ひどすぎるNHKの偏見とステレオタイピング

これはひどいなと思った。NHKの「これでわかった世界の今」という番組が作ったアフリカ系アメリカ人に対する偏見がひどすぎるのである。これを安易に削除することなくきちんと政策経緯を説明しアフリカ系アメリカ人に取材した上で番組にすべきだった。まず、映像を確認すると行きたいところだがNHKはこれを削除して逃げてしまった。だが映像はキャプチャーされNHKのひどい人種偏見として記憶され続けるだろう。反省しなくなった「自称報道機関」の哀れな末路だ。




では何が問題だったのか。冒頭に出てくる黒人の腕っ節が筋肉むきむきである。これがステレオタイピングであり今回の問題の本質である。まず多くの(全てでは無いが)アフリカ人は牛や馬の代わりとしてプランテーション経営のためにアメリカに移入されたという歴史がある。

元々家畜扱いだった黒人を人間として迎え入れる過程で、ヨーロッパ系には二つの感情が生まれた。これまで人間扱いしてこなかったものを人間として見ることができないという感情と、腕っ節が強く大柄な人たちに何をされるのかわからないという恐れの感情である。

南北戦争で奴隷の所有が禁止されたのだが分離政策は法的に容認された。一旦持ってきたものを捨てるわけにもいかないから別れて暮らそうというのだ。これはネイティブアメリカンにも採用した政策だった。自分たちは理想の国を作りたい。アメリカ大陸は神の恵みそのものだった。だが、ヨーロッパ系の人たちの理想というビジョンにはアフリカ系や在来アメリカ系の人たちが含まれてこなかった。

このためヨーロッパ系の警察官の対応が過敏になることがある。単純に恐れている。だからアフリカ系のアメリカ人の中には近くに買い物に行くのにも身だしなみを整えたりする人がいる。つまり「粗野な黒」人と見なされることによって命に危険が及ぶ可能性があるということになる。

警察にいじめられているということを描いていないという批判も多かったが、いじめているのは正確に言えば警察ではない。ヨーロッパ系の恐れが入り混じった感情がアフリカ系を苦しめ続けている。

つまり、このビデオに出てくるアフリカ系のステレオタイピングというのは実は問題の本質の一つなのである。あの番組は国際報道をやっている部署が作っていることを考え合せると、NHKがアフリカ系に全く興味がなかったことがわかる。アメリカ人になりたいと考える日本人も多いが彼らの考えるアメリカ合衆国には黒人は含まれていない。メンタリティが差別主義者と一緒なのだ。

確かにアメリカに行くと「どこどこという地区は黒人が多くて危険だから行ってはいけないし仕方なく通るのならできるだけ車を止めないように」などと言われる。これは身の安全を守るという意味では常識だし差別といえば差別である。つまり、アメリカにはこの二つには区別がない。

ここからわかるのはおそらくNHKの国際報道が知らずに作ったわけではなく知っていたからこそ偏見に満ちたビデオを作ってしまったということがわかる。おそらく「危険な地域の貧しい黒人が騒いでいるんだろうな」と考えながら報道してしまっているわけである。

これをみてつくづく恐ろしいなと思ったのは日本人が持つ集団への帰属欲求の大きさである。コンプレックスのある日本人ほど「頑張ってアメリカ社会に認められたい」と考えるのだが、その結果今度は「自分たちは白人社会の一部なのだ」と錯誤しそのまま有色人種差別的な意識を持つことがある。白人社会が持っているステレオタイピングを無自覚に引き継いでしまうのだ。

実際のアフリカ系に取材してみれば、彼らの一部が「普通のアメリカ人」に見られるためにどのように苦労しているのかということがわかるのではないだろうか。

これについて、QuoraでBBCの報道を引き合いに出してNHKとが差があると書いた。「人種差別と警察暴力 アメリカの原罪がまたしても」という記事でアメリカの黒人差別の歴史と警察改革の難しさを描いている。

アメリカには18,000の独立した警察組織があり、一つの組織を人種差別的だと首になっても別の就職先がすぐに見つかるそうである。ミネアポリスは警察組織を解体するそうだがこうした動きが全国に広がってゆかない。地方分権が進んだアメリカならではの悩みではある。英文で読んだ話では「ミネアポリスの市幹部は増員要求に応じず警察をいじめている」という被害者意識を警察ユニオンのトップが表明しているという。

ところがこう描いたところコメント欄で「とうのイギリスは自分たちの原罪意識をどう処理しているのか」という物入りが入った。おそらく、NHKとBBCを比べたので「日本が屈辱された」と感じた人がBBCとイギリスを同一視した上でイギリス批判に出たのではないかと思った。

おそらくBBCには自分たちがイギリス人としてアメリカ人を批判しているという意識はないと思う。また原罪という言葉は日本人が持っている恥と結びついた罪の意識とは異なる。どちらかというと神の愛を知らないという「無知・無明」のことを言っている。つまり、自分たちがフロンティアを求めてきたのにそれを隣人であるアフリカ系には与えなかったというのが無明だと言っているのである。だが、これは日本人には説明が難しい。日本人は宗教を持ち出すと「騙されるのではないか」とフリーズしてしまうからである。

NHKの国際報道が自分たちを名誉白人としてアメリカ社会に吸着させてしまったように、日本人は無意識のうちに何かの集団に固着しその一部として思考を始めてしまうのだなと思った。

そのことがわかる報道があった。フランスのマクロン大統領と習近平主席が会談したのだが、日本は一国二制度を改めて支持したという点に焦点をおいた記事を書いた。実際には国渣強調と一国二制度の支持のどちらも言及している。ところがこれを見た日本人読者はつい「フランスは我々の側なのか中国の側なのか」ということを知りたがる。フランスにはフランスの立場があるということを理解したがらない。

今回のNHKの炎上は、彼らが知らず知らずのうちに特定の視点に固着して世界がわからなくなているということを知る絶好の機会だった。NHKは単純にビデオを削除することで私たちが重要なことを知る機会を失ってしまったのである。

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2 Replies to “ひどすぎるNHKの偏見とステレオタイピング”

  1. もっとも、私も含めて逆のステレオタイプもありますね。私に意外だったのは、
    ①ドローンによる宣戦布告なき暗殺と、②警察官による黒人殺しとは、トランプになってから一貫して減っている。③ペドファイルの逮捕件数はトランプになってからうなぎ登り(オバマは見て見ぬ振りという解釈)。の3つですね。
    ディープステート告発系のtweetで見ただけで一次データにあたっていないので真偽は不明ですが。
    日経にまでオバマゲートの単語や盗聴疑惑が出てくるのを見て初めて、これらはフェイクニュースではないのかも?と思いました。

    1. オバマ大統領は逆にイメージ先行という感じがしますよね。特にトランプさんが出てきてからそんな扱いをされることが多いようです。

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