東京湾の水質汚染 – 日本人はどうにもならないものを前にどう取り繕うのか

パラリンピックテスト大会のスイムが中止になったそうだ。大腸菌の濃度が二倍だったという。そもそもよくそんなところで大会を開こうと思ったなと感じた。




不思議だなあと思ったのはこれが元環境大臣が都知事を務める東京で起こったということである。小池都知事のTwitterを見てみたがこの件については取り上げられていなかった。多分興味がないのだろう。実行側も「想定内だった」と言っているので数値以下だったら汚くとも強行しようとしていたんだろうなあと思う。選手というのは兵隊と同じでイベントのためのコマなんだなと思った。

前回はマラソンスイムのテスト大会で「水が臭い」という文句がでていたというがなんとか取り繕った。これについては東京都もIOCも問題を把握していたという記事が出ている。都市排水と下水が一緒になっているので雨水と汚水が一緒に溢れ出してしまうのだそうだ。日本は一度公害問題を克服した国なのだが、もはやそれは過去の話なのかもしれない。だが、パラリンピックの記事を見ると「これから原因を突き止める」と言っている。つじつまが合わないので「知らなかった」と言って逃げているんだろうなあなどと考えてしまう。

この件について謎のウェブサイトがTwitterに上がってきた。ある港区議員のウェブサイトの情報をもとに構成されていて「対策ができていない」という内容になっている。

しかしその議員(榎本茂)の公式ウェブサイトを見ると「自分が当選するまで問題は放置されていたがもう大丈夫」と書かれている。人口が急増したために下水処理施設が間に合わず処理能力以上の汚水はそのまま流しているというところまでは一緒だが「対策はしているから大丈夫だ」というのである。ところがいつ完成するかは書かれていない。つまり、オリンピックまでには間に合わないだろうということである。

榎本議員はどうやら選挙で小池百合子陣営と協力体制にあるらしく都政に批判的なことは書かれていない。一方、Facebookには「対策を要請した」というページが見つかった。ただここでは「屋形船のせい」ということになっていて、都市の排水問題の根本二ついての対策は書かれていない。言い方は悪いが屋形船を引き合いに出して「やっている感」を出そうとしているのだろう。だが、この人は港区の区議なのだからできることは限られている。

小池都知事を筆頭に、この件について直接的に責任を取ろうという人はいないようだ。オリンピックはやらなければならないという大枠の空気はできていて、それを選挙に勝ったという背景を持つ知事が支えている。小池百合子さんという個人を超えて「そのときの選挙の空気」がその後の数年間を支配するという構造である。「私は空気とルールに従ってちゃんとやっています」という日本型土着民主主義だ。

オリンピックはその都市がようやく先進国としてオリンピックが開催できるようになったということを宣伝する装置として機能してきた。今回のオリンピックは日本はもはやそのようなプロジェクトを遂行する力はないのだということを内外に知らしめるための装置として働くのだろう。

かといって誰も責任は取らない。「だって仕方がない」からである。仕方がないとはつまり自分はリーダーシップを取るつもりはないということなので、リーダーシップの不在とも思えるが下手に手を出したら「あいつに才覚がないからできなかった」と非難されかねない。問題解決が難しくなったとき火中の栗を拾う人はいない。

中には東北沖の魚は放射能汚染されているとして輸入規制をしている国もあるそうだ。東京を離れて太平洋岸のどこかで大会を開催するという代替案も考えられなくはないが、今後は安倍首相のいった「アンダーコントロール」は東アジアでは信頼されていない。福島県によると今でも規制している国は中国・台湾・韓国などアジアの国が多いようだ。

日本人が「だって仕方がないじゃないか」と考えるのは「まあ仕方がないなあ」と周りの国も思っているのだろう。だったら自分たちは日本を排除して粛々とやって行こうと考えているのかもしれないなあと思う。