外交火遊びの末に戦争を起こしかけた「外交のアベ」

安倍首相が危うく戦争を起こしかねない状況を引き起こしていると言っても良いのではないか。原因は前宣伝のしすぎである。選挙にイランを利用しようとして、逆に誰かに利用されてしまったのだ。




安倍首相は大した見込みもなく、250万ドルの無償資金援助を持ってイランに会いに行った。ロウハニ大統領とはそれなりの話ができたがハメネイ師との会談は不調に終わった。「アメリカは信頼していないから」という理由で親書も見てもらえなかったようである。

ところが訪問時に思いがけないことが起きた。日本の所有するタンカーが襲われたのだ。世耕経産大臣は「何の問題もない」と会見したが、アメリカのニュースではタンカーの腹に穴が空いている様子がニュースで流れた。日米のニュースを同時に見ていると世耕さんがいかに間抜けなのかがよくわかる。「ちっとも大丈夫ではない」のだ。

だが、そのあとのアメリカ側の手回しがよすぎた。なぜかアメリカがイランの仕業だというビデオを持っているというのだ。ポンペオ国務長官が手回し良く会見をし、トランプ大統領もとにかくイランのせいだと声明を出した。NHKはアメリカの言い分をそのまま流した。NHKの忖度もここまできたら芸術である。

もちろん「ただの偶然」かもしれないのだが、安倍首相は利用された可能性が高い。つまり、戦争のきっかけに利用されかけたのである。

このあと、各方面が非難合戦を始めた。アメリカはイランが国家ぐるみでやっているといいイラン革命防衛隊が暴走したという人もいる。イラン側はアメリカの謀略だと言っている。さらにはBチームと呼ばれる人たち(イスラエル首相・ボルトン補佐官・サウジアラビアの皇太子)が仕掛けていると指摘する人も出てきた。黒井文太郎さんが指摘するだけでもこれだけ容疑者がいる。少なくとも誰かが中東で騒ぎが起こることを期待しているのだ。

イランとの関係が良好とはいえないアラブ諸国からも懸念の声があがった。アラブ連盟のアブルゲイト事務局長は「危険な展開だ」とし「中東の混乱を狙う勢力がいる。このことを知る必要がある」と強調し、国連安保理に対処を求めた。

米、タンカー攻撃「イランに責任」 イランは関与否定 

アメリカの手回しの良すぎる主張とは裏腹につじつまが会わないことが多い。まずアメリカのビデオの件だが、国華産業は機雷説を否定している。識者の中にも喫水線より上に機雷を仕掛けるのは不自然だという人がいる。わざざわ水面に穴を出してわざわざ取りに戻るのは「これを写してください」と言っているようなものである。

国連は「第三者機関による検証が必要」と言っている。

一方、国連のグテレス事務総長は14日の記者会見で、攻撃について、「真実と責任の所在を明らかにする必要がある」とした上で、「独立した団体による調査が必要だ」と述べ、第三者による調査の必要性を訴えた。

「イラン関与」裏付け、米が機密開示を検討

トランプ大統領は「とにかくイランの可能性が高い」と言っており要領をえないので本当のことは知らないのかもしれないと思える。実はアメリカの政府も踊らされれている側なのかもしれない。当初トランプ大統領は「世界の警察はやめる」と言っていたわけでその考えは今でも変わっていないようだ。であれば軍の方は「トランプ大統領の私的な関心事を守るためには軍隊が必要」と説得し続ける必要があるわけだ。

菅官房長官はアメリカと緊密に連携すると言っているが、これは「アメリカの指示を待つ」ということなのだろう。集団的自衛権の時にやけにホルムズ海峡に執心していたので今の状況と恐ろしくリンクする。しかし、2014年はオバマ政権時代だったので政権とは関係がない人たちの意向があるのかもしれない。そう考えると安倍政権もトランプ政権も「踊らされる側」なのかもしれない。

日本に関係がないタンカーが襲われたとしても日本が集団的自衛に協力してくれるかどうかはわからない。しかし「日本のタンカーが襲われた」とすれば関与はさせやすくなるだろう。CNNには次のような分析が出ている。つまり、中東もヨーロッパも軍事作戦には参加しないだろうというのだ。そうなるとアメリカが「国際行動」を主張して中東に展開するためには日本を道連れにするのが一番簡単なのである。

The US might be able to count on Israel, Saudi Arabia and the United Arab Emirates if push comes to shove, but that’s not going to come near to the firepower and political support George W. Bush was able to muster in his “coalition of the willing.” The Europeans, particularly the French and the Germans, are unlikely to back military action. The United Kingdom, consumed by Brexit, probably doesn’t have the appetite either.

US policy toward Iran is all stick and no carrot

誰が何を意図しているのかはわからないのだが「初動」によって印象は全く違っているというのは確かなようだし、緊張を高めたい誰かがいるのも確かなようだ。

日本はそもそもカモにされやすい立場にあるわけだが、安倍首相は選挙を有利に運ぶために、日本人の命と財産を危険にさらしたといえるのではないか。トランプ大統領が全てを仕込んだとも思えないので「このチャンスに日本の世論に火をつけてやろう」とした可能性がある。さらに外務省も危険が察知できなかった。日本の情報収集能力と「躍らされる」という立場は特定機密法を作ってもなんら変わらなかったのだ。

いずれにせよG20の前に「安倍外交」は世界の笑い者になった。BBCは冷静にこの件を伝えているのだが、内向きで世間知らずな有権者には受けるだろうという論調である。イランは最初から日本の仲介などあてにしておらず、ロシア・中国側に接近している。