千葉市の台風被害と停電状況について

千葉市の上空を台風が通過した。ものすごい風だったのだが台風は過ぎてしまえば生活はもとどおりになるだろうと思っていた。だが大規模な停電が発生し、街は依然混乱したままである。今回はなぜ停電が発生し復旧に時間がかかったのかを考えたい。問題は多分街路樹である。




通過直後、近所の桜の木が軒並み倒れていた。どうも桜は根の張り具合が悪いようだ。

また、物置や自転車置き場などが潰れたりしていた。あまり想定されていないレベルの風が吹いたのは確かなようである。BBCまでも過去最強だったと伝えている。

このため停電が相次いだ。この停電状況を伝えるテレビ報道が大雑把だった。千葉県南部(君津市など)はかなり太い回線がやられたらしく全面停電が起きているようだ。だが、千葉市は電気が全く来ていない街区と平気な街区が細かく分かれているのだ。

住んでいる地域はなんともなかったのだが、隣の町は1,000件程度が停電したそうで今も復旧していない。停電をすると信号も止まってしまうし病院も診察中止になる。これがテレビでは伝わっていない。Twitterではもっと大騒ぎになっていて「千葉が大変だ」というようなツイートが流れている。なぜか安倍政権が批判されていた。多分千葉を知らない人が騒いでいるのだろうなあと思ったが、なんでも利用するんだなあと思った。

意外だったのが電車が軒並み止まってしまったことである。成田空港は陸の孤島になった。JRだけでなく京成線も高速バスも止まってしまったからだ。東千葉では駅舎の屋根が吹き飛ぶということがあったがそれが全路線に影響しているとは思えない。

JRは1日経っても復旧しなかった。つまり千葉駅に乗り入れる鉄道は麻痺状態になった。信号機が止まっているところはあるが路線バスは平常運転のところが多かった。電車は月曜日中は復旧せず、火曜日の午前中に動き始めた。

千葉にいる人は「とりあえず津田沼まで出れば東京に通勤できる」ということになったのだろう。月曜日の津田沼駅には2km以上の長い行列ができた。「社畜だ」「いや仕方がない」というような議論が起こった。

こうした大きな話は伝わってくるのだが肝心の復旧状況がわからない。NHKはテレビで初動の「現状把握ができていません」という話だけを伝えた。さらに市役所にも全く連絡が入っていなかった。そこで街を見ながら東京電力に話を聞きに行った。

信号機に何かひっかかっているが、こういうのは例外的だ。国道と高速道路に出るこの道の信号機はしばらく使えなかった。

途中、イチョウの並木の道を通るのだが時々傾いているものがある。この時には気がつかなかったのだが、イチョウの木に電線がかかっている。銀杏がたくさん落ちていて臭い始めていた。

街路樹の根張りはそれほど深くないようで、風に持ち上げられて倒れているものが散見された。

面白いことに、こうした光景が見られることろはどこも停電していた。コンビニが休みになっているところもある。こうした地域では家で料理も出来ないし、かといって買い置き食料がなければ食べるものもなくなる。その上いつまで我慢すれば復旧するのかもわからない。しかし、隣の街区はなんともなかったりする。実に不思議な光景だ。

東京電力で話を聞いた。状況が把握できていないということはないらしい。さらに「おたくの地域は9月11日以降に工事が設定されていますよ」と教えてくれた。つまり、マスコミは伝えない(相変わらず嫌韓報道しかしていない)し市役所には伝わっていないが情報じたいはあるのだ。特に市役所は「報告があれば伝えてあげる」という体質なので自分で情報をとって伝えるという気持ちに全くなれないのだろう。

どうやら架線が切れたということ自体は電気を1分ごとに通して調べることができるそうだ。「鳥が止まってショートする」ということも「よくある」らしい。迂回路も設定してあるので別のルートから電気を流してみて切断箇所を特定して行くようだ。鳥は落ちてしまうので修理しなくても電気は流れる。が、なんどやっても流れないなら枝が引っかかったりしているのだろうと予測して修理に向かうそうである。しかし、なんらかの理由で面で切れてしまったら修理箇所は特定できなくなる。

そんなことを考えながら帰り道を歩いていると、電線が木の枝の間に器用に通っていることがわかった。なぜか電線は三本組になっていてかなり高いところを通しているのだが、イチョウは成長が早いので枝がかかってしまうのだろう。

そうこう考えたところ「うちの近くだけ停電が全くなかった」理由がわかった気がした。街路樹にハナミズキが選ばれている。低木なので電線にかからないのだ。街を作る時に住民が選定したという話を聞いたことがある。「ああ、こんなことなんだ」と思った。こんなことで停電地域とそうでないところが分かれているのだ。

帰りに寄ったスーパーマーケットの棚からは惣菜パンだけが消えていた。停電地域の真ん中にありコンビニも閉店しているところがある。車のない高齢者はここまで歩いてきたんだろうなあと思った。。お年寄りの一人が入り口の床にしゃがみこんでいて「ここにいると邪魔だ」と連れ合いの人に言われていた。だが動けない。「冷たい水がない」と従業員に訴えかける人もいた。車があればこんなことにはならないのだろうがそうでない人もいるということである。

家に帰って停電地域の表を見ると街路樹がきれいに整備されているような地域は停電が起きていないか復旧が終わっていた。隣の四街道市にはガス灯を整備した地域もあるがそこだけは停電情報がなかった。新聞記事を見ると電線が樹木と離れている。大手デベロッパーが都市計画をしたような住宅街は無事だったのだろう。

確かなことは言えないのだが、多分東京電力の人は何が明暗を分けたかを知っているはずである。だがそのことが行政に伝わることはないんだろうなあと思った。多分市役所の職員が自分で考えて東京電力に問い合わせをするということはないはずである。東電もわざわざそんなことは伝えないだろう。今度いつ同じような台風がくるのかはわからないが、同じようなことが将来にわたって繰り返されるんだろう。街路樹を入れ替えるのはお金がかかるし中には反対する人も出てくるだろうなあと思う。確か東京でそんな話があったように記憶している。調べてみたらこれもイチョウだった。

せめてテレビにはこの辺を細かく取材して伝えてもらいたいのだが、それも難しそうだ。TBSの与良正男というコメンテーターが「千葉では鉄塔が倒れたから大規模停電が起こったのかも」などというざっくりしたことを言っており、若いアナウンサーたちがしたり顔で頷いていた。千葉ではまだ48万個が停電している(9/11現在)そうである。