嘘はつかなかった安倍政権 – 10万円一律支給を巡って

安倍政権の10万円支給スキームがわかった。嘘はつかなかったなと思った。と同時に本当のことも言わなかった。おそらく安倍政権が行ってきた「詐欺的話法」の変種なのだが、それに気がつかない人も多いに違いない。大体的にアナウンスをしておいて後でがっかりさせるといういつものやり方である。政権批判につなげたい人も多いだろうが、ここは冷静に詐欺の手法を見極めたい。




前回予想したスキームで「オンラインでも新しく窓口を作るのだろう」と思った。そうしないと本来の趣旨を達成できないからだ。だが、実際にはマイナポータルにモジュールを足すことにしたようだ。「え、たったそれだけ?」と思った。

おそらく新しい仕組みを作ると大混乱するだろうしそもそも受けてくれるベンダーはいないだろう。だからこれは「いいこと」である。だが「ああやっぱりな」とも思った。結局何もやる気はないんだろうというがっかり感がある。

マイナポータルはほとんど使える人がいない。マイナンバーカードを持っている人は人口の15%未満であり、その中で非接触型のICカードリーダーを持っている人はもっと少ないだろう。マイナンバーポータルは税金を使った公共事業であり、利用されることは特に想定されていない。実質的にはオンラインの入り口はないに等しいが少なくとも政府は「オンライン窓口は用意していない」とは言わなくて済む。

実質的には郵送である。世帯単位になることには不満も出ているようだがこれもこれで構わないと思う。おそらく自治体の事務作業はパンクするだろうが、世帯単位でなく個人単位だったら単純に事務手続きがもっと大変になるだろうからだ。

ただ「5月には開始できる」というのもほぼ嘘だったんだなあと思った。おそらく多くの自治体では支給は6月か下手したら7月くらいになるだろう。この件に関しては2つの異なるメッセージが出ていた。

ひとつのメッセージは田崎史郎さんから聞いた「夏頃になるのでは」という話である。もうひとつのメッセージは西村大臣から聞いた、リーマンショックの頃からかなり進化していると「聞いている」という話だった。どちらも本当だったわけだ。

結局、高市早苗総務大臣(昔の自治省が地方自治体を管轄していたので地方自治への事務委任担当は総務省なんだなあと思った)がおっしゃったのは、小さい自治体は5月くらいから配布できるところも出てくるのではという話だった。「人口規模が小さい市区町村で準備が整えば、5月からの給付も可能」と仰っている。

これを解釈すると「なんか知らないけど、ちゃっちゃとやれるところは5月くらいからできるんじゃないの?」ということになる。発想は内閣府だしやるのは自治体だから高市さんにとっては完全に他人事である。つまり、地方自治体に事務を丸投げして「あとは知らんもんね」ということになる。この無責任さが安定の安倍政権クオリティだ。

ここに麻生財務大臣の意地が乗った。それは支援金受け取りの自粛である。チェックボックスが作られ自治体のお仕事が一つ増えた。申請用紙にもご丁寧に辞退の意思を示すチェックボックスをつけたそうだ。

内閣では受け取らないことを決めたそうだ。これは「困っていない人は受け取らないで」という暗黙のプレッシャーである。広島県では公務員から10万円を取り上げようという動きも出ているそうだ。供出と書いている新聞もある。

そもそも支援金の話は「自粛で収入がなくなった人の支援」や「自粛で営業機会を失った企業への補償」という目的で始まったのだが、国民の間に広がった空気によって何のための金なのかがわからなくなった。それに「なんとなく困った人だけが受け取るものをあなたが取るんですか」という罪悪感を自治体の事務作業を増やしてまで植え付けようとしている。通常の詐欺よりもタチが悪い。

だが、西村大臣に任せずに地方自治体に丸投げしたのは「まだマシな」判断だった。おそらく官邸の発案で始まったと思われるマスクがひどいことになっている。官邸には実働部隊がいないので仕事が雑になってしまうのである。

400億円以上のお金をかけてカビだらけのマスクが発送されたそうだ。おそらく総理側近が興和・伊藤忠商事・マツオカコーポレーションに投げたのだが調達が大変だったに違いない。興和はマスクが本業の一つなのでマスコミに報道されれば風評被害が出ることになる。おそらくこの報道が出ればアベノマスクを使う人はいなくなるだろう。カビが生えたマスクなど寄付すらできない。

さらにこの原価が90億円であることがわかった。当然、福島みずほ参議院議員にロックオンされてしまった。「残りはどこにいった?」というわけだ。総理からお小遣いをもらったらポケットに入れずにはおけないという人がいるのかもしれないと思わせる。仕事が雑な上にわざわざ火種を作っているのである。

だが、国民は「政府におねだりすればお金が降りてくる」ということを覚えてしまった。原資がいくらでもあるなら少々懐に入れてくれても構わないと思うだろう。その代わり「いうことを聞く代わりにいくらくれますか?」ということになる。嘘つき政権と土壇場になってSNSで騒ぐ国民という「最悪」な組み合わせができようとしているのかもしれない。

おそらく統治側の理屈からゆくと人心一新のために表表紙はもう変えたほうがいいだろう。おそらくこのままでは国が持たない。

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