間違った政治的判断が自分たちを苦しめる – アメリカ白人の場合

人の銃自殺者急増中、原因はトランプ大統領という記事を読んだ。ポピュリズムに動かされてトランプ大統領を応援してきた人たちが逆に追い詰められている。




ざっと書くととても理不尽なことが起こっている。

  • 移民が流入してきたことで白人の間に危機意識が生まれ、銃規制運動がしにくくなった。
  • オバマケアなどの社会福祉は「黒人が考えた」弱者向け政策であるとして反対されている。
  • このためセーフティネットに頼れなくなった白人も銃で自殺している。

ここで紹介されている本は机上の空論ではなく実際の調査に基づいて書かれているそうだ。自殺は考え抜かれたものではなく1時間以内に「決断」されたものが多いのだという。銃が野放しになっているので手っ取り早く銃で自殺してしまうのだ。

日本の例ではないのでやや冷静に分析できる。二つの点に着目した。

人々は論理ではなく道徳的にトランプ大統領を支持している

これは「ポピュリズムとは何か」の中でも書かれていたことだが、社会が複雑化すると政治家が道徳を訴えかけて人々の支持を得ようとすることがある。この文章の中では「ノームがまかり通る」という道徳とは別の言葉が使われている。社会のセーフティネットが十分に整備されていない地域では「とりあえず武装することが自分たちの身を守る」というような規範が整備されてしまう。カリフォルニアから来た人が「ノームがまかり通り」としているのは、カリフォルニア出身の人から見ても一種異様にに見えるからだろう。

敵味方思考

本来モラルや道徳を気にするはずのキリスト教原理主義者がトランプ大統領を支持している。「同性愛や人工中絶」などの敵をトランプ大統領が攻撃しているからだという。原理主義者にとって黒人のオバマ元大統領は敵なのでこれを攻撃してくれる人が見方に見えてしまう。ただ、このセーフティネットは自分たちも使えるのだということを彼らは忘れている。人種という属性によって敵味方思考が生まれ、文脈によって評価を変えてしまうのである。

論理による現状把握を諦め、敵味方思考に侵されてしまうと、実は自分たちにとって不利な条件でも受け入れられてしまい、間違った相手を攻撃し続けることになる。

トランプ氏支持率、最高の46%に ギャラップ社世論調査によると共和党支持者の9割がトランプ大統領を支持しており、民主党大統領候補者が割れている民主党支持者でさえ12%が大統領に「なびいている」そうだ。合理的判断能力が民主主義から失われ、集団で敵を攻撃するという快感の根深さを感じさせる数字だ。お互いに非難し合う民主党に嫌気がさしトランプ大統領に期待する人が出始めているのである。

心理学的にトランプ大統領を研究したという文献を読むと、トランプ大統領の演説は人々を感覚的に惹きつける能力に優れており、隠れた恐怖心や劣等感などをうまく刺激しているようだ。論理より道徳・所属意識。危機意識の方が訴えかける力が強いということにトランプ大統領は気がついているのだ。

これまで、北朝鮮・イラク・中国と見てきたが、トランプ大統領の敵を作り出す能力は内政ではとても受けているようだ。が、それが実際には目の前にある問題の解決を先送りにし、さらに国際政治上では危機を作り出しているわけである。日本から見ると、ポピュリズムに侵されつつあるアメリカに頼ることがどんどん危険になっていることがわかる。