ついにトランプがやらかした – カタールの外交関係断絶

ついにトランプ大統領がやらかしてしまった。これによって日本に来る石油や液化天然ガスの価格が値上がりする可能性がある。エネルギー価格が上がれば政府が達成したがっている2%以上のインフレは起こるがだろうが、多分それは賃金上昇を伴わない悪性のものになるだろう。

サウジアラビア、UAE、バーレーン、エジプトが共同してカタールとの外交関係を断絶した。外交官を引き上げて、カタールの飛行機やトラックなどが領空・領海を通行できなくなった。ほどなくイエメンやモルディブも追随した。表向きはテロリストへの利益提供などが理由のようだが、イランと近いことが問題の本質らしい。つまりアラブ人とペルシャ人が対立していて、対抗上ペルシャ人と仲良くしようとしたカタールが「ハブられて」しまったのだ。

だが、何が起こったのかよくわからない上に、日本での報道もそれほど多くない。断片的にわかっているのは、トランプ大統領が直接のきっかけになっているかもしれないということである。トランプ大統領はビジネスに好都合だと思ったのか。お金の匂いのするサウジアラビアとイスラエルを最初の訪問先として選んだ。これは極めて異例のことだそうだ。その初めての外遊先で、国内でやるのと同じようにイランの悪口を言った。ウケると思ったのだろう。

カタールの首長がサウジアラビアを避難したのが直接のきっかけだという報道があったが、実はロシアが仕込んだフェイクニュースだったという話さえでてきており、状況は錯綜している。

だがこれを間に受けたサウジアラビアは「アメリカはサウジ側についてイランと対立してくれるんだ」と考えた可能性があるという。アラブ圏でイランの擁護をしていたカタールがトランプ大統領を罵ったが、それを聞いて変に強気になっているサウジアラビアが切れてしまったようだ。

アメリカの同盟国は地域で犬猿の中にあることがある。例えば日本と韓国がその例だ。が、例えば日本と韓国がなぜもめているのかは別の地域の人たちからはわからない。わからないから調整することも難しい。

東洋圏の人たちは、表向きは対立して見せていても最終的な断絶に至ることは多くない。例えば日本の首相は中国や北朝鮮に妙に強気だが、だからといって外交官を一方的に引き上げて国交を断絶するということはない。「何もそこまでは」と空気を読むからだろう。

が、中東の人はそうではなかったようだ。「これはいける」と踏んだら「いってしまう」のだろう。このように文化圏によって人々の気風は違うので、アメリカの大統領は特定の国や地域に肩入れしたりはしないものだ。他人が何をどう受け取るかはわからないからだ。だが、トランプさんはそれがよく理解できなかったのではないか。アメリカには多くの人種が混在しているので「自分たちには国際感覚がある」と誤解する人が多いのだが、その典型なのではないかと思う。

その後出た報道では次のようなことになったようだ。

  1. トランプ大統領が、過激派に資金提供するのは悪いやつだと言った。
  2. サウジアラビアが、カタールが資金提供していると告げ口した。

その後どうなったかは伝わってきていないが、トランプ大統領がカタールに米軍基地があるかを知っていたかというのは疑問である。さらに曖昧な態度をとって、サウジアラビアに間違ったシグナルを送ってしまった可能性もある。さらにトランプ大統領は、自分が言ったことを正当化するつぶやきを発信しており、米軍基地を管轄する国防省を困惑させているという話もあるそうだ。

カタールには豊富な液化天然ガスが出るので、すぐさま経済破綻をするということはないという。しかし、食料をサウジアラビアなどに頼っており。空路でも迂回が余儀なくされるので、経済的には苦しい立場に置かれる可能性があるという。人口は200万人程度で経済規模は埼玉県と同程度とのことであり、独力でサウジアラビアに対抗するのは難しい。なお国内には多くの外国人がいて、カタール人はわずか27万人程度とのことである。とても小さな国なのである。

今の所日本人が気にしているのは、サッカーのワールドカップが開かれるかということのようだが、さらに面倒なことが起こる可能性はある。

カタールとサウジアラビアが断行したことでGCCが機能不全に陥る可能性があるという。湾岸協力会議という地域のアライアンスである。これはイランとの「防波堤」になっており、ホルムズ海峡の航行の安全性を保証しているらしい。

アメリカは10,000人規模の空軍基地をカタールに持っており、カタールは地域の要になっている。一方、サウジアラビアとも同盟関係にある。このことからホルムズ海峡が不安定化しても地域が一体的に対処できない。さらにアメリカは湾岸諸国をまとめて中東対策をしたいと考えているのだが、これも難しくなりそうである。アメリカは「同盟国同士仲良くやってほしい」と言っているそうだ。

安倍首相は得意顔でホルムズ海峡の危機は日本の存立危機だから米軍と協調行動するなどと言っていた。が、これはイランがアメリカと敵対していて、湾岸諸国は一枚岩でアメリカと協調するという前提に立っている。事態が複雑化すれば「どうしていいか」わからなくなるだろう。例えばアメリカが湾岸諸国についてカタールと断絶するようなことがあれば日本の液化天然ガス輸入が影響を受ける。

トランプ大統領の任期はまだ3年以上残っている。最初の外遊でさっそくやらかしてしまったわけだが、同じようなことが続く可能性があるわけだ。

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