トランプ大統領終わりの始まり

トランプ大統領の弾劾の可能性が少しづつではあるが高まっている。これまで弾劾された大統領はいないのだが、最初から規格外の大統領だったため終わりも規格外になるかもしれない。




まず今回の弾劾審議ついておさらいする。アメリカでは上院と下院に弾劾審査権限がある。権限は極めて強いのだが証明も極めて難しい。このため今まで実際に弾劾された大統領はいない。今回問題なったのはウクライナ大統領との会話だった。バイデン民主党大統領候補に不利な情報調査を依頼した疑惑が持たれているのである。大統領は電話の内容を一部公表し、実際にそのような会話が行われていたところまではわかっている。だが電話の内容はそれだけではないようだ。さらに電話の内容をシステムから削除したのではないかという疑惑も持たれている。この「隠蔽」はウォーターゲート事件を思わせ、大統領選挙には不利に働くだろう。

ダイヤモンドオンランで見つけた記事によると、下院が検察のような役割を果たし、上院が裁判所になるということのようだ。

米国の憲法には、「反逆罪、収賄罪、その他重大な罪、または軽罪」をおかした大統領を弾劾できる規定がある。下院議員の過半数の賛成で弾劾訴追され、上院で開かれる弾劾裁判で3分の2以上の賛成があれば、大統領は罷免される。

トランプ大統領を辞任に追い込める、意外な「弾劾の抜け道」とは

これまで証言者(英語ではホイッスルブローワーと呼ばれているようだ)が又聞きの一人だったのだが、今回の二人目のホイッスルブローワーは一時証拠を持っているようだとBBCが伝えている。

さらに共和党が多数を占める上院でも「弾劾裁判入りやむなし」という声が出ているそうだ。下院は民主党優位なので弾劾が要求される可能性が高い。ここで上院がそれを差し止めてしまえば社会の非難が上院に向かいかねない。このため上院でも弾劾審議は行われているだろうと言われている。さらにトランプ大統領はシリアからの撤退を決めた。これが問題になっていて共和党の一部の議員がとても怒っている。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がシリア北部の要衝地域からの米軍の撤退を決めたことを受け、トランプ氏を強く擁護してきた議員らを含む共和党の重鎮らが7日、怒りをあらわに大統領を批判し、同盟勢力であるクルド人を見捨てる決定だと警告した。

米共和党、トランプ氏に猛反発 シリア撤退決定で

世論がトランプ大統領に味方しないのは反省する兆候が見られないからである。あろうことか中国もバイデンさんを調査したほうがいいのではないか?と言っている。

国民主権とは恐ろしいものだなと思う。「国民が選んだ」というのが錦の御旗になっていてそれ以上の歯止めがない。拮抗した権力構造が二つできると非難合戦が始まり、行き過ぎると韓国のように司法や検察を巻き込んだ戦いになる。

韓国ではこうした対立が定常化しており、政策論争ではない感情的な争いが続いている。もともと民衆弾圧が抑えられなくなり始まった韓国の民主選挙は軍部の台頭を抑え込むことができるようになったが検察権力が排除できなかった。このため大統領は大抵悲惨な最後を迎える。

革新系の盧泰愚大統領は最終的に自殺に追い込まれている。当時の記事を今読むと側近だった文在寅元民政主席(当時)の恨が感じられる。このまま検察権力が温存されれば文在寅大統領も同じような末路をたどるかもしれないのだが、それでも改革を成し遂げなければならないと考えているようだ。

我々はこれを韓国の失敗だと思っていたのだが、実はありふれた民主主義の失敗なのかもしれない。つまり、アメリカでも共和党側の大統領が弾劾により追放されれば、今度は共和党側が民主党大統領や候補者に司法を使って同じ仕返しをするかもしれないのである。

トランプ大統領はかなり追い込まれているようで、フィンランドの大統領の目の前で記者を罵倒してその場から立ち去ったり安倍首相は39歳だといってゲラゲラ笑ったりしている。

そう考えると二大政党制というのは戦争一歩手前の極めて危険な状況の別名だった可能性がある。物事を曖昧に済ませる傾向があり、それによってトラブルを避けてきた日本人がなぜこのような危ない体制に憧れを持って選挙制度を変えたのかという疑問まで持ってしまった。

いずれにせよ日本人は選挙で選ばれた政治家が全てを変えられるということは信じていない。このため二大政党制の元でもこうした極端な対立が起こらないのだろう。今回の代表質問もどこか生ぬるくやる気のなさが感じられたのだが、アメリカや韓国を見ているとこのダラダラ感にもメリットはあるのかもしれないと思ってしまう。

民主主義にはある種の激しさがある。