要望を聞くことの大切さと難しさ

実はアンケート欄が嫌いだった。フォームを設置しても閲覧数ほどにはレスポンスが集まらないので「無視されている」感じがするからである。だが、今回防弾少年団の記事に注目が集まっているので試しに置いてみることにした。検索でたくさんの人が訪問するのだが、いったいどんな気持ちで検索してくるのかがわからなかったからである。

フォームを設置したからといってすべての人の要望がわかるわけではないが、時々フィードバックを求めるのは大切だと思った。しかし、その大切さは当初思っていたのとは少し違っていた。アンケートフォームは読者サービスなのである。

今回のフォームは公共や政治についての態度について聞くものと、防弾少年団の原爆Tシャツ問題について2つ設置した。結果を軽くまとめてみたい。

公共や政治についての態度は当初予想した通り「現状の政治に満足できておらず」なおかつ「政治家は選挙区のことばかり考えているべきではない」というものが多かった。回答数はそれほど多くないので統計的には使えないが、約10名のうち1名は「専門家にまかせるべき」と回答し、自由回答として「課題は有権者が見つけるべきだが、解決策は政治家が作るべき」と書いた人がいた。

防弾少年団の方も約10名の投票があった。謝れという人と日本での活動をするなという人を合わせると80%になった。しかし、アンケートに答えてくれた人のなかで「防弾少年団を非難しようとして情報を集めに来た」との回答は2つしかなかった。擁護する情報が集めたいという人が2つあり、予断なく情報を集めたいとしたものが3つだった。1名は「擁護したいが予断なく情報を集めたい」と複数回答しており、ファンの揺れる気持ちがわかる。アーティストしては応援したいが、日本では原爆に肯定的な意見はほとんどないので、被害者感情が優先されるべきだろうという気持ちが強いのだろう。

防弾少年団のフォームを作った時トピックに関する意見を聞こうと一問だけの設置にしたのだが、少し時間が経過してから思い立って「なぜ検索してきたのか」という設問を設けた。最初の設問はトピックに焦点が当たっているのだが、置いてから、新しく加えた設問は「あなた」に焦点が当たっているという違いがあるなと思った。これが今回の一番大きな発見だった。

普段「日本人は議論ができない」と書いていることからわかるように、どちらかといえばトピック型人間で、あまり誰が言っているのかということは重要だとは思っていない。むしろ、誰が言ったから受け入れて、誰がいったから受け入れないという態度は問題解決には不向きだとすら考えている。ところが、実際に読んでくださっている人はやはり文脈を意識しているはずで、だからこそ自分の文脈が表明できるならそれを記録に残しておきたいという人もいるのだろう。つまり、文章を書くなら自分の考えを述べてもよいのだが、フィードバックフォームは相手のフレームワークを分析したり気持ちに共感したりしないと作れないということになる。

当たり前のことを書いているように思えるかもしれないのだが、こういうことになかなか気づけないのである。なんでも試行錯誤してやってみないとダメなんだなと思った。アンケートフォームを置いて「なんだフィードバックがないじゃないか」と感じると無視されているように思ってしまう。だからあまりコメントやアンケートは重視しなかったのだが、一人でも「こういうものを期待して読みに来た」と言いたい人がいるならば、時間をもらって読んでいただいている以上はそれを知った方が良いのかもしれない。

まとめると、アンケートは「トピックについての態度や意見」について聞くものではなく、実は「訪問してくれた人のことを知りたいと思っているのですよ」という態度の表明にもなるのだなと発見できたということになる。これは本や雑誌にはないITならではの特徴だ。

ただし、レスポンスが得られたという感動に浸ってばかりもいられない。今回は失敗も多かった。

当初、冒頭にアンケートを置いて滞在時間が減った。特にスマホの画面だと「限られた時間で効率的に情報だけ収集したい」と考える人が多いのだろう。こういう人は冒頭に面倒なアンケートが置かれると逃げていってしまうのではないかと思う。ということで、途中で位置を下げた。

まず、設問をチェックボックスにしてしまったので、複数回答が可能になってしまった。もちろん、途中で質問を一つ足すというのも、統計を取るためには正しくない判断だ。

また、選択制の設問だけでなく、テキストの入力にも対応している。イベントの予定を立てるために日付を入力してもらうことも可能である。自分が投票してしまうとテストができないとぶっつけ本番でやったのだが、よく考えてみると単にテストフォームを作ればいいだけだった。事前に練習すればよかったと反省もした。

さらにGoogleフォーム独自の限界もある。

今回はメールアドレスを取得していない(取得すると管理の手間が出てくる)ので、一人が何回も回答できる。設定上回答してくれた人には結果が見えるようにしているのだが、それでもブラウザからバックボタンで戻ってフォームを再送信すると二回カウントされる。またブラウザーを変えたりCookieを消去したりすれば何回も投票が可能だと思う。場合によっては、悪意のある第三者が結果を誘導することもできるようになるだろう。

今回使ったGoogleフォームは簡単にアンケートが設置できて便利なのだが、答えなかった人に結果だけを自動表示してくれるような機能はない。ブログの場合いつアンケートを閉じるのかという問題もあり、答えていない人には何人が投票してくれたのか、またどういう傾向になっているのかがわからない。このため期間を限定して質問した上で、結果は別ページに掲載するなどの運用上の工夫も必要なものと思われる。

ただ、Googleは、Googleフォームを、レジャーの計画を立てたり、イベントのフィードバックのために利用することを想定しているようだ。

先に述べたように、政治的主張の正しさを正当化するために「みんなこう言っていますよ」と言いたい欲求はある。ただし、それをやってしまうといわゆる「アンチ」と呼ばれる人が投票を荒らしに来ることもあるだろう。また、書き手としてはつねに「褒めて欲しい」という欲求はあるが、これも評価フォームを置いて結果が期待通りでないとかなり落ち込むことになるだろう。あくまでも「相手の声を聞く」という姿勢でやらないとアンケートフォームはうまく機能しないのではないかと思う。

だが、それでもきちんと使えばある程度読み手の期待は感じられるのではないかと思う。課題も多かったが設置してよかったと思う。ご協力いただいたい方々には感謝したい。

このような記事もいかがですか