ向きの「わがままにやって行きたい」という気持ちが民主主義を動かしているのである。

さらに、日本は「よくわからない」という理由で海洋プラスティックの問題についての合意にも参加しなかった。確かにこの問題についても英語のTwitterでは情報が流れてくるが、日本人が話題にしているのは見たことがない。事前に調整があったはずだから「よくわからない」というのはあまりにも酷すぎるように思えるが、もはや国際協調そのものには興味がないのだろう。

国際協調に興味がなくアメリカの顔色を恐れて何も言えない安倍政権は対話から逃げたのだろう。ところが日本のTwitterは面白い反応を見せた。ヨーロッパとカナダの首脳が集まって何かを話している席に日本が加われなかったのは「外されたのだ」という観測が出回った。中には安倍首相が英語ができないから参加できなかったとするものもあった。つまり反安倍の人たちもリーダーシップではなく「輪に加えてもらえない」という他人の目を意識した論調になっていた。

そもそもメディアは何も伝えなかった。昔から中身に興味はなく、首相が世界の一流の国のトップと仲良く写真を撮影している様子を流したいのが日本のテレビである。つまり、日本が先進国であるというのは「仲間に加えられている」からなのである。しかし、実績が全くないのでいつまでたっても先進国だという自信が持てなかった。今や世界の流れを決めるのは中国やロシアが加わった枠組みであり、対米追従を国是にしている日本はここから弾かれてしまうだろう。かといって、ヨーロッパにも仲間に加えてはもらえない。何がしたいのかさっぱりわからないからだ。

安倍首相にリーダーシップがなく、日本は何がしたいのかよくわからない。菅官房長官も安倍首相の説得にもかかわらず首脳宣言に加わらなかった(一度はOKを出したが数時間後に「ちゃぶ台をひっくり返した」)トランプ大統領への評価は控えると言った。その意味では政権の外交無策は国の害と言っても良いほどのレベルに達している。

しかし、それよりも気になったのは日本のテレビが当事者意識を失っており、G7サミットにそれほど関心を持たなかったということだ。日本のメディアは今シンガポールに熱い視線を注いでいる。誰もそうは言わないが、日本がアメリカに見捨てられないかということにのみ関心があるのだろう。

日本人は今までの国際的な地位を失うことを口にも出せないほど極端に恐れている。が、実際には国際的な地位を得るための努力は何もしないで、いつも誰かがなにかをしてくれることを期待している。一方で先進国のリーダーはそれぞれの足元の課題に加えて世界経済の維持に腐心しているので脱落しそうな国のリーダーに配慮をする余裕はないし、日本を先進国だとして持ち上げてやるような動機もない。このまま自分たちが何をやりたいのか決められないのなら日本はこうした協議の席から完全に外されるようになるだろう。