もともとは地域間対立だったアメリカの二大政党政治

先日、アメリカ民主党と共和党の違いがよくわからないと書いた。例えばシノドスのこの記事を読んでも、様相は単純ではないということはわかるが、結局何が違いになっているのかがよくわからない。つまり、いろいろ難しいんですよと言っているだけに思えるのだ。




そこでもう少しわかりやすいものはないかと考えてたどり着いたのがこのビデオだ。

リンカーン以来の共和党の歴史がまとめられている。もともと南部は民主党の地盤でありプランテーションと黒人奴隷に依存した経済先進地域だった。北部は工業化が始まったばかりであり保護貿易を求めていた。ところが「保護主義にしてくれ」とは言えないので「奴隷が人道的でない」という別の説明で奴隷解放に向かい、やがて内戦が起きた。「実は奴隷なんてどうでもよかった南北戦争

北部は戦争に勝つと奴隷解放などどうでもよくなってしまう。そこで共和党は戦争で儲けたお金持ちの党になった。大恐慌が起こり経済が失敗すると民主党が「ニューディール政策」を実行する。すると共和党がそれを攻撃し「大きな政府はよくない」と言いだす。

そうこうしているうちに南部で不十分なまま取り残されていた黒人運動が盛り返す。民主党がいち早く南部の黒人を取り込んだので、民主党が人権に敏感な党になり、共和党は南部の白人から支持されることになった。南部の白人は急進的な変化には耐えられず伝統的なキリスト教文化を擁護してほしいと考えていた。こうして、南北戦争当時とは形成が全く入れ替わってしまう。

このビデオは共和党をフィーチャーしているのでケネディ大統領などは飛ばされてしまい、その後レーガン大統領(共和党)までの歴史がカットされている。レーガン大統領は伝統的な家族と小さな政府という価値観を全面に打ち出して当選する。

2000年に入って大きく状況は変化する。ヒスパニック系の住民を受け入れるかどうかが議論になったからである。黒人の公民権を支持していた民主党はヒスパニックの人権も擁護する立場であり、古き良きアメリカを求める共和党は当然反対の立場である。しかし共和党内では「急進的な移民対策は既存ヒスパニック系移民の反発を生むのでは」という懸念があり内部対立が起きる。マーク・ルビオというヒスパニック系の指導者の名前が出てくる。しかしこれが共和党白人支持者の反発を生む。どっちつかずの態度を嫌ったヒスパニックはオバマ支持へ流れ、白人層はその後「メキシコに壁を建設しろ」というトランプ大統領を支持することになった。

現在の民主党はアメリカ人が「社会主義的すぎる」というサンダースと既存のエスタブリッシュの支持を受けるクリントンの分裂が起きているようである。Quoraで民主党事情について聞いてみたが明快でない答えしか返ってこなかった。これまでの歴史を見ると政治の中枢にあり「エスタブリッシュメント化」が進みすぎると新しい勢力が現れてそれを席巻するという歴史が繰り返されているようだ。つまりサンダースに代表されるような社会主義政策に期待する人たちを取り込むことができれば民主党は盛り返すのだろうし、そうでなければトランプ政権がもう一期続くことになるのかもしれないということになる。

いずれにせよ、アメリカの二大政党制はイデオロギーから生まれたのではなく現在もそうなっていないというのはちょっと意外だった。もともとは地域間の経済対立だったのである。

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