お花見騒ぎの影で全く語られなかった税収の下振れと追加国債発行

政府は2019年12月13日の閣議で「ちょっと税収が足りないけどもっとばらまきたい」ということで追加の国債発行(2兆円)を決めた。こういうことは国会が終わってやるんだなと思ったのだが、意外なことに野党も反対はしなかった。あるいはお花見騒動というのはこれを隠すための壮大なスピンだったのかもしれない。




ロイターによるとバラマキの内容は下記のようなものである。千葉県南部の台風被災地が全く手付かずになっているのに災害復旧にお金が注ぎ込まれていたり、来年のオリンピックの後の心配をしたりしている。要するにもうなんでもいいからばらまきたいのだ。

政府の経済対策に沿って、1)災害からの復旧・復興に2兆3086億円、2)経済の下振れリスクへの対応として9173億円、3)東京オリンピック・パラリンピック後の経済下支えに1兆0771億円をそれぞれ計上する。

今年度補正予算3.2兆円、税収下振れで赤字国債を2.2兆円追加発行

また、このほかに財政当融資枠も増やしたという。そういえば最近菅官房長官が高級ホテルが50箇所建てられるくらいの資金があるというようなことを言っていたなあと思い出す。

政府はまた、低金利を活用して財政投融資を1兆4503億円追加する。主な追加額は、日本高速道路保有・債務返済機構5500億円、日本政策投資銀行5000億円、国際協力銀行2500億円。

今年度補正予算3.2兆円、税収下振れで赤字国債を2.2兆円追加発行

まさに大盤振る舞いである。こうしたデタラメにもかかわらず日本経済はパニックに陥っていないしかといって好調にもなっていない。経済の状況を見ると「好景気なのか不景気なのかよくわからない」という不思議な状態になっている。

まず、なぜか株価が好調である。アメリカの株高に支えられているそうだが「企業業績はよくないのに株価好調」という説明ができない状態になっているそうだ。つまり、追加の財政出動が必要なほど経済が落ち込んでいるのに株価だけは上がり続けている。

「上がり続けている」とは大げさなと思われるかもしれないが、株式市場をカジノに例えるとチップが足りない状態になっているようだ。アメリカと中国の貿易摩擦が解決する兆しを見せており経済はさらに加熱する心配すら出てきたようだ。NY連銀は53兆円を追加供給して金利の高騰を防ごうとしているという。

一方で中進国を中心に経済不振を背景としたデモが起きている。ヨーロッパの先進国でも財政規律を緩やかにしてでも生活を支えてほしいというデモが起きているようだ。アメリカの若者は社会主義的分配に期待してサンダース候補を押している。また、フランスでは労働者の80万人デモ年金に関する34万人のデモが起きているそうだが、経済が過熱するほど好調ならばこんなデモは起きていないはずである。つまり、株価の好調・借金がしやすい環境とは別に生活苦も起きている。

日本は経常黒字基調にあり世界が稼いでくれればその儲けが入ってくるという長期循環に乗っている。半年で黙っていても10兆円程度が入ってくる。この対極にあるのが新興国経済である。近年経済は伸びていたがなぜかデフォルト危機に怯えるトルコのような経済がある。そして国が超黒字基調でもなぜか消費市場は冷え込んでおり、そこにさらに消費税という重荷が加わっている。

こうしたまだら模様の状態では2兆円追加で国債を発行することがいいことなのか悪いことなのかがわからない。我々にできるのはこのまだら模様をそのまま観察することだけである。そしてこれはいつか弾けるんだろうなあと思う。

立憲民主党などの野党はお花見の私物化については追求したが、追加の国債発行については反対しなかった。野党も追加発行に反対して悪者だと思われたくないし、将来自分たちが政権を取ったら同じようなことをするかもしれない。

特に地方経済は冷え込んでいるようだから、政府だけが大きな使い手となって疲弊した経済を支えなければならない。黙っているとお金は株式市場に流れるのだろう。あるいは株式市場は現在のガン細胞なのかもしれないが、余剰の金が消費市場に流れればモノ不足が起こりハイパーインフレが起こる可能性もあるように思える。

こんな状態なので国家経営はどんどん荒っぽくなっている。税収は60兆円程度だが「2兆円足りないから」という理由で追加発行が出来てしまうのは、そもそも最初から30兆円ほどが借金だからである。さらに日銀が「尻拭い」をしてきたので、今後も「何かあったら日銀に面倒を見て貰えばいい」という議論になるだろう。今のところ日銀は「もう買わない」と言っているようだ。

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