韓国のレーザー照射事件は何を意味しているのか

韓国の駆逐艦が日本の哨戒機を「狙った」として問題になっている。具体的には火器管制レーダーというものを当てられたとのことである。「日本が悪いのか韓国が悪いのか」ということが最大の関心事なのだが、大切な点が忘れられていると思う。




韓国軍が日本の哨戒機を狙ったということは韓国軍の中で日本を敵視するような人たちがいる可能性があるということだ。集団主義の序列社会なので「誰かがうっかりやったと」は考えにくい。がだからといって、これを青瓦台が知っていたのかはわからない。現在の政権は革新系であり軍と一体の関係にあるのかよくわからないからだ。朴鍾憲は元軍人の朴正煕の娘なのだが、文在寅はその政権を批判するところから出発している。ゆえに、地域情勢を正確に把握したいなら、軍と大統領の関係がどうなっているのかということを冷静に把握する必要があるのだから対話のチャンネルを閉じるのは得策とは言えない。

例えば革新政権が面白くない保守系の中央日報は日本側の主張を冷静に伝えている。日韓関係が悪化し経済に影響が出ると政権がダメージを受ける。また軍隊も掌握できていないとなれば政権へのダメージはさらに大きくなるだろう。あくまでも朝日新聞の引用の体裁になっているが、わざわざこんなことをほのめかすのは「韓国軍には命令系統上の問題があり、それは文在寅政権の責任ですよね」と言いたいからなのではないだろうか。

  朝日新聞はソウル発の記事で「韓国の軍事専門家の間でもレーダー操作責任者である艦長の統制力に問題があったか、悪化している韓日関係の影響を受けて(誰かが)軽率な行動をした可能性が取り上げられている」と伝えた。

https://s.japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=248413

友軍機をロックオンするためにはシステムの解除が必要なのではないかという専門家の観測もある。ここででてくる責任者は「艦長」のようだ。ところが、安倍政権は状況の把握をせず、代わりに問題をエスカレートさせ相手に恥をかかせる作戦に出た。これは体面を気にする韓国や中国の人たちにもっともやってはいけないことである。表に出て恥をかかされたと感じた人たちはなりふり構わず体面を守ろうとする。「お前、軍をきちんと管理ないよね」とみんなの前で政権に「恥をかかせた」ことになってしまう。韓国人や中国人の部下をみんなの前で叱ってはいけないというのは、異文化コミュニケーションの教科書の初歩に書いてあるようなことなのである。

もちろん「真実は一つなので真実が何なのかはっきりさせるべきだ」とというポジションは成り立つ。これはこれでポジションとしては成立する。が、ここでまた問題が出てくる。日本は弱いと見なしたものには居丈高に対応するが強いとなると一転して弱気になってしまうのである。

最近、トランプ政権と安倍政権の間はあまりうまくいっていないようだ。予算措置などで追い詰められ政府職員の給料を人質にとって予算を通そうとするほど追い詰められたトランプ大統領は「麻生副首相も連れてこい」と呼びつけたようだ。日本からファイナンスを使用としているという意見もある。そして、アメリカと日本の間にどのようなやり取りがあるかは「外交交渉なので言えない」と答弁するばかりである。今回のビデオの発表とは180度異なる弱気な対応なのだ。

アメリカに対しては恩寵を期待しているのだろう。つまり、相手に全てを委ねて悪いように扱われないようにせいぜい頑張ろうという態度だ。一方韓国についても自分たちで状況を把握したり問題を解決するという努力を放棄している。この0か1かという外交下手な極端さが安倍政権やネトウヨの人たちの最大の弱点なのかもしれない。つまり、自分の勝手な思い込みによって態度を変えており、それとは違った反応が出てきても「正常性バイアス」を働かせて問題点を見ないようにしている。

法律を通してもらう立場なのに社民党と立憲民主党の女性議員をついつい挑発してしまう態度に似ているところから、安倍首相が韓国などのアジアの国や女性に根拠のない蔑視感情を持っていることがわかる。この問題から、安倍政権の外交の稚拙さが見えてくる。外交というより国会論争を含めた対話ができないのだ。

防衛省も当初はビデオを表に出して韓国を挑発するのをためらった(時事通信)ようだ。これからも韓国軍と対峙する防衛省としては当然の態度であるし、韓国軍が青瓦台から統制されていないとなると、偶発的にもっととんでもないことが起こる可能性もある。交渉を各省庁に丸投げし、最悪の事態も想像できない安倍官邸だけが公開に前のめりだったということになる。

政権が自らの国の命運について何らの責任感が持てていないということがよくわかる話なのである。