大切な問題だからこそ冷静な対応が求められる沖縄の基地問題

沖縄県で海兵隊のヘリコプターがまた普天間第二小学校の上空を飛んだというニュース(引用:毎日新聞)があった。これについて米軍側は「そんな事実はない」と否定しているのだが、防衛省は「ビデオテープに撮られた証拠もある」として主張が真っ向からぶつかっている。

日本側の意見は「沖縄は植民地扱いされている」と考える人と「米軍に抗議でもしようものなら見放される」という二つに別れているように思えるように思える。そこでQuoraで日本人と英語圏の人に質問をした。日本側は3つの回答が得られた。一人は多分無関心なのだと思うが、日本側が主張しているから米軍が嘘をついているのだろうという人はいなかった。沖縄の問題なので他人事だと感じているのかもしれないが、意外と冷静な人が多いということも言えるだろう。

今回の問題は沖縄の問題というより、憲法が保証する国民の安全・安心が守られていないというかなり危機的な問題だと思う。故に感情的に主張したいと思うわけなのだが、同じ日本人であっても、かなり冷ややかな目で見られているということがわかる。感情的にレスポンスするのはあまり得策ではなさそうである。

  • 日本人だからこそ、感情的な反論はしないほうがいい。

アメリカ側には少しきつめの言い方で質問した。「なぜ米軍海兵隊は沖縄に嘘をつくのか」という質問をしてみた。「嘘をつく」というのはアメリカではかなりショッキングな響きがあるのではないかと思う。正直さが推奨される社会だからである。

3名からレスポンスがあったが少なくとも二人は退役軍人だった。これは一般人はあまり沖縄の事情に興味がないということなのかもしれない。

まず、第一の人は最初「あなたは教養がないがこの場を荒らそうとしている」と書いてきた。英語で「トロール」といっているのだが「釣り質問だろう」というわけだ。そこで「もちろん双方の視点があり得る」と反論したところ答えが編集されて「嘘をついているわけではないが」「飛行ルートから避けようとしたができなかったのではないか」という主張に変わった。彼は当初「沖縄の人たちはたいていいい人だが、中には熱烈な反対派がいる」とほのめかしていた。つまり「お前もその一味だろう」と考えていたのではないかと思う。

次の人も「この場所が学校だということを知らなかったのだろう」と主張した。そこで、ロイターの記事を添付したところ沈黙してしまった。ロイターの記事には「パイロットは学校の場所知っていて避けたのだ」と書かれていたからである。

最後の人は「言い分が異なっている」ということを認めた上で「適切な調査が必要だ」とした。そこで、日米協定は占領下で作られたので日本政府も警察も調査ができないと書いたが返事はなかった。

いろいろと聞いて回ったところ、個人的に落とし所にした点は次のつである。前提は日米同盟が維持されて沖縄に大半の基地が置かれるというものなので、これに反対する人はいるかもしれない。

  • 日米双方で信頼できる調査機関を作る以外に疑念と相互不審は払拭されないだろう。
  • そのためには協定を変えて少なくとも共同管理に持ち込む必要がある。
  • 努力目標にしか過ぎない協定を結びながら「約束が守られていない」と騒いで見せる一貫しない政府・自民党の対応は非常にまずい。

アメリカ人と会話して気がついた点をいくつか述べたい。

第一にアメリカ人はあまりこの話題には関心がないようだ。この質問に応じたのが軍関係者ばかりだったのがその証左だと思う。そのような状態で「嘘をついている」などと言っても否認されるだけだろう。

これに輪をかけているのが、日本人の姿勢と沖縄の基地反対運動である。日本人は(もちろん沖縄の人も含めて)関係性構築を重視するので目の前にいるアメリカ人に意見を言ったり対立するような言動は避ける傾向があるのではないかと思う。我慢した結果、最終的に爆発して基地反対運動が起こるのだが、普段の「優しい沖縄人」の言動とあまりにも違っているので「あれは極端な人たちが言っているだけなのだろう」と考えるのではないかと思う

このように協調を前提としない反対運動は逆効果にしかならない可能性が高い。日本でも「ネトウヨ」というと学歴が低い人たちの抗議運動だと捉えられがちだが、アメリカでも同じような傾向があるのではないだろうか。一方、共感を示しつつ冷静に対応すると「あれ、何かおかしいぞ」くらいの反応が得られるわけだ。

  • 普段から基地に対する不満を現地の兵士たちに伝えるべきだ。現状を改善したいなら「アサーティブさ」を覚えるべきである。
  • 極端な抗議運動は却って基地の返還を難しくするだろう。

誠意に訴えかけるのが大切かもしれないとも思った。特に英語の質問は運営の仕方によっては荒れるなと思ったので「人を動かす」という本の誠意に訴えかけるという手法を使った。

具体的には日米関係は大切であるということを強調した上で、アメリカ人は一度できあがった約束は守るという印象があるのになぜ海兵隊は約束を破るのだろうかと聞いたのである。今回は人を動かすところまでは至らなかったが、対立は避けられたようだ。

  • アメリカ人と話をするときには相手を尊重する姿勢を見せることが重要だ。
  • かといって相手を慮って妥協してはいけない。

今回の学校の件については英語メディアの関心もありいくつかの記事が出ている。BBCも最初に窓枠が落下した時点で取り上げていたように思える。しかし、協定(飛行空域が守れれておらず深夜の飛行も多い)が守れられていないという件については英語版の記事が見つからない。主に日本政府や本土の人たちの世論に訴えるような記事になっている。

日本政府には心理的にも実力的にも当事者能力があるとは思えない。総理大臣にはアメリカに訴えかける意欲がなく、防衛大臣も困り顔をしているばかりで実行力がない。彼らができることは、近隣諸国の悪口を触れ回ることと、アメリカにすがりついてご機嫌をとることだけである。

  • 日本に訴えかけるのをやめて、アメリカに直接訴求すべきである。つまり英語で情報発信しないと問題は解決しない。

蛇足になるが、今回小野寺防衛大臣が大騒ぎしたのは、選挙が目の前に迫っているからだろう。

普段は米軍に何も言わず、そもそも約束すらしていないのだから、これは抗議をしていますという選挙目的のポーズなのではないかと思う。この不誠実な対応こそが問題を複雑化している。日本政府には当事者能力がなく、政府として憲法が要請する「安心・安全の確保」という義務を果たしていないし、果たそうとする誠実さもなさそうだ。こうした人たちが憲法を改変しようとしているというのは大変危険なことだと思う。

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