K-POPの流行は何年ごとに移り変わるのか

どうでもいい話なのだが現在のK-POPのアイドルというのは色鮮やかなコスチュームで子供っぽいという印象がある。だが、昔はもうちょっと体がごつくて不良っぽかったような印象がある。これがいつ頃変わったのだろう?と思った。調べてみたのだがかなり細かく移り変わっているようである。




韓国の地上波放送は長らくかなり厳しい統制下にあった。日本語が禁止されているというのは有名だが、長髪や髪染めも禁止されていた。1988年の民主化のあとポップス音楽が出てくるのだが、当時人気のH.O.T.は髪を黒く染めないとKBSにでられなかったそうである。H.O.T.は反逆児のイメージで売ろうと髪を染めて「KBSに出られない」という事件まで起きているそうだ。当時の音楽はどれも「アメリカの真似事」という感じだ。この頃には、神話、god、비(RAIN)などが活躍している。

1997年 We are the Future

次の世代の東方神起(2003年)やSuperJunior(2005年)などが一世代前のアイドルのようである。この二つのグループは今でも活躍しているが、当初はかなり不良っぽいスタイルだった。1990年代の反抗者というイメージを引き継いでいるのだろう。今見ると気恥ずかしさを感じる。

ところがK-POPはこのあとどんどん変化してゆく。おそらくは日本の影響があるのだろう。日本のCDが解禁されたのは2004年である。Mnetは1990年代から放送されていたが、tvNの開局が2006年だそうだ。李明博政権で新聞社がテレビ局を持っても良いということになったのが2011年だそうである。JTBCが2011年に再開されている。

こうした音楽は地上波ではなくケーブルテレビで普及した。地上波にはまだある程度の縛りが存在するのである。

2009年や2010年頃のK-POPアイドルを見てみた。2PM(2008年)、BIGBANG(2006年)などが代表的である。SHINee(2008年)年もこの世代だ。この頃は不良っぽく筋肉を見せびらかすようなコスチュームが主流だ。目に墨のような黒いアイシャドーを引いている。ファッションは前世代を引き継いでいるが、楽曲は次第にオリジナルになってきている。

2009年 Heartbeat

2011年にはついに男性らしさを前面に出した人たちの流れが一部のユニットを除いて終わっている。学生服のようなユニフォームが流行するのである。この頃デビューしたグループにはEXOがある、EXOも当初はユニフォームだった。コスチュームが揃えやすかったのではないかと思われる。いわゆる「アイドル」への脱却が始まるのだが、おそらく日本のポップミュージックの影響を受けているのだろう。アメリカのビルボードチャートにはそもそもコスチュームという伝統が残っていないのだ。日本のアーティストがコスチュームで歌うのを嫌がるのに似ている。

2013年 으르렁 (Growl)

2014年に過渡期がある。MV上ではスクールユニフォームから放課後のストリートファッションが採用されるようになりどんどん色彩が豊かになってゆく。

さらに2015年頃になるとハイファッションが導入される。ただ、GOT7のIf You Doを見てわかるように急にハイファッションに切り替わっているのではない。つまり、その前のファッションと次にくる流行と両方のスタイルを混ぜる。このため「一気に流行が入れ替わった」ようには見えない。

ここには韓国独特のコスチューム文化がある。韓国では新曲が出るとカムバックという新曲のキャンペーンをやる。このため「他のテレビ局とダブらないように」いくつかのコスチュームを準備するからだと言われているそうだ。これは女性グループの例だが4パターン程度を用意して買い取った上でカスタマイズをするそうである。ただ、全てを高級服で揃えるわけではなく町工場のようなところで作ることも多かったようだ。町工場で行うのは仕立てのみで記事は事務所側で準備するという。仕立て代は400ドルから900ドル程度とそれほど高くない。

2015年 If You Do
2016年 피 땀 눈물

2017年頃からポップになる。ハイファッションのきらびやかな色柄が庶民的になったということなのだろう。この時代がかなり長く3年ほど続いた。この代表がBTS(防弾少年団)だ。2016年のハイファッション時代からガラッときらびやかなアイドル風に変わっている。2018年のBTSの新譜「IDOL」もこの路線だった。BTSはSM、JYP、YGではないところから出た「アメリカ人が考えるK-POPアイドル」である。

逆にYGは昔の不良風のイメージを引き継いでいて、2019年に代表とタレントが問題を起こすことになる。一方でJYPはパク・ジニョン代表が楽曲作りを全て担当することはなくなり「アイドル化」時代に即した音楽を出すようになる。パク・ジニョンはgodや비などを送り出したプロデューサである。SMは2016年頃からNCTというグループを出している。新世代の練習生から選抜した複数のグループがあるというアイドルユニットだ。

2017年 DNA

もちろん同時代にもグループごとの色はある。YGが出したアイドルっぽいユニットiKONである。

2018年 LOVE SCENARIO

ところがこの庶民路線には揺り戻しがある。高級路線に戻って行くのだ。

2018年 Tempo

BTSがアメリカで成功しアメリカ型のハイファッションと組み合わさったビジネスモデルが定着したのかもしれない。ドームコンサートが行える成功したアーティストとなかなか売れないその他大勢では明らかにコスチュームが違っている。競争が激しい社会だ。成功したアーティストは兵役でグループが分解するまでこの路線で稼げるだけ稼ごうとする。

。2019年にはEXOのSEHUNがルイ・ヴィトンのファッション会場でVogueの「ベストドレスマン」に選定されたという。このようにアメリカや世界各地でK-POPファッションが認知されていて流行の牽引役となっているそうだ。アメリカのアーティストは必ずしもハイファッションを多用しないため新しいポップアイコンとして注目されているのかもしれない。

だが、2019年頃からさらに別の流行がきている。細身に戻り色が消えているのである。これも急に色をなくすのではなくプリントや素材に頼ったりワンポイント効かせたりしている。2020年現在はこのような状態になっている。

2019年 ECLIPSE
2019年 Jopping
2020年 영웅 (英雄 Kick It)

おそらく韓国では文化抑圧の時代が長かったために「なんでも試せる」というのが楽しい時期なのだろう。数年ごとに流行が切り替わっている。そもそもビルボードアーティストに目立ったコスチューム着用者がいないアメリカやアーティストごとにスタイルが固定してなかなか入れ替わらない日本とは全く違う独特の世界があり見ていて飽きない。

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