あなたの携帯電話はもうじき使えなくなります……

あなたの携帯電話はもうじき使えなくなります。そんなDMを突然受け取ったらあなたはどう思うだろうか。実はそういう話がそろそろ出始めていて、知っている人は知っている。そして知らない人には何のことだかさっぱりわからない。




3G停波という言葉がある。要するに今使っている携帯電話が使えなくなるということだ。NTT DoCoMoは2020年代前半と言っているが、auは具体的に2022年という数字を出したようだ。このタイミングで5G向けに設備替えが行われるので3Gは使えなくなることになっている。例えて言えばテレビがアナログからデジタルに変わりブラウン管テレビが全てゴミになるようなことが2022年に起こるのだ。

だが、この3Gが何を意味するのかがさっぱりわからない。そもそも高齢になると「携帯電話というのはずっと使えるものだ」と思い込むようになる。自分が今使っている携帯電話機は6年目だがほとんど使わないので、電池パックを一度も入れ替えていない。携帯電話会社にも1300円ほどしかし払っていない。

何もわからない状態で「もうじき使えなくなる」と言われるととても不安になる。特にNTT DoCoMoは「ほぼ役所」なので、これについて問い合わせてみても「今あるメニューから選んで言い値で支払え」という立場だ。巷で言われている言葉とNTT用語の両方を覚えないと話ができない上に、操作担当、料金担当、ハード担当と別れており何人もと話をしてみて結局誰も答えを知らなかったという笑えないことが起こる。

この経験から、今回の停波ではシンプルなプランと電話とSNS意外はできないが価格が抑えられた端末を提供できたところが勝者になるのではないかと思った。

今回の3G停波では「FOMAが使えなくなりスマホだけになるんでしょ」などと思っていたのだが、実際にはスマホの中でも旧世代製品は使えなくなるようだ。ハードオフで調べてみたところ今売りに出ている端末はiPhoneを除いては、全て3Gのみか通話は3Gを使うものばかりだった。2022年に全てこれがゴミになるのかと思うとちょっともったいない気がする。もっともハードオフにはたくさんのアナログテレビがまだ置いてあって単なる在庫と化している。廃棄すると莫大な費用がかかるのだろう。

ご存知のように現在の端末料金は分かりにくい。10,000円で購入できますというキャッチコピーを信じてシミュレータを操作して行くと30,000円ですと言われたりする。なぜ「3倍も値上がりしたのだろうか」と思うのだが、実は毎月の通信料に値引きをかけたうえでそれを実質的に携帯電話料金の値下げというように説明していることから起こる誤解なのだ。だから端末料金を一括で支払うよりローンの方がトクというわかりにくいことが起きる。

ところがこれが変わりつつある。菅官房長官の「携帯電話料金が下げられます」発言から春に見直しが検討されている。だが具体的なメニューが全く出てこない。そこで「様子をみよう」として店頭から客足が途絶え、それを挽回するための売り文句として「2022年に止まるから今のうちに買い換えてください」というDMがきたのだと思う。

このため店の人は困惑するばかりで、auもNTT DoCoMoも「コールセンターではクレームになっているでしょうね」と、客足が途絶えた店頭で呆れていた。しかし新しいプランが「トク」を煽る頃には逆転して大混雑が起こるだろう。

自民党政権は選挙の時に「自民党のおかげで電話料金が下がった」と言いたい。キャリアは売り上げを落としたくない上に代理店に毎月の売り上げ目標を課しているから毎月何らかの施策を打つ必要がある。携帯電話メーカーは切り替えのチャンスに高い端末を売りつけたい。この混乱状況は計画経済が失敗して生産設備が誰も買わない高価な製品に張り付いたソ連の末期と同じである。違いは賃金上昇が見られないという点だけである。ちなみにソ連は賃金を上昇させたためにひどいインフレが起きたが、日本ではそれがないので金融緩和政策をとって企業を助けてもインフレにはならない。

こうなると、格安の会社が俄然魅力的に思えてくる。例えばイオンモバイルは「この端末を準備してくれれば、500MBまでならいくらで使えますよ」と教えてくれる。調べたところiPhone 4(もしくはiPhone3GSのシムフリー版)なら4Gで使えるようである。これが一番わかりやすいので中古を探してあったらゲットしておこうと思っている。国内製のスマホはいろいろな製品が混在していて分かりにくい。

単純なプランを準備している会社だと、NTT DoCoMoで数人と1時間以上話をしてもわからなかった問題が即座に解決してしまう。これは社会主義に慣れきってしまっているNTT DoCoMoが情報を複座にすることで顧客から選択の意思を奪っているからである。ブランデンブルグ門になっているのは顧客の「よくわからない携帯電話会社は怖い」という心理だけなのだ。

多分、選択肢を少なくして「とりあえずこれだけ払ってくれれば最低限のことはできますよ」と言えた会社が高齢者の心をがっちり掴むのではないかと思う。顧客が欲しがっているのはスーパーコンピューター並みの端末ではなく「とりあえずこれだけあればいい」という安心感なのだ。ビジネスインサイダーの記事は「本当に必要なのは「安さ」だけではなく「わかりやすさ」?」とクエスチョンマーク付きで伝えているが、クエスチョンマークはいらないと思う。多分2022年にはNTT DoCoMoは嫌という程自分たちの文化を反省するはずだ。