スポンジケーキの工程にはそれぞれ意味がある

定期的にスポンジケーキを焼いている。理由はない。最近、惰性になっていたのだが「これはいかん」と思った。美味しくないのである。




最近、なぜか全体がべちゃっとする。

まず、スポンジケーキの作り方をおさらいしてゆく。材料は卵と小麦粉と砂糖だけなのだが、結構面倒くさい。

  • 材料は室温に戻しておく。
  • 卵を白身と黄身に分けそれぞれ泡立てる(別立て)か全卵をよく泡立てる(共立て)。黄身は温めながら泡立てる。砂糖は後から加える。
  • 振るった小麦粉を数回に分けて入れる。あまり混ぜすぎないように切るように混ぜ合わせる。
  • あらかじめ熱しておいたオーブンに入れて所定時間焼き上げる。
  • 焼きあがったら型に入れたままで粗熱をとり冷めてから切る。

最初のケーキは別立てにした。別立てとは砂糖入りのメレンゲを最初に立てて卵黄を後から入れる方法である。卵一個について35gの小麦粉を入れるという配分は全て統一した。この別立てのケーキはあまり膨らまなかった。細かい泡は立っており硬くはないのだが泡が小さすぎて膨らまない。そしてなぜか全体がべちゃっとする。

どうやら、別立ては卵黄も泡立ててから混ぜるのだという。卵白は泡立ち易いので別にすることでふんわりとした仕上がりになるというのだ。まず、卵黄を泡立てないというのが失敗だったらしい。

そこで、今回はちゃんと手順を踏んでみようと思った。教科書的には卵を室温に戻しておき全卵を湯煎すると膨らみが良くなるはずなのだ。だが、膨らまなかった。

食べてみて理由がわかった。湯煎することで頭がいっぱいになっていて、砂糖を入れ忘れてしまったのである。食べてみるとふわふわにはなっておりこれはこれで美味しいのだが、甘くないのでケーキではない。理屈はわからないのだが、卵に砂糖が混じると空気を含みやすくなるのかもしれない。

ということで、すぐさま焼き直した。今度は砂糖を入れた全卵を湯煎して5分ほど混ぜた。

今度はちゃんと膨らんで「いつもの」味になったのだが、切り口が汚い。主婦の書いたブログなどを読むと「1日おいてください」などと書かれているものが多い。つまり冷まさないとダメなのである。プロの料理研究家が作っているものはもっとキメが細かい。これはブレンダーで高速で泡立てた後で低速で泡を潰している。これをなんとかてでもできないかなと思った。ブレンダーがないのだ。

とても基本的な作業の積み重ねなのだが、ついつい基本作業をおそろかにしてしまうと結果がそのまま現れる。お菓子作りには嘘がない。

ということでここまでをまとめて作り直してみた。まず砂糖入りの卵白をツノが立つまで泡立て、砂糖入りの卵黄を湯煎しながら泡立てる。これを小さな泡立て器でそれぞれ混ぜて泡を細くする。小麦粉を数回に分けて入れて焼いた。これを30分ほどきちんと冷ましてから切り分けた。

そこでできたのがこれだ。あまり膨らまなかったので失敗したのかと思ったのだが、食べてみたらほろりと崩れた。これはこれで成功しているようである。何回も作り直したのでそれぞれ卵を1つしか使わなかったのでこの厚みなのだが、卵を3つくらい使えばきちんとボリュームが出そうである。プロの書いたものには、共立てと別立てには「違いがない」としているものがある。ただ、今回作ってみた感じだと、共立てにすると大きな泡で膨らんだ素朴な感じのケーキになり、別立てで作るとキメの細やかな上品なものができるように思える。

毎回思うことだが、レシピ通りにちゃんとやらないときれいな仕上がりにならない。だが、レシピを逸脱して失敗してみないとレシピのありがたみがわからない。失敗も重要なんじゃないかと思う。