実は日本は世界で二番目に儲かっている国である

テレビで面白い解説を見た。日本はドイツについでに番目に儲かっている国なのだが、政府や企業はそれをあまり言いたくないのだという。




自民党は「日本が危機だからこそ自民党が必要だ」という印象を付けておきたいのではないかと解説されていた。企業も「応分の負担を求める」動きが出ることは避けたいだろう。例えば、企業が儲かっていることがわかってしまうと、消費税ではなく法人税でという提案がでかねない。日本は妬みが強く出かねない社会なので儲かっていてもあまりこれ見よがしには宣伝しないのである。

解説者は「どうせ安倍首相は誰かに言われたことを言っているだけなのだろうが、周りの人もこの事実について教えていないのではないか?」と言っていた。もし、周りが「アベノミクスのおかげで企業は空前の儲けをあげている」などと吹き込めば、共産党などは当然「では消費税をやめて法人税増税をしましょう」と言い出すだろうし、自民党からも賛同者が出かねない。知らない人は眠らせておいたほうがいいのだ。

ではこの「儲けている」という話は本当なのだろうか。内情を見てみよう。実際の動きを見てみよう。2018年の経常黒字、4年ぶり減少 : 「輸出で稼ぐ」から「直接投資」に構造変化によると、日本はすでに貿易立国ではなくなり、投資で直接稼ぐ国になっている。日経新聞も海外投資、日本の稼ぎ頭に 経常収支の構図変化という全く同じ論調の記事を書いている。

黒字の額は2つの柱でほぼ説明できる。1つは海外子会社のもうけにあたる直投収益の10兆308億円。もう1つは外国債券の利子などにあたる証券投資収益の9兆8529億円だ。貿易黒字は1兆1877億円にすぎない。

海外投資、日本の稼ぎ頭に 経常収支の構図変化

これが、評判の悪い「内部留保」になっている。海外企業から好調な配当があったとしても、賃金や配当金として国内に還元せず溜めてしまうのである。ダイヤモンドオンラインには日本人の特殊な意識を問題にする文章があった。

なぜ日本企業は内部留保を増加させるのかは、日本企業は突出を嫌い配当を横並びにする傾向があると言っている。儲けを余分に配当するとそれが期待値になり下がった時に文句がでかねない。

よく「狩猟と農耕」という言葉で日本文化を分析することがあるが、狩猟は「獲物がいる時にたくさんもらえる」社会なのだが、農耕は「毎年同じ収入があるのがよいこと」とされる社会だ。こうした違いが日本の企業に知らず知らずのうちに根付いているのかもしれない。

儲けた金を配当できないもう一つの理由は将来への不安かもしれない。足元の業績を見ると稼げていないのだろう。ここから、日本の企業が「老後」に備え始めていることがわかる。本業では稼げなくなり、足もとの消費市場は衰退している。しかし過去に儲けた金はまだ残っていて「老後に備えるためにとっておかなければならない」という社会だ。

ダイヤモンドオンラインの記事を二本見てみたが、10年から20年は大丈夫だろうという記事や2020年代後半には衰退が始まると言っている記事があった。結局のところ誰もいつまでこの状態が続くのかはわからないらしい。

実際には「令和初年度、5社に1社最高益へ」とあるように上向いている企業もある。だが、その動きが全体に広がらない。全体ではやや減益担っているのだという。

将来不安から、企業は儲けがあってもできるだけ外に出さないようにしている。従業員に給料を払わず、正社員を放出し、社会に社会福祉負担を押し付け、税金も支払わないようにする。皮肉なことにこれが「世界で二番目」と言われる企業収益の増加をもたらしているのだが、同時に足元の不安をますます強固なものにしている。

高齢化した市民社会は不安を抱え、現役世代は企業からも社会からの支援を得られていない。だから、まさか企業が史上空前の儲けをあげているとは想像もしない。もし企業が派手に役員報酬をばら撒き日本にこれ見よがしのリッチ層が生まれていれば、反発から99%運動が起こっていた可能性もあるが日本にはそれもない。

日本は世界で二番目に儲けている国になったのだが、その喜びを実感できないという意味では世界一不幸な国なのかもしれない。

なお、世界で一番儲けている国はドイツだそうだ。NHKによると構造改革に成功し、ユーロのために実力よりも低い通貨レートの恩恵を享受できているために、EUでは突出した勝ち組になっているのだという。

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