官邸主導で日本の病院が小さな武漢になる日

官邸主導で日本が武漢になるというのは我ながら「煽り度マックス」のタイトルである。実際に書いているのは官邸主導の弊害が顕在化したという話だ。まずは「小さな武漢」の定義なのだが、誰が感染者かわからず集団で監禁されて身動きが取れなくなる状態を指している。ダイヤモンド・プリンセス号がそのような状態になっている。これが日本の病院に広がるかもしれないという懸念である。




武漢から始まった新型コロナウイルスには「COVID-19」という名前がついたようである。難しい名前なのでそのうち「武漢熱」とでもいう名前がつきそうな気もする。中国での死者は1000名を超えたそうだ。高齢者を中心に症状が出ているようで日本でも重症者が確認され始めているそうだ。

情報は出てくるのだが五月雨式で、これが人々を不安にさせる。国会中継を見るとそれなりに適切に対処しているようなので、広報のまずさが目立ってしまう。少なくとも対応するのが加藤厚生労働大臣と赤羽国土交通大臣で良かったと思う。少なくともこの二人は状況を把握しており、何が足りないかも知っているようだ。答弁は一貫して安定していた。場外乱闘も多い国会だが、COVID-19対応は安心してみていられる。

だが、ダイヤモンド・プリンセス号の対応を見ていると厚生労働省はうまくこの事情に対応できていないようである。また官邸も対応を誤ったと言えるだろう。横浜に大きな取材対象ができ、ABCニュースでは武漢の街の様子より先にダイヤモンド・プリンセスの映像が流れていた。おそらく不注意な人が見たら「日本でも感染が拡大している」と誤解するような内容になっているのだ。日本のメディアも船での取材合戦を加熱させている。官邸も外務省もこれを知ってかしらずか放置し続けている。

ダイヤモンド・プリンセス号では船内感染が起きているようだ。2020年2月12日現在、クルーズ船では174名の感染者がいて4名が重症だそうだ。連日のように感染者の数が増えていて、ワイドショーだけを見ていると不安な気持ちになる。ついに検疫官にも感染が確認された。密閉空間で空気を回しているのだから当たり前なのだが、いまだに感染者を隔離することができない。発病するまでに時間がかかる上に全数をPRC検査する体制は整っていないからである。

PCR検査が全数できないのは国のキャパシティによるようである。検査機関は国立感染症研究所など85か所しかないそうだが、民間機関にもテストができるところはあり協力を要請しているようだ。国会で加藤厚生労働大臣は「全数検査できるようにするが時期は約束できない」と答弁していた。意欲はあっても現場が動いてくれないということなのかもしれない。

テレビ朝日の取材によると感染症に対応できる病院は1,800病床あまりしかないそうである。国はついに一般病棟でも入院可能になるようにするという通達を出したそうだ。

状況が整わない仲、岡田晴恵さんという専門家がワイドショーで民間も入れて全数検査しろと主張している。ワイドショーで不安になるのは政治家が出てこず懸念だけが流されるからである。ある番組では田崎史郎さんが一人で政府を代表していた。この人のタイトルは確かジャーナリストだったはずだ。司会者は戸惑いながら田崎さんに質問をぶつけていたが、田崎さんが答えられるはずもない。

実は岡田さんはコロナウイルス騒ぎが起こる前からこのような提案をしていたようだ。Newsweekに記事が残っている。彼女が懸念しているのはオリンピック・パラリンピックであろう。そしてテレビには民間機関の人も出ていて「自分たちは協力できる」と言っている。そしてその声は厚生労働大臣にも届いているようだ。だが、現場が動かないし、テレビに向けて説明もしない。

テレビ朝日のある番組では「お金の問題があり」私立の機関に協力体制を作れないだろうということを盛んに言っている。だがそれ以外にも問題はありそうだ。

第一の兆候は「湖北省縛り」である。政府は湖北省からの入国者を拒否するようだが国にないで広がりが確認されておりこれはもう意味がない。最近浙江省を加えたがその根拠も答弁できなかった。政府内でどのような報告がなされどのような意思決定がされているかを説明できない状態になっている。加藤厚生労働大臣も赤羽国土交通大臣もは状況を把握できているようだが、それが集団になると「なぜか説明できない」という不思議な状況が生まれている。

検査にも湖北省縛りがあったのだが、厚生労働省は「自治体に判断をゆだねているわけではないが柔軟に検査を」と通達したという。事実上の管理放棄宣言である、彼らは国内に協力体制を作れないので縛りを作っているのだが、それが役に立たないということはわかっているので、大阪府や京都市などが「抜け駆け的な」対応をしても事実上黙認している。おそらく厚生労働省は事態の収束ではなくどうやったら責任を取らなくて済むかを考えているのだろう。

では、厚生労働省の現場を責めれば済む問題なのか。最近厚生労働省関係では不穏なニュースが多い。官邸はかなり現場の恨みを買っているらしい。

その件がわかるのが大坪寛子さんの存在である。厚生労働省の「危機管理アドバイザー(大臣官房審議官)」であるが、今ではむしろ和泉補佐官との不倫疑惑で評判になってしまった人である。ダイヤモンドオンラインの記事は「ありえない出世は嫉妬の対象になる」と言っている。しかしこうした「嫉妬」は表沙汰にはならないものだ。

大坪さんには他の風評もある。おそらく彼女に進んで協力を申し出る人はいないはずである。

昨年8月に大坪審議官が山中教授に補助金打ち切りを宣言し、「私の一存でなんとでもなる」と言い放った

機密メモが語る山中iPS細胞事業の危機一髪!

この一連の騒ぎは国会でも取り上げられてきたが「スキャンダル」以上の扱いにはならなかった。実害が出ていないので有権者の関心が集まらなかったのだろう。そのため首相の権威を笠に着て振る舞う人物がそのまま放置されている。こんなことを言い放っているのは「山中教授に対してだけ」と信じたいところなのだが、果たしてどうなのだろう。

今回の件で国と民間が「全数検査する」と覚悟を決めてくれればいいのだが、これまでの大人の事情(とは言ってもわがままな振る舞いと嫉妬なのだが)のせいで官邸サイドが協力を求めるのはおそらく難しいのではないかと思う。さらに、今回の一般病棟解放の通達もおそらくは現場からは戸惑いを持って受け取られるだろう。厚生労働省は基準を示してはくれるが「どうやったらそれが実現できるか」という支援はしないだろうからだ。全て自己責任で、厚生労働省は管理監督するだけという立場である。

このまま別の場所で集団感染が起これば、小さなダイヤモンド・プリンセス号が各地にできることは明らかだ。その場合責められるのはおそらく現場の医師や病院の管理体制だろう。犠牲になるのはおそらく高齢者である。

岡田さんは「院内感染の恐れがあるので行動計画を早めに立てるように」と言っているのだが、彼女は今回の騒ぎが起こる前からそう言っていて、実際には何の対策もとられてこなかった。

加藤厚生労働大臣のような実務型の大臣も岡田さんのように具体的なアイディアを持っている人はいる。できれば官民の人材をオーケストレイト(指揮・配置できる)人が厚生労働省や官邸にいて欲しいのだが、散々不公正がはびこってきた官邸と厚生労働省にそんな人材が残っているのかは疑わしい。そうなれば国はオリンピックどころではなくなるだろうが中止もできない。おそらく最悪のオリンピックになるだろう。

これから先「COVID-19」がどれほど日本に広がるのかはわからない。夏には収束するだろうという予想もあるようである。ぜひそうあって欲しいと思う。だが、我々は官邸主導という関東軍を放置したせいでしばらくは不安な日々を過ごさなければならない。残念ながらこれは全て「安倍のせい」なのである。

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