この際日米同盟は解体しては?

オスプレイの墜落事故がまた波紋を呼んでいる。今度は在沖縄米軍のトップが「感謝されるべきだ」と言ったというニュースが断片的に飛び込んできた。もう、なんか無駄にどきどきする。日本人が怒るに決まっているからだ。そしてアメリカ人がなぜ日本人が怒るかがわからないことも容易に予想できる。だったら、この際日米同盟は解体してはとすら思う。

沖縄は今回も「植民地的だ」と敵意をあらわにしている。意思決定に沖縄が絡めないことに対する苛立ちだろう。高官はニコルソンという名前なのだそうだが、明らかに外交官的なスキルや感覚はなさそうで、怒りをあらわにしたそうだ。これは日本人には受け入れられない。関係性に挑戦していると考えられるからだ。実際の映像を見たが、一生懸命事実を説明しているという感じだった。だがこれは伝わらないだろう。日本人が求めているのは実は事実ではなく「心象的事実」だからだ。

「心象的事実」とは何だろうか。日本人は事故を起こした時にまず謝る。それは客観的事実とは全く関係がない。世間を騒がせたことをお詫びするのである。不時着だろうが墜落だろうが関係がない。みんなの心が騒いだことにお詫びをする。それはマイナスとなり「どんな不利益でも引き受けざるをえない」ということになる。だから日本人は失敗するくらいなら何もしないことを選択する。だが、世間を騒がせたことをお詫びしない限りいつまでもバッシングが続く。日本人は一貫して関係性を生きている。関係性に起こった変化が事実なのだ。

ところがアメリカ人は現象を説明しようとする。説明した上で次に起こらないためになにをするのかを考えるのが普通だ。それはアメリカ人が対象物に焦点を当てているからだ。加えて、アメリカ人が物事をリスクで計算する。だから「感謝されるべきだ」という言葉の意味はわかる。本土に落ちていれば被害が出たかもしれない。だが、身を挺して海に持って行ったことで、兵士のリスクは増えが沖縄県民のリスクは減った。そもそも軍隊は地域を守るためにいる「正義の存在」なのだし、これは「美談」なのである。なのに日本人はその「事実」が理解できないと苛立つ。

「感謝してほしい」と考えた時、アメリカ人は盛んに「事実」を説明しようとする。彼らは正しいことをしているから説明したいというわけだ。しかし日本人には事実はどうでもよいことで、関係性こそが重要だ。「墜落・不時着問題」も構造としては簡単な誤解なのだが、関係が悪化しているので「いいわけだ」ということになる。日本人は「聞く耳を持たない」のだ。

沖縄を納得させるためには、沖縄を米軍の運営上の意思決定に加える必要がある。だが、ステイクスホルダーとして日本人を加えることはできない。安全保障上のリスクになってしまうからである。あとは金目の問題ということになるが、これも関係性を考えて「地域の貢献に感謝して」というような言い方が必要だ。金額も重要だが、意味づけ(これを文脈という)が重要なのだ。

さらにややこしいことに、日本人(東京)も日米同盟を関係で捉えている。だから代理人にはなれない。沖縄と東京の関係は違っているから沖縄の代理もできないし、アメリカ人が事実を説明したい時に関係性にこだわってしまうのでアメリカ人の代理もできない。

最近、面白いニュースがあった。オバマ大統領が「安倍さんが来たいというなら真珠湾に来ればいい」と言った。安倍首相はこれを快諾したが、それはオバマさんとの関係を重要視して忖度した(あるいはトランプ次期大統領との間でバランスをとった)からにすぎない。そもそも「自分の気持ちで行動する」ということが日本人には理解できない。それはマスコミも同じだったようだ。アメリカ人には逆に関係のために自分の気持ちを曲げるということが理解できないし、重要なことなのに「自分の気持ちがない」ということも理解はできない。そこで「単に安倍首相はアメリカの歓心を買いたいだけで、真珠湾の慰霊などどうでもいいのでは」と考えてしまうのだ。

日米はこれだけ文化が違うのだが、違いは2つしかない。文脈依存・非依存という軸とリスクについての考え方だ。たったこれだけのことなのだが、アウトプットはかなり違ってしまう。それを乗り越えるためにはまず「日米には違いがありお互いに理解できなくて当たり前なのだ」ということを理解する必要がある。安倍首相のように「日米は価値観を共有する」などと考えてはいけないわけである。

トランプ次期大統領とは仕事がしやすいかもしれない。彼は事実にだけフォーカスを当てている。アメリカ人は理解できないのに「日本人の文脈」を理解しようとしてきた。これがまずかったということも言えるだろう。