東庄町の障害者施設集団感染からわかること・わからないこと

千葉県香取郡東庄町の障害者施設で集団感染が起こった。森田県知事はいつもはこの報告会に出ないのだが今回だけは珍しく自分で説明していた。ただ、台風と同様にあまり自分でリーダーシップを取るつもりはないようで千葉市の熊谷市長との違いが浮き彫りになる。次回はお飾りのリーダーはやめた方がいいのではないかと思った。とにかく報道では数だけが一人歩きしているのだが、ちょっと図表を眺めてみたい。




まず図表を見る前にニュースの切り取り方を見る。

AbemaTimesは数だけを伝えている。これだと結果としての数だけが広がりかねないなあと思った。入所者にはまだ検査が終わっていないということだが知的障害者の施設なので整然とテストをするのは難しいんだろうなあというような気はする。

NHKは3月10日に発熱した40代の調理員の感染が確認されそれをきっかけに調査を進めていたと報道している。密閉空間なので外に広がりにくいだろうといっていて「自分ごとではなく他人事」として収めたいのかなと疑ってしまう。

この報道の仕方だと「千葉のかわいそうな施設で大変なことになっているが私たちには関係ない」になってしまう。おそらくこうしたマインドが風評被害を生むのだろうが、千葉県知事がこれに配慮した発言をするということは一切なかった。神奈川県の黒岩知事とはそこが異なっている。やはり台風のときに真っ先に自宅を気にしてしまう人だなあという気がする。

日経新聞はちょっと入り混じった書き方になっている。ちゃんと対策をしていたのに感染が広がってショックだということが書いてあるのだが、一方で、船橋市長の「8割は無症状だった」という感想も取り上げている。まずなぜ船橋市長なのかというと北総育成園は船橋市の指定管理施設なのだそうだ。

おそらく「ほぼ全数への広がり具合」がわかった全国初のケースでありこの感想は非常に的を射ているように思われる。ただしこの懸念が大きく報道に乗ることはなかった。

陽性が確認された職員の8割が無症状。船橋市の松戸徹市長は「これだけいるとは思いも寄らなかった。脅威を感じた」と動揺。「国として取り組み方を変えなければいけないデータになるかもしれない」と危機感を示した。

障害者施設で集団感染、関係者に衝撃 一段の拡大懸念

ということで昨日の図表を作り直した。施設という密閉された空間の中でだいたい半分が感染して半分が感染していないという状況だ。

まず、いいニュースから取りあげよう。おそらく感染者の8割はそんなに大変なことにならないだろう。おそらくこの8割は偶然ではない。すでにクルーズ船の分析結果が出ているがこちらも「8割は軽症・無症状」という数字が上がっている。

この図表をQuoraでシェアして感想を聞いたところ「無症状で感染を広げる人」と「悪化率」について気にしている人がいたのだが、悪化率についてのデータも出ている。クルーズ船の場合は軽症・無症状でも1/3は状況が悪化したそうだ。

入院時は無症状と軽症者がいずれも約4割で、重症者は約2割。無症状や軽症であっても、胸部CT検査では約半数に異常陰影が認められた。その約3分の2は症状が変化することなく回復したが、残る約3分の1は悪化した。

8割は無症状か軽症=CT検査で半数が異常陰影―クルーズ船104症例・自衛隊

つまり軽症者の中にも急激に状況が悪化する人がいる。このデータから予測すると26名のうち1/3はのちに重症化する可能性があるという予測が得られる。

さらに無症状者の感染力がどれくらいのものかはわからない。今の所分かっていないという知見が出ている。早く解明した方がいい。

無症候性キャリアーの感染力が、どの程度かも分かっていない。最近のある分析結果に基づくと、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」のケースでは、感染者104人のうち33人は、日本の自衛隊の病院での平均10日間の経過観察後も症状が出なかった。

焦点:中国に相当数の無症状者、コロナ感染「第2波」に懸念

これについては朝日新聞に後追い記事が出ていた。家族に感染させた人がいたそうだ。ただしこれが軽症者・無症状者からの感染なのかはわからない。県の第二報によると77名が対象で42名に検査が行われそのうち8名の感染が確認されたそうである。20%だからかなりの確率で広がっていることがわかる。

ドイツでは何もしないと6割から7割が感染するという予測があった。試算根拠は明らかではないが抗体を獲得した人が堤防になり全員に感染するということはないということなのだろう。感染が7割で止まると仮定すると30%には感染せず、56%(70%の8割)は無症状か軽症ということになる。だが、おそらくその人たちは感染を広げ、知らず知らずのうちに肺が損傷していたりのちに重症化する場合もある。

14%が重症になるが死者数の割合は医療崩壊するかどうかによって大きく変わる。仮にイタリアのような医療崩壊が起きたとするとイタリアの致死率は10%だそうなので1.4%が亡くなることになる。仮に少なく見積もって1%だったとしても100万人が亡くなるということになる。これは当初から言われ続けている数字である。

船橋市長が心配しているように感染者の8割が無症状で「医療スクリーニング」にかからないという視点は非常に重要だ。だが、今のところほとんど報道されていない。ただ単に「大変だ大変だ」と騒ぐばかりになっている。Twitterで教えてもらったところBCGに関して「科学的知見が正しいかどうか」で神学論争的な議論も起きているようだ。全て単なる仮説なんだからどう検証するかを考えればいいのに、なぜかそうはならない。

実際は半数が軽症・無症状で済むということを考えるとロックダウンは「やりすぎ」かもしれないが、やはりこの軽症・無症状者を早く補足する方法を見つけないと拡散を止めることはできないだろう。無症状患者が24日目に新しい人を感染させたという話も一部で報道されているようだ。

PCR検査に拘らなくても抗体検査である程度のことは分かるそうだ。簡便な検査方法か治療方法を確立しないと経済の死か人間の死かという二者択一状態はなくならないだろう。

それにしても一部に「断固として議論を建設的な方向に持って行きたくない」という人がいて議論を妨害していることに驚かされる。大げさではなく人類の知性が試されているような気がする。

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