線状降水帯の恐怖を経験する

千葉市付近に強烈な雨が降ってきた。朝の時点では昼頃にはやむかなあなどと気楽に構えていたが止みそうにない。そのうち不安になってきた。食べるものがないわけではないが「このまま閉じ込められたらどうしよう」などと思ってしまったのだ。今回感じたのは雨の恐怖ではなく情報氾濫の恐怖である。




雨が止まないのはこの付近で雲が湧いて線状に北から南に伸びていたからだ。いわゆる線状降水帯というものである。話には聞いていたが経験したことはなかった。ただ、気象レーダーがあるので雨についての状況はすぐわかる。記録を見るとわかるのだが、それほど壊滅的な雨が降っているというわけではないのだが、それが数時間同じところで降り続けるのである。つまり、雨としては未曾有という感じではない。

雨がひどくなって移動できなくなってから千葉市が警告を出し始めた。自治体が出す警告にはなんとなくアリバイめいたたいものがあるのだがこれが出てから行動しては間に合わない。というよりその時にはもう外には出られない。これが最初の急につながる。つまり「そんなに大変なことが起きているのか」と思ってしまうのである。

ところが止み間が出てくる。そこで外に出て買い物をすることにした。後で冷静に考えたら別に買いに行かなくてもよかったのだが、慌てていると冷静さが幾分失われてしまうのである。ところが雨はそこでは止んでくれない。また降り始めた。

そのうちにTwitterがおかしくなり始めた。千葉駅が浸水したとか佐倉駅が川みたいになったというのである。事前にこの近くは台地になっていて大きな川がないということはわかっていた。それでも不安になる。もともと心の準備が全くできていないうえにあれよあれよという間に情報が氾濫するので追いつけなくなってしまうのだ。

テレビは駅などのメジャーな場所は扱ってくれる。そのうち部分的に都川や村田川といった近くにある川が溢れかけているようだという話が断片的に入ってきた。ところが肝心の周りの状態がわからない。千葉市は近くの川がモニターできるカメラなどを持っていないようだ。そこで「外に出て様子が見たくなってくる」のである。よく川を見に行って流されたという話は聞くし「ばかだなあ」と思うのだが、急激に状況がエスカレートすると合理的な判断ができなくなるのだろう。特に普段の流れが穏やかな中小河川ほどウェブカメラを設置したほうがいいかもしれないと思った。一級河川ではないありふれた都市水路のほうが実は状況が豹変しやすい。

雨が止むとほっとして状況が確認したくなる。この付近には大きな川はないが、県をまたぐような大きな川はあとから水が押し寄せてくる可能性がある。1日遅れで街が氾濫したというような話もあるのだが行政単位ごとに情報を区切っているので全容がわからないのだろう。周囲の状況が確認できる情報システムを整備しない限り、こうした犠牲者はこれからも出続けるだろうと思った。

結果的に5名が亡くなったというところで一旦話は落ち着いた。後になって朝日新聞は千葉と福島で10名が亡くなったと伝えている。あの程度の雨でもまとまるとこれくらいの死者になってしまうわけだし、ある日突然やってくると思ったほうがいい。

朝日新聞には高校生が帰れなくなったという話が出ていたが、千葉市では帰宅困難者も出たそうだ。さらに、成田空港へ行けなくなった人たちもいたようである。外国人は情報が不足して大変だったという話をQuoraで聞いた。いずれにせよ、朝の時点ではそんなことが起こるとは全く予想していなかった。普段から情報が入手できる手段を複数確保したり周囲の状況を確かめたりしたほうがいいが、一旦状況が起きたら逆に慌てないほうがいいのだが、とにかく情報が圧倒的だ。こんな中で平常心でいるのは難しいかもしれないが、それでも落ち着かなくてはいけないのである。

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