自民党を破壊し始めた安倍総理大臣

おそらく安倍総理大臣は自分で自分の任期を縮めるんだろうなと思った。このところ勇ましい発言が増えているのである。これについて考えていて「おそらく安倍総理は自民党を破壊するだろう」という結論に達した。




このところ総理大臣の強硬な発言が増えている。憲法改正である。ABEMA TVのネット放送で語ったことがニュースになっている。来年の秋までに憲法改正をやりたいと未だに言っているのである。このためには解散も辞さないと語ったとされる。伝家の宝刀である解散権を使って大義を得た上でおそらく強行採決の形で憲法改正をしたいのだろう。普段であれば大騒ぎになっているのだが共同のニュースも「そんなことできるわけないのに」と冷笑ぎみの扱いだ。さらにTwitterでもたいした反対意見は見られなかった。

周囲の扱いかたも面白い。かつて「憲法改正」はネトウヨには鉄板のネタだった。安倍総理の発言は正解だと見なされていて「とにかくリベラルに反対していればいい」と論陣をはる人が多かった。だがそういう人は消えてしまった。

第一にリベラル勢力が対して反対をしていない。さらに「サイレントマジョリティ」と呼ばれる人たちが実は憲法改正のような面倒なことに関わりたくないのだということにネトウヨは薄々気がつき始めている。最後に安倍政権がそろそろ終わりに近づきつつあることも理解されているようだ。彼らは彼らなりに安倍総理に追随すると周囲から浮いてしまいかねないことを彼らは敏感に感じ取っている。日本人はこれくらい空気に弱い。空気に合わせて自分の意見をいとも簡単に変えてしまうのである。

おそらくネトウヨには次世代のスターが必要であり、安倍総理はオワコンになっている。だが、こうした空気感の変化はもう安倍総理には届かない。18日に国会終了同時に行った記者会見でも「敵基地攻撃能力を持ちたい」と伝統的な専守防衛型の議論から踏み出して見せたのだがこれもきれいにスルーされてしまった。

与党も野党もマスコミも安倍政権が「とりあえず逃げ切った」ということがわかっている。新型コロナ対策では行き詰まりを見せ、定額給付金は配られず、足元のシステムもまともに作れなかった。

そればかりか河井克行夫妻をめぐる疑惑は政権内部に飛び火しかねない状況になっている。受け取った人たちから告発が相次いでいるのは「みんなで言えばたいしたことにならない」ということがわかっているからだろう。「地方の自民党に土足と札束で踏み込んだ」安倍政権への恨みもあるに違いない。これまで頭を押さえつけられていた人たちが発言を始めている。

ポイントになるのは広島では金権政治が当たり前に行われていたという事実である。おそらく金権ではなく「ご挨拶としてお金の交換をするのはあたりまえ」という程度の話だったのではないだろうか。安倍総理はここに巨額のカネを流してしまったためにこれを汚職のレベルにまで引き上げてしまったのだ。だから広島の人たちは反省していない。おそらくこれまで以上に「お金のやり取りは当たり前だ」と発言するようになるだろう。露出が増えるほど違和感も増えてゆく。

これは二種類の攻撃を受ける。かつて石原慎太郎を擁護していた人たちは続く猪瀬都知事と舛添都知事を「気に入らないから」という理由で潰しにかかった。だが、その結果出てきたのがマスコミを抱き込んだ演出が上手な小池都知事だった。自民党は今や守旧派扱いされてしまっている。反省なき揺り戻しは内向きな印象を与え有権者を離反させるのだが、猪瀬都知事から舛添都知事に至るまで数年の時間がかかっている。

さらに「既存の勢力を揺さぶるために安倍総理の憲法改正願望を刺激したい」人たちがいる。例えば維新は各地で自民党や公明党などとライバル関係にある。維新は「憲法改正に協力しますから」と安倍総理に擦り寄ってこうした関係を破壊したいと考えている。

この急進的な政治姿勢は別の混乱を生むだろう。西日本を中心に中国依存は進んでいる。中国人の観光客がいないと成り立たないという地域も多いのである。観光以外で成長産業を見つけるべきだという人もいるが、成長産業の模索は地方創生コンサルの飯の種になっている。改革は嫌われ美辞麗句を並べ立てたプレゼンばかりがウケるのだそうだ。このまま中国依存が続けば、中国脅威論を信じて中国を排除したいタカ派の人たちと中国依存の人たちが自民党の内部で争うことになるだろう。

すでに動脈硬化を起こしていた自民党はおそらく地方組織から壊死を始める。内部からの改革はおそらくもう見込めないだろう。当初この分析を始めた時、タイトルを「安倍政権は自らの寿命を縮めた」としていた。だが、見れば見るほど縮めているのは政権寿命ではないのだなと思えてくる。大宏池会構想は公家集団なので教条的な国家論はまとめられるだろうが、おそらく地方組織の飢えを満たすことはできない。一方、現実路線の二階派には有権者が尊敬できる指針がない。

残念ながら民主党を中心とした勢力が安倍総理を追い詰めることはできなかった。将来に希望を失ったリベラルは政治を主導することはできない。実際に安倍総理を追い詰めるのは党内にいる守旧派だろう。生活を守りたい人やこれまでの穏やかな金権政治に安住したい人たちがたくさんいるのだ。日本人は未来を見通すことはできないが過去に懐かしい栄光をたくさん抱えているのである。

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