セクシー小泉 – 小泉進次郎環境大臣のほろ苦い外交デビュー

小泉進次郎新環境大臣がほろ苦い外交デビューを果たした。あるテレビ局がステーキを食べたと報道すれば、別の放送局はピザも食べたと報道した。まるで映画スターかアイドルのような扱いである。だが、Twitterでは別のコメントが並んでいた。環境問題をセクシーと表現したのがけしからんというのである。日本では環境問題が「真剣な政治課題とは捉えらられていないんだな」と感じた。




ま安倍首相から見ると環境のような利権が関係しないことはあまり重要ではなく、したがって人気取りに利用できると考えたのだろう。あるいは野党もそう思って取り組んでいるかもしれない。夫婦別姓のような問題も含めて人気取りだと思っているわけである。日本の環境人権とはその程度の位置付けの問題に過ぎない。だが、世界ではそうなっていない。

これまでそれが見えなかったのは日本の大臣が通訳に守られていて直接外国と結びついていなかったからだ。小泉さんはそれを突破してしまった。彼は英語が話せたからである。突破したこと自体は良かったと思うのだが、評価は散々だった。

小泉大臣の英語力は「中身に結びついていなかった」のは確かだ。Quoraでもこの話題で持ちきりになっていて「中学生レベル」と酷評する人もいる。英語が堪能だけに「中身がない」ことが露見してしまう。例えて言えば高校生や大学生がいきなり学会に登場したような感じになってしまったのだ。これが感覚的にわかってしまうことが今回の痛々しさにつながっている。

このことから日本の英語教育が二段階遅れていることがわかる。多くの日本人の英語はカタカナ・イングリッシュどまりなので「英語さえ話せればなんとかなる」と思っている人が多いが、実は英語で何かを学んでそれを人に説明できなければ「単に英語ができるだけ」の人になってしまう。実は日本人が憧れているのはとても空虚な「英語だけができるが何も話せない人」なのである。

さらに環境問題が脚光を浴びたことで日本の環境問題に対する意識の低さも浮き彫りになった。

環境問題はかなりアイデンティティに結びついた難しい問題になりつつある。「Trump’s plan to revoke California’s power to set its own automotive-emissions standards isn’t about cars or California — it’s about Obama」という記事は、トランプ大統領がカリフォルニア州の自動車排出基準決定権を取り上げる予定だと書いてある。カリフォルニアの一部の先進的な人たちにとって環境は大切な問題だが、日々の暮らしに追われている人たちにはとても贅沢で現実離れした要求に見えるだろう。そして自動車業界にとっては業界を潰しかねない深刻な問題に見えている。

カリフォルニアの中でも環境意識には差があるようだ。環境問題に関心がある沿岸地域だけ別の州になるべきだという議論さえあるそうだ。たかが環境問題が州や国の形を変えるかもしれない状況は日本人には信じがたい。原発で海や山が汚されても「他人の県でよかった」と思ってしまう日本人には環境問題が理解ができないのだ。

さらにグテーレス国連事務総長は環境問題を自分の代に解決する課題にしたいようだ。16歳の活動家Greta Thunbergが何もしてくれない大人たちにhow dareと訴えかけるスピーチが瞬く間に世界に拡散した。なかにはThunbergさんがトランプ大統領を睨みつけるというショッキングな写真も報道されている。

日本では「セクシー」が一人歩きしているようだが、実際に反発されているのは、日本(全体)が環境問題について大したアイディアを持たず、福島の問題を放置し不始末を文字どおり水に流したうえ、ニコニコ笑いながら「環境問題をかっこよく解決しよう」と言っているという点にある。これが放置されていることの恐ろしさを日本のマスコミは感じることができなかった。

日本のように余裕があると見なされている成功した経済大国が問題意識を持たないということだけでも理解されにくいのだが、自分たちの国で大事故が起こったのに何のメッセージも発信せず、まるで何もなかったかのようにスマートに行動する姿には違和感を感じる人が多いはずだ。

もともと環境問題や人権問題には「余裕がある人の問題」だと捉えられかねない側面がある。社会主義に関してはシャンパン社会主義という言葉もある。リベラルは金持ちの戯言であって中間層は無視されているという理解である。これが保守層への追い風になるのだ。小泉大臣が現実の問題に一切関心を示さず「環境問題はかっこよく解決したいですね」といってステーキ(ステーキは環境に悪い食べ物とされている)を食べたというのはそれだけで反発されてしまうのである。

もちろんこうした感覚を共有する人は日本にもいる。Yahoo!ニュースでこんな記事を見つけた。

原因となる温暖化ガスを排出するのは、工場や交通機関ばかりではない。食料となる家畜の育成には、1年に生成される温暖化ガスのうち約15%が輩出されるという。中でも牛肉は最も環境負荷が大きく、1kgを生産するのに二酸化炭素換算で14.8kgの温暖化ガスを排出する。これは鶏肉の13倍、ジャガイモの57倍にもなるものだ。

「環境問題はセクシー」と発言した進次郎氏は、「まさか」の坂を転げたのか

意識低い系の我々からみると「なんと大げさな!」と思えるのだが、これが今の環境主義者たちの常識になっているのだろう。世界の一部では環境問題はイデオロギーの領域にも来ているのだが、日本人はこうした感覚をもはや理解できない。実はセクシー小泉環境大臣はかなり最先端の領域に丸腰で飛び込んでしまったのである。

単に言葉尻で非難されているわけではないのだ。