国民は野党をピコピコハンマーだと思っている

桜を見る会の疑惑が消えない。消えないどころかどんどん大きくなっていて、ついに反社会勢力が入っていたという話になっている。さらに安倍首相の事務所もスタッフの旅費を支払っていたという疑惑が持たれているようだ。野党は審議拒否を決めたようだ。審議されても自分たちが国民から信任されていないということがわかってしまうだけなので彼らにとっては合理的な判断なのかもしれない。一方、憲法審査会では石破茂議員が「指してもらえなかった」としてご立腹のようだ。




国民はお花見の私物化について倫理的に悪いことだとは思っていないだろう。だが、このところ安倍政権はちょっと調子に乗っている。この辺りでお灸をすえてはくらいの気持ちなのではないだろうか。つまり、野党も石破議員もある意味国民の期待を代弁している。それはピコピコハンマーのようなものだ。叩いても痛くはないが派手な音がするので叩かれた人たちは恥ずかしいというあれである。

第一次安倍政権の時には最終的には安倍首相が政権を放り出して終わった。今回もそんな感じで終わりそうになってきた。前回は郵政選挙で等を放逐された人たちを復党させ、その後閣僚の失言が止まらなくなり、選挙に負けて政権を放り出したという順番だった。だが、今回の刑罰はもっとひどいかもしれない。何も決められないまま放置されてしまうのである。

政権が交代する時には、政党がコンペをした上で政権競争をして変わって欲しいと思う。ところがこういう「べき論」を振りかざしてみても現実はそうはならない。実際に日本の政治には課題があるが、その課題を解決したいという政治家は誰もいないのだ。

それでは日本にはどのような課題があるのだろうか。野口悠紀雄さんが「日本は構造的不況の状態に入った」という記事を出している。「日本経済は「長期的な縮小過程」に入った可能性が高い理由」という記事である。

  • 日本は長期的な縮小過程に入った可能性が高い。一人当たりのGDPが縮小傾向に入ったからである。
  • 原因は「非製造業」の「大企業」が零細企業化しているからである。
  • 金融政策や追加財政出動ではこの問題は解決できない。
  • 構造改革をすべきである。

野口先生はずっと構造改革を言い続けているがずっとスルーし続けられている。日本はもう長い間製造業に変わる牽引産業を探すことができていない。国全体で見ると高齢化が進んでいて新しいサービスを消費する人がいないからかもしれない。

あるいは、生産性が低いままなのはITへの取り組みが決定的に遅れているからなのかもしれない。

ただ、日本企業全体におけるIoT、AI、ロボット、クラウドといった新技術の導入割合は、まだ高くない。昨年の経済白書では、こうした技術のうち1つでも導入した企業の割合は36%にとどまっていると指摘している。

焦点:動き出す流通業界「生産性革命」、AIとロボット連携に広がり

総論として「IT化を推し進めるべきであろう」というような意見が出されることはある。解決策として学校に一人1台のパソコンをおこうという動きも出ている。だが政治家は国民のやる気にアクセスすることができない。「どうせ政治家は好き勝手にやっている」のだから「ピコピコハンマー」で牽制しつつ「我々も好き勝手にやらせてもらおう」という気持ちがあるのだろう。安定の中の停滞である。そしてそれは過去の蓄積に支えられている。海外に債権を持っている日本経済が信任されなくなることはない。おそらくしばらくの間は借金もし放題だろう。

なぜITへの取り組みができないのか。こういう話は総論を聞くよりも街の噂話のほうが実感がこもっていることがあると思う。

最近「何とかペイ」が流行っている。政府が導入を進めているからである。だがマクドナルドで後ろの主婦たちが「戸惑う高齢者が多くバイトの自分たちにもよくわからない」というような話をしているのを聞いた。どうやら何人かの「社員さん」たちは技術にキャッチアップできている人もいるようだが、全体的には全く底上げが進んでいないらしい。ここにも非正規化と高齢化の影響がある。パートの人たちが新しい技術について行く必要はない。時給仕事だからだ。また顧客も高齢化しており新しい技術について行けなくなっている。何か得なことはわかるしやっても見たのだが、今ひとつ乗れないのだ。政府はマイナンバーカードに25%のポイントをつけるキャンペーンをやるらしいのだが、多分レジはますます混乱することになるだろう。

野口悠紀雄先生は「生産性についての議論をせよ」というのだが、国民の間にはまったりとした怠惰感が蓄積している。海外を知る経営者の中には「日本は後進国になった」といって炎上を仕掛けやる気を出させようという人もいる。だが議論にならない。

こうした停滞が背景にあるので、今回の混乱も安倍政権に代わる自民党の政権ができて「ああ、気分が改まった」といって終わりになるはずである。次はおそらくあまりリーダーシップなどと言いださないみんなの意見を聞いてくれるような無難な首相がいいのかもしれない。ちょうど自民党のプリンス安倍さんから何となく煮えきれなさそうな福田さんに代わったのと同じような感じである。

国民が自らの意思で政権・政策選択をするというようなことはこの国では起きない気がする。良い意味でも悪い意味でもそれなりに回ってしまう。そんな中、永田町というのは関ヶ原のようなもので「武将たちが勝手に戦をしているなあ」などと言って遠くから眺めるようなものなのだろう。我々庶民にとって参加するようなものだとはみなされていないのである。ただ、武将たちは時々増長する。だから自分たちに代わって軽くお仕置きをしてくれるピコピコハンマーが必要なのである。