日本政府が無尽蔵に借金をしても国がつぶれないのはなぜか

新型コロナをきっかけに日本政府は無尽蔵に借金をしてベーシックインカムをばら撒けるはずであろうという説が出てきた。無税国家というと眉唾なような気がする。そこでお金の流れを考えてみることにした。




まず、Quoraの専門家の話を読んでみた。今回くらいの「バラマキ」が財政に決定的な悪影響を与えることはないようだ。ただ、細かい根拠は数式が読めないと理解できない。またQuoraには経済学の先生のような人が複数名いないのでクロスチェックもできない。で、あればMMTやベーシックインカムといった「トンデモ」と言われている政策も実現可能なのではないかと思える。MMT推進論者の回答も読んでみたのだが「インフレが起こるまでは通貨発行しても構わない」と言っている。ただし、通貨発行を目的にする人と政府主導の需要の創出の原資としてMMTを使いたい人とがいるように思える。Quoraを探すといろいろ見つかるのだが情報が散逸しているので集めるのが極めて面倒である。便宜的に項目を作って意見をまとめてみた。

ここまで整理できたので全体の流れを見る。

わかっているところとわかっていないところがある。見ていただきたいのは実は2点しかない。日本企業が内部留保を蓄積し続けているという点(黄色いお金の袋)と日本政府の借金である国債(紫色の袋)が増え続けているというのがまず1点目だ。次は日本は海外にお金をたくさん貸していて利子収入をたくさん得ているということである。実は新型コロナで経済が止まると経常収支は黒字になる。2020年2月は3兆円を超える黒字だった。つまり日本は産業で損をしてそれを海外からの利子収入で補っているという国なのだ。ただし、その利子収入がどこに行っているのかはわからない。

貯蓄

いびつになっている理由の一つは年金会計だろう。日本の年金は公的付与と企業からのサポートで成り立っているのだが少子高齢化を背景に年金基金には多額の政府資金が入っている。なのでこの回路を回し続けると政府には自動的に借金が増えてゆく。

さらに経済が止まると黒字が増えることからわかるように日本は遊んでいた方が得をする国なのだが、かといって遊んでいると従業員に給料が払えず法人も法人税を国に納められない。

借金

ただし、この図ではわからないこともある。従業員と書いた現役生産年齢の暮らしは厳しくなっているようだが実態がわからない。間接的に分かるのは高齢者はたくさんの貯蓄を持っているが現役世代は貯金ができなくなっているという事実である。よくはわからないが高齢者の暮らしが支えられる一方で現役世代の暮らしは苦しくなっているようだ。それは少子高齢化を加速させ、その結果として政府の借金が増えている。

この図式では企業の黄色い袋は増えてゆく。そして政府の紫の袋も増えてゆくようである。これを日本政府から日本銀行に移そうというのがいわゆる「財政ファイナンス」であり、政府がそのまま持ち続けようというのがMMTである。

ただこのスキームは破綻しない。第一に海外から多額の利子収入が入ってくる。元々の原資は国民の貯蓄だった。これが今になって実を結び国外に富が流出するのを防いでいるのである。新興国では資金逃避が起きていている。100日で10兆円がなくなったという。日本にはこのような心配はない。

もう一つの理由はおそらくは誰もお金を使わないことだろう。企業は内部留保を持っているのだがこれを消費した瞬間にハイパーインフレが起こるだろう。つまり市中にお金が流れ出すが、そのお金を使って買えるものが不足するからだ。すると通貨の価値が下落してインフレが起こる。日本でインフレが起こらないということは誰もお金を使っていないということになる。おそらく企業は安心のために多額の資金を手元に置いている。

ということで、財政ファイナンスであろうがMMTであろうが、誰もお金を使わない限りは黄色と紫色の袋がいくら増えてもバランスは崩れない。だから政府が「少々お金をばらまいたとしても影響はない」ということになる。

この辺りまではとても簡単なので、経済学を勉強したことがない人でも理解しやすいと思う。問題はここから先である。

第一に「日本経済は結果的にバランスが取れている」のであって、その詳細がどうなっているのかは誰にもわからない。つまり何らかの理由でこれが逆さ回しになった瞬間に全体が崩れてしまう。原理的にそれがいつになるかは誰にもわからない。

インフレが起こるということは貯蓄の価値が低くなるということである。貯蓄の価値が低くなればおそらく人はお金を使うことになる。または利子が増えてゆく。お金を使う人が増えればものの価値は下がるのでインフレが加速する。

利子が増え出すと国の借金は重くなる。おそらく利払いの先は企業だろう。すると使える金は少なくなってゆく。そこで考えられるのは企業から取る(法人税)か、生産年齢から取る(所得税)か、年金支出を抑えて消費税を増税することで年金生活者から取るかだろう。

積み上げたものはいつか落ちてくる。

法人税から取れば逃げられる企業は海外逃避するだろうがこの可能性はあまり高くなさそうである。日本企業は国際化が遅れていて逃避が難しいからだ。ただし企業は政権と密接な関係があるので政治的には難しい選択肢になるだろう。

所得税に課税することもできる。年金生活者と企業という政権のスポンサーを守れる。だがこれまでもこの路線による現役世代窮乏化政策が取られており、おそらくこのやり方は少子高齢化を加速させる。

最後は年金生活者から搾り取ることだ。消費税をあげればいい。高齢者は平均貯蓄率が高いと言われているのだが一方で困窮している高齢者もいる。おそらく、これはギリギリの生活をしている高齢者を選択的に殺すことになるだろう。

MMT理論やヘリコプターマネー理論は「経済の見込みが悪くなるであろうから使わずに取っておこう」という不安心理を背景にして正当化されているように思える。これ自体は「インフレが起こるまでは続けられる」としてもかまわない。

ただ、ダムが水を貯めているような状態なので、おそらくダムが解放された時にはかなりの激流となるだろう。システムがそれに耐えられる保証は全くない。おそらく、現在の財政出動は原理的には原子力発電のようなものだ。今はいいのだが「廃棄物」の処理ができないのだ。

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