ついに情報汚染に手を染めたNHK

NHKがAIを使って凄まじい数の統計を処理して「これが日本の問題を解決する」とやった。さらに40歳代の一人暮らしを名指ししたために、多くの人の反発を買う事になった。前半だけ見て後半は見なかったのだが、少なくとも、因果関係を無視した番組構成になっていた。そして因果関係が無視されているという事は、多分参加者たちも築いているようだった。

以下、ハフィントンポストの記事などを参考にして文章を進める。

この番組の問題点は統計の取り扱いのおかしさにあると思っていたのだが、さらに恐ろしい問題を引き起こす可能性があるなと思った。それが情報汚染だ。

例えば、車と出生率の関係があった。これを、車の所有が増えると出生率が増えるなどとやっていた。が、景気が良くなると車も売れて男性に余裕ができると子供を持つ余裕もできるということを言っているに過ぎない。この景気を「補助線」などという言い方をしていた、実は補助などではない。だから車の販売台数を増やしたとしても景気がよくならなければ出生率は増えないだろう。

こうした事が起こるのは、これが過去の統計を元にしているからだ。日本は30年かけて徐々に衰退した。高度経済成長気にうまく行くように設計された社会保障を前提にしているので、もとどおりになった方がうまく行くのは実は当たり前のことなのである。

今回は日本国内のデータのみを使いましたが、国際的なデータ、たとえばOECD(経済協力開発機構)のデータを使ってみてもいい。視聴者の皆さんからも、『こんなデータを入れてみるといい』『こんなことをAIに聞いてみてほしい』みたいなご要望もぜひいただきたいです。

多分、この辺りまでは大学に通ったレベルの人であればすぐに気づいたのではないだろうか。

が、この後、少し恐ろしげな事を言い始める。ラブホテルの稼働率が増えると女性が活躍できるというような議論があり、女性の自由が増えるのは良い事だというような発見にしていた。これが本当ならば誠に喜ばしい事だが、住民税が下が流という事は無視されていた。これはつまり、高付加価値の仕事が減っているという事を意味しているのだろう。つまり、男性が高付加価値の仕事を担っていて、女性が程付加価値の仕事を担っているという前提の統計だからだ。

が、NHKとしてはそんな事は言えないので、リチャード・フロリダを持ち出して、クリエイティブな都市ほど多様性を受容するので、女性が生きやすくなるというような議論に無理やり落とし込んでいた。つまり、情報の解釈にフィルタリングがかかってしまうのだ。

確かに「統計の扱い方が間違っているのでこれはくだらない」と切り捨てる事はできるし、科学を占いみたいに捉えていると揶揄する事もできるだろう。が、本当に恐ろしいのはこのフィルタリングなのではないだろうか。

つまり、データを情報にするところまでは機会でもできるのだが、ここに人間の解釈という不確定要素が加わる事になる。そしてその不確定要素は個人では制御できない。集団で視点を作るという特性があるからだ。NHKは、女性が付加価値の低い補助的労働をしていることを認められなかったのと同じようなことが解釈の時点で起こる。

つまり、因果関係がむちゃくちゃなところに不確定要素が加わり、それが意思決定に影響し、さらに統計が変わるというような事になるのだ。人間がどのような不確定な答えを出すかはプログラミング不能なので、結果的にめちゃくちゃな因果関係はさらに情報汚染を引き起こす事になるかもしれない。

すでに、情報汚染は起こり始めている。ハフィントンポストの文章には次のような恐ろしい一文がある。

荒川区ではネブラの分析を受けて、行政サービスの拡充が必要かどうか検討するという。

荒川区が慎重に統計を取り扱ってくれればいいが、組織防衛や何をしないための言い訳に統計を悪用するかもしれない。例えば、安倍政権のように論理構成がむちゃくちゃな政権がネブラの統計の一部を利用して自分たちの決定を正当化するような事が起こるだろう。すでに、国会ではこの手の議論が横行していて安倍首相の頭の中ではアベノミクスはうまくいっている事になっている。たくさんの統計をゴミ箱のようにコンピュータにかけると、いろいろな情報が出てくる。つまり、たくさんのゴミをコンピュータで再生産しているということになってしまうのだ。

日本人は効率を重んじる。つまり外国から大量に鉄鉱石を買ってきて国中を鉄筋コンクリートだらけにするなどということをやりたがる。これは製造業にとってはよい性質なのだろうが、サービス業にはあまり向いていないのかもしれない。たくさんの情報を一気に放り込んで、そこからたくさんの解決策を量産するみたいな乱暴な発想になるのは、効率重視だからではないかと思われる。この中から集団の利益確保に都合が良い情報が出てくると、今度は政府がその結論に向けて検証もなしに走りだし、最終的には大惨事を引き起こすこともないとは言えない。

 

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