ロンドンで騙された話 – ジャージー代官管轄区

その昔ロンドンで「このコインは受け取れないよ」と言われたことがある。なぜかはわからなかった。後から見るとコインの表にはエリザベス二世女王の顔があるが裏面には見慣れない名前が書いてある。それが原因みたいだ。

スキャンだとよく読み取れないが「Bailiwick of Jersey」と書いてある。日本語ではジャージー代官管轄区などと訳されるようだ。よく、フランスに一番近いイギリス領などと説明されている、イギリスの南にある島である。イギリス王室がフランスにある領土を奪われたときに残ったようだ。

しかし、ロンドンでこのお金が通用しないところをみると、ジャージー島はイギリスではないのだろう。誰かがイギリスでは使えないお金を持っているのに気がついて旅行者である僕に押し付けたに違いない。イギリスを旅行するときにはコインには気をつけたほうが良さそうであるが、慣れないお金だといくらだかわからないし、瞬時に判別するのは難しそうだ。今の価格でいうとだいたい七円程度の詐欺である。

外国旅行から帰ってくるとコインがたまるのだが捨てるのはもったいない。かといってスクラップブックに入れて整理するほどマメでもないのでそのまま紅茶の缶に入れて死蔵してある。そのうちにドイツマルクのように使えなくなってしまったコインもあった。そこで、とりあえずそれをスキャンしてデジタル保存することにした。そうい昔のお金を見ているうちに、騙されたことを思い出したのだ。

さて、ジャージー代官管轄区だが、ここは正確にはイギリス領ではない。イギリス王家が私的に管轄する領地ということである。だからイギリスの法律は通用しないし、EUの一部でもないということだ。外交や防衛についてはイギリスが管轄しており、パスポートコントロールもイギリスと共通なのだという。イギリスの法律や税制の管轄外なので租税回避地として知られている。パナマ文書で有名になった租税回避地だが、イギリスがこのような悪知恵を思いついたのはこのような伝統を持っているからなのだろう。

面積を調べてみたがジャージー島は意外に大きいらしい。小豆島の2/3程度の大きさがある。小豆島の人口は23000人程度なのだが、ジャージー島には95000人が住んでいる。当然議会もあり最近では内閣や政党もできたということである。

今ではロンドンからは格安航空を使うと10,000円前後で往復できるということだ。また、ロンドンから車を借りてフェリーで移動するルートがある他、いったんドーバー海峡を渡ってフランス側からフェリーで移動するルートもあるのだという。

この通貨はジャージーポンドと呼ばれる。ジャージー島の中ではジャージーポンドとイギリスポンドが使えるが、イギリスではジャージーポンドは利用できないそうだ。