ファッションモデルを目指して美しく立つ

実に大胆なタイトルだと思う。実際のファッションモデルと呼ばれる人たちはかなり特殊なプロポーションを持っているので、一般人がファッションモデルになることはできない。だが、一般人も自分が持っているポテンシャルを十分に生かしているとはいいきれない。ここで「目指す」としたのは、このためだ。

普通の人がキレイに立つという需要は増している。SNSが発達しているからちょっとでも見栄えのよい写真が欲しいし、ショップ店員がモデルになり売り上げに直結するということも多いだろう。

まず立ってみる

standingmanまず、正しく立ってみたい。ネットで拾った映像を加工したものを準備した。よく、背中とお尻と踵が壁に着くように立ちなさいと言われるが、横から見るとこういう姿勢になっている。

背中に注目すると後ろに湾曲している。つまり後ろに倒れそうになるような感覚がある。裏返すと姿勢が悪い人はいつも前かがみになっているということなのだ。と同時に腰を曲げるような感覚がある。背中を後ろに傾けることで重い頭を支えているという説がある。だから「まっすぐ立て」と言われたら、まっすぐ立ってはいけないのだ。

よく骨盤を立ててとか仙骨を立ててというフレーズが出てくる。正しく立つことができれば骨盤は自然に立つ。

普通の人はこれでよいと思うのだが、太っているとお腹が大きく出てしまう。ということである程度のエクササイズが必要になる。

お腹を引き締める

rollbackお腹を引き締めるためにはドローインというテクニックを使う。ドローインを解説した本はいくつもあり、普通は「インナーマッスルを使う」とされている。

と、同時にこれはファッションモデルっぽく立つためには重要なテクニックになる。いわゆる体幹と呼ばれる部分は常に緊張しているのだ。体幹は背中の筋肉、中の筋肉、腹筋から構成される胴体の下側を指す。モデル立ちしている時には、ここを常に緊張させる。実際にファッション雑誌をみるとわかるのだが、動いているのは脚と胸肩であって体幹はまっすぐになっている場合が多い。脚部が右に傾いていれば、肩は左に傾いているということになり、これでS字を構成しているのだ。

体幹がしっかっりしており柔軟性があると後ろに反り返ることができる。これはGarret Neffという人のポーズで実際にファッション雑誌に使われている。同じようにやってみたが膝が屈曲してしまった。

動ける・動けないということ

お腹を緊張させると動けなくなりそうだが、ドローインをすると腰は自由に動くようになる。ボディービルなどでは危ないので逆にお腹を膨らませて体幹を安定させるそうである。この時点では脚は緊張しているはずなのだが、これでは動けない。脚の緊張を解くことを考えなければならない。実際には片足ずつ緊張させているようだ。

体幹を緊張させると肩も緊張させたくなる。しかしそれではかっこ悪いので肩を回したりして緊張を解かなければならない。さらに胸も張り気味になるので肩を前後左右に動かして緊張を解く。しかし、体幹は緊張させたままだ。

古武道のビデオなどを見ると(YouTubeで幾つか出回っている)昔の日本人はこんな立ち方はしていなかったそうで、もっと「自由に動けていた」という。今のような立ち方が「美しい」とされるようになったのは、明治期以降だということなので、今回の立ち方だけが正解とは思わないほうがよい。

緊張と緩和

diesel

これはDIESELのキャンペーン写真から持ってきたもの。覚えている人もいるかもしれない。男性らしさを表現するとこのような感じになる。脚は大きく開き尻の外側から太ももに緊張が走っている。脚の筋肉は外側から始まって膝のほうに抜けている。決してまっすぐにはなっていない。これは「歩き方」を考える上で非常に重要だろう。なぜ、まっすぐ歩くと脚が内傾しているように見えるのだろうかという問いにつながるからだ。

足を踏みしめるためには土踏まずの外の部分を使う必要がある。この感覚は歩いたり立ったりするときにはとても重要で、これができないと全てが台無しになる。

ただし、実際のポージングにおいては両足を踏みしめていることは少ない。マネキンを見るとわかるが実際に支えているのは片足だけだ。「動ける」というのは重要な感覚で、ダンス、武道、格闘技などで違っているようだが、脚の動かし方にそれぞれのセオリーがあるようだ。かっこいいポーズは動きの表現なので、脚の使い方がとても重要になってくる。

前に見たように背中は反り気味で体幹は緊張している。そして肩もいかりぎみであり、首はしまっている。

で、肩はどうする?

実際にビデオを撮ってみるとわかる。正しく立った状態で、背中を広げると(体幹ではなく広背筋の部分になる)肩甲骨がちょっと浮いたような状態になる。これが「正しい」背中のポジションらしい。なぜ、このようなことを書くかというと、中には「肩甲骨を寄せる」と書いているものがあるからだ。寄せると肩甲骨は閉じられてしまう。それだけ可動域が広いからなのだが、これは正しい姿勢とは言えない。

肩は可動域の多いセクションなのだが、肩こりの人は動きが悪くなっていることがあるという。肩甲骨周りの体操の情報はたくさん出ている。うまく行けば肩こりが治るそうなので取り入れてみるとよいかもしれない。

3秒で小顔を作るには

さて、足から肩まで見てきたのだが、どこか忘れている。それは首である。立ち方を勉強し始めた時、わからなかったのが「糸で釣られたような」という表現である。なぜこれがわからなかったのかといえば、実際には糸なんかないからだ。

実際に写真を撮ってみると頭が小さく見えるものと大きく見えるものがあり、コーディネートのせいなのだと思っていた。全身を緊張させて立って状況は変わらない。成功率が高いのは後ろに反り返ってみたときだった。だが、やがて元に戻ってしまう。これが「首」によるものだとわかるまでかなりの時間がかかった。

実際にやってみるとわかると思う。鏡の前で普通に立ってみる。次に首を伸ばしてみて立つ。それだけで顔の大きさの1/2くらいが稼げる。つまり6頭身の人は6+1/2頭身くらいになれるわけである。これは3秒でできる。

よく考えて見ると首の骨が伸びるはずはないので、前に倒れているものが上に伸びているだけなのだとは思う。だが、いったん首が伸びるとしばらくはそのままなので、実際にある程度伸びているのかもしれない。肩から首にかけてはかなり複雑な構造になっているので、わかりやすい表現がないのだろう。これをわかりやすく伝えようとして「糸の例え」が出てくるのだとは思うのだが、実際にはあまりわかりやすい例えとは言えないと思う。スタイルに大きな影響を与えるので、小顔を目指して首を前後左右に動かしてみるとよいのではないだろうか。

実際のポージング

まず首まで伸ばして立ってみる。男性の場合、肩幅に開きつま先は開き気味になるのが正しいポジションだ。体幹は緊張させたまま肩は力を抜く。片足は力を入れたまま(尻の外側から太ももに緊張が入る)片足は自由にする。肩は自由にして動かすようにすると変化を出すことができる。ここまでできるようになると、S字ポーズの作り方自体はいろいろな情報が出ている。

さて、ここまでいろいろと書いてきたのだが、実際のファッション雑誌のポーズは参考にならないものがある。これはMens Non-noのモデル高橋義明のもの。足が長く頭も小さい。このために、普段は足の細さが目立たないように錯覚を利用したり、わざと猫背にしたりしているようだ。これが雰囲気があってかっこいいということになっているわけだが、普通体型の人がやると怪我をする。

同じく中田圭祐のページ。ああこの人「頭小さいなあ」と思えるものがあるが、普通に見えるものもある。立ち方一つでバランスは大きく変わるのだ。

もちろんコーディネートによってもスタイルは違って見える。顔の近くにVゾーンを作ると顔との対比で小顔に見えたり、ヘルムホルツ錯視などを使ってラインを作ったりすることができる。

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ただ、若者向けの男性雑誌のモデルが全てダメということはないらしい。たいていの人はモデル事務所に所属していて、正しいポーズを身につけてからリラックスの姿勢を覚えるようだ。一方、ストリート系の雑誌には素人を使っているところも多い。