ニューキャラクター : ゼレンスキー大統領

トランプ大統領の電話の内容が公開された。形のうえではウクライナの新しい大統領ゼレンスキーさんへのお祝いということになっている。大統領就任ではなく議会選挙で勝ったお祝いだったのだそうだ。このゼレンスキーさんについて調べてみて「新しいキャラが登場したなあ」と思った。民主主義が世界各地で音を立てて崩れている感じである。




トランプ大統領はすでに議会から承認されている支援を止めた上で、形ばかりのお祝いを言い、ドイツは何もしてくれないよね仄めかした。その上でお礼をしてくれと言うつもりはないがと切り出す。これだけを見ると「トランプ大統領はとんだゲス野郎だ」などと思える。

そこでゼレンスキー大統領はドイツは何もしてくれないと同意した上で、ミサイルも買いますからと応じた。

ここでトランプ大統領は民主党の情報漏洩問題に関連しているウクライナの会社について話し出し、ウクライナの検察当局者の名前などをあげながら込み入った話を始めた。

さらにゼレンスキー大統領は自分の友人がトランプ大統領と懇意にしていると持ち出して会話を終了した。

会話にはロバート・マラーという名前が出てくるがこれはロシア疑惑を操作したモラー特別捜査官のことだろう。ジュリアーニ氏は現在トランプ大統領の顧問弁護士をしている。ポール・マナフォート氏はトランプ大統領の選対本部長だった人だが、その後選挙キャンペーンの捜査に協力した。だが偽証が多くその後禁固3年11ヶ月の有罪判決を受けている。こうした多くの人名がスラスラ出てきて話が通っている。実はそのこと自体が極めて違和感を感じさせる。トランプ大統領はゼレンスキーさんと会ったことがないようなのだ。

ゼレンスキー大統領

ゼレンスキー大統領は元々俳優コメディアンでプロの政治家ではなかったそうだ。またウクライナ語があまり得意ではなくロシア語の方が得意なためロシアとの親しい関係を望む一般有権者から支持されたという。背景には前大統領のウクライナ主義がある。

ウクライナにはポロシェンコ前大統領が私腹を肥やしているのではという疑念があった。そこで、政治素人で実績のないゼレンスキー大統領が地滑り的に勝利したという記事を朝日新聞で見つけた。ただ、このゼレンスキー大統領には後ろ盾がいるようだ。ポロシェンコ前大統領にに敵視されていたお金持ちのコロモイスキー氏との関係がありそうだというのだ。

また朝日新聞の記事にはEUの大使たちが大統領のあまりの政治知識のなさに呆れたという話も出てくる。全く政治知識のないはずの人がトランプ大統領と彼の人脈については事細かに知っている。

ポロシェンコ前大統領はヨーロッパに接近しロシアと離れることで政治勢力を保とうとした。それを追い落としたい勢力は当然別の勢力と結びつけばいい。となると彼らの関心事は一体何なんだろうかということになる。

トランプ大統領の電話記録を読んでもすべての人間関係を即座に把握することは難しい。トランプ大統領はロシア疑惑を「ヒラリーのでっち上げ」にしたいという話があり、それとは別にバイデン候補のことも頼んでくれないかと依頼しているようだ。ヨーロッパの大使から「政治については素人」と評されたゼレンスキー大統領なのだが、とにかくトランプ大統領の件についてはツーカーなのである。

壊れゆく共和制民主主義

いわゆる共和制民主主義の国は国内を一つにまとめることが難しくなっているようだ。アメリカはもうそうなっていてトランプ大統領はありとあらゆる手段を使って民主党の選挙を妨害しようとした。まずロシアを味方につけ今やウクライナもて名付けようとしている。ところがウクライナにも国家権力を掌握したい人とそれでは困る人がいる。そこでアメリカと結びついて権力を奪取したということになる。

実は韓国も同じことになっている。軍・検察・保守・財閥という結びつきがあり、それに弾圧された側が政権についた。そこで政権は民意を背景にして検察改革を行おうとしている。この時に保守側が結びついていたのとは違う国に接近するのは定石である。だから朝鮮民族主義が出てきたり中国が出てきたりする。

問題なのはこうした国内の分断が海外と結びつき始めているという点である。ある種国家主権を脅かす病気のようなものだがそれが伝染するように各地に広がっているようなのだ。

こうしてその時の内政によって国同士のアライアンスも流動的に動くというのが現在の国際政治のようだ。決して先行きが読めないのである。場合によっては極端から極端に揺れ動くことになるのだろう。

日本は立憲君主制の決められない国だ。実質的には主権者不在の状態であり、誰も何も決められないし決めたくないからである。そのため関係を構築して固定しようとする傾向がある。おそらく独裁国家や君主制の国とはそれでうまくゆくはずである。しかし共和制の国は次から次へと手を打っていないと相手に食われてしまうという状態になっている。日本人が外交について潜在的な不安を抱えているのは多分そのためなのだろう。先行きが読めなくなったと思っているのだろうが、実はもはやその先行きそのものがないのかもしれない。