日本語は特別に速い言語なのか

外国の人が日本語はなぜそんなに早いのかという質問をしていた。面白いなあと思って調べてみた。




倍速言語という考え方があって、それなりに引用されている。倍速言語の理屈は次のようなものである。

  1. 言語は、音節の複雑さと音節を送り出すスピードで、情報量が決まる。
  2. 音節が単純だと音節を送り出すスピードを早くする必要がある。日本語は子音と母音を1つづつしか使わないので、音節が単純と言える。
  3. 難しい音節があるとスピードが落ちるので音節はより単純化し、速度が最大化される。

この文章は「日本語は特殊である」という自己意識に基づいている。が、英語でDouble Speed Languageで調べてみても記事は検索できない。見つかったのはTIMEのこの記事だった。

データが圧縮されている(原文ではdense 濃い・密集しているとなっている)とスピードが遅くなる。

  • 英語の密度は0.91で一秒間に6.19音節が話される。
  • 中国語はもっと密度が高く0.94で一秒間あたりの音節数は5.18になる。
  • スペイン語は密度が0.63であり一秒間あたりに7.82音節を話す。
  • 日本語は密度が0.49しかなく、したがって一秒間に7.84音節が話される。

これを読むと、日本語が「速い言語」であることは間違いがなさそうだが、倍速というのは言い過ぎのような気もする。が、言語というのは、音節を複雑にするか、速度をあげるかで二極化されているのかもしれない。

だが、これは日本語話者の実感とは若干違っている。英語が苦手な人がよく「英語が早すぎて聞き取れない」というからである。しかし、この「英語は速い」というのは間違いで、実は英語の音節が複雑すぎてよくわからないということなのではないだろうか。英語に慣れるためには英語の音節を丁寧に聞き取ることが必要になってくるのだろう。

もともと複雑なものをカタカナに変換して聞き取ろうとしても「難しくてよくわからない」ということになるだろう。一つわからない音節が出てくるとそこでつまづいてしまい、そこから先がついて行けないという感覚になるだろう。

この記事によると日本語の情報伝達効率はそれほどよくないらしい。文中にグラフが出てくるが、英語が最も総体的な伝送速度が高く、日本語は伝送速度が低いということが示されている。

なお書き言葉については別の観測がある。日本語は漢字のおかげもあり、少ない文字数に多くの情報を詰め込むことができる。しかし、Twitterを分析したところあまり長いツイートは見られないようだ。情報量が多すぎると処理しきれなくなるのかもしれない。確かに、あまり長いツイートをみると疲れてしまうし、長々と書いたものより短くスパンと言い切った方が反応もいくらか良い。

ということで、どの言語でも処理できる情報量にはそれほどの差はないと言えるのかもしれないが、どのように効率をよくするのかというのは、言語によってそれぞれ工夫されていると言えるだろう。

Google Recommendation Advertisement



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です