参議院議員選挙が終わった瞬間に景気がガタ落ちするかもしれない……

2019年1月〜3月期のGDP速報値が出てきた。輸出・輸入が減ったために形の上で赤字がなくなり、さらに公共事業と住宅投資がGDPを押し上げたことになっている。




もし速報値が悪ければこれを言い訳にして消費税増税延期を言い出したかもしれない。だが、それはできそうにない。一方で、内需はかなり傷んでいるようである。全て政治が悪いとは言わないが、企業は依然として国内市場に賃金を供給しようとはしないし、高齢化が進めばそもそも収入がない人が増える。そこで政府は躍起になって高齢者を経済に動員しようとしているという具合である。

政権に批判的な毎日新聞と東京新聞はネガティブな書き方をしている。東京新聞は「アベノミクスの是非が問われる」と書いているが、東京新聞の読者がアベノミクスに賛成のはずはない。

ここにきて消費税増税の判断に注目が集まっているが、安倍晋三首相が三たびの延期に踏み切るかどうかにかかわらず、はっきりしていることはある。六年以上、大規模な金融緩和と財政出動を繰り返してきたのに、多くの国民が安心、納得して消費税増税を受け入れられるだけの状況をつくり出せなかったということだ。夏の参院選では、アベノミクスの是非が問われることになる。

見かけの成長 下支え欠く GDP速報値

読売新聞は住宅需要が伸びている理由を書いている。消費税増税前の駆け込み需要なのだそうだ。消費が伸び悩んでいるのにもかかわらず住宅が売れているのにはそんな状況があるのだ。この数字も増税後(あるいは延期後)には消えてしまう。

読売新聞はもう少し露骨に公共事業依存を要請するのかと思った。「政府が長期戦略を立てればなんとかなる」ときれいにまとめてしまっている。地方としては「細かいことはどうでもいいから手っ取り早く公共事業をやってほしい」と要請するのではないかと思うのだが、その声は東京には届いていないようだ。

民需が主導する経済の実現にも注力したい。賃上げの継続や先端産業の育成など、長期的な戦略が重要だ。政府は6月にもまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)などで、実効性ある具体策を示さねばならない。

GDPプラス 内需の弱さに警戒が必要だ

日経新聞は米中貿易摩擦などのニュースが「企業の設備投資を冷え込ませているのではないか」と懸念している。内需も芳しくなく、住宅も消費税増税前の駆け込み効果であり、その上外需も芳しくない。総合して読むと「良いところを見つけるのが大変」というかなり危うい構成になっているのだ。

深刻化する人手不足を踏まえれば、継続的な省力化やIT(情報技術)投資が不可欠のはず。しかし製造業では中国に関連する投資を手控える動きが出ている。

[社説]内需に不安を残した「2%」成長 

こんなお寒い状況なのだが、新聞は最後まで批判ができない。いろいろな新聞を読むと「ファンダメンタルは好調」と書いてある。最近の政府の口癖である。給料は下がっているが人手不足なので完全雇用状態にあり従って経済基調は好調であるという自己催眠をかけているのだ。

総理が力強いリーダーシップで消費税増税を決断するまでは、官邸も友党も何も言えない。菅官房長官は「GDPの速報値は消費税増税に影響しない」と言い続けており、景気が後退局面に入った可能性もあるのに公明党は「回復基調にある」と言い張っている。

麻生副首相はさらに露骨だ。

その一方で麻生副総理は、「今年度予算が執行されるのはこれからであり雇用や企業収益は高水準を維持し、ファンダメンタルズから言えばしっかりしたものが続いている」と述べ、今年度予算の執行などを通じて今後、景気は上向くとの見方を示しました。

1~3月のGDP 内需に弱さも今後は景気上向く 麻生財務相

そもそも駆け込みの住宅投資と公共事業が支えている形なのだが、これからはもっと予算が執行されるから大丈夫だと言っている。これは選挙前のことなのだろうから、選挙の後で消費税が上がった後どうなるかわからないということになる。

これらを素直に読むと、自民党はとにかく参議院議員選挙が終わるまでは公共事業でもなんでもやってGDPをよくしておきたいと思っている可能性がある。つまり10月以降はかなりまずいことになる可能性があるということになる。

が、その後には反動消費減がやってくる。もしその頃米中貿易摩擦が終わっていなければ外需にも期待できないわけで、安倍一強の中で経済停滞というような状況も起こりかねない。

ここで勝ちすぎてしまうとソリューションがないなかで、自民党だけが非難されることになる。関係者たちは密かに「野党にも少しは頑張ってもらわないと」と思っているのではないか。野党の反対で改革が進まないと思わせるためには一定の存在感が必要だからである。