日本政府が今対応すべき「農業問題」とはなにか

毎日ニュースのヘッドラインを見ている。普段は割と目の前にある問題ばかりに注目するのだが今朝はちょっと違っていた。秋には大変なことになるかもしれないなと思ったのである。「7月の日照時間、戦後最短に – 東日本は平年の37%、雨量最多」という記事がきっかけだ。

梅雨の天候不順の影響で、7月の日照時間が東日本で平年の37%、西日本で49%にとどまったことが気象庁のまとめで31日分かった。30日までの暫定値だが、1946年の統計開始以降、7月として最も短い。野菜価格が高騰するなど暮らしに影響が出ている。

7月の日照時間、戦後最短に – 東日本は平年の37%、雨量最多



これを読んで「日照不足ということは稲の生育に影響が出るだろう」と思った。おそらくこの問題は秋以降自民党の統治に重大な影響を与えるだろう。野党がいち早くこれに気づき解決策を提案できれば政権奪還も可能になるように思える。党名について揉めているようなので期待しても無駄だとは思うのだが。

ただ、この問題は思ったより複雑なようである。ベースにある気象変化について、とにかくわかっていないことが多いようだ。とにかく、記事は今の野菜不足について言及しているだけで将来のコメの収量については何も語っていない。

今の政府はとにかく専門家の意見を聞いてそれを政策に取り入れるのが苦手なようなので安倍政権がこの問題を解決することはないだろう。

旧来型の不作は冷夏の影響だったのだが最近は高温と日照不足という全く別の現象が起きているらしい。イネが花をつけて熟してきたときの高温と秋の日照不足がコメの収量に影響するそうである。もともと熱帯地方のイネを日本列島向けに改良してきたのだがこれが裏目に出ているということになるのかもしれない。長梅雨はこうした気候変化の副産物にすぎないようだ。

検索したところ独立行政法人農業環境技術研究所の2010年のPDFが見つかった。

近年では冷害の心配よりも、地球温暖化の影響からか、むしろ高温傾向が水稲作況に悪影響を与えることが心配されています。また、梅雨が長引きやすいことなどから夏の日照時間も少なくなる傾向にあります。このことを解明するため、日本海側地域における気温・日照時間と作柄の関係を解析した結果、2009年はこの地域で気温と日照の関係が大きく低日照側にずれ、気温が平年並み程度であっても低日照であったことがわかりました。これまで、日本の夏の天候は、高温なら日照も多く、低温なら低日照であったのですが、最近では、その傾向が違ってきている可能性があります。

イネの生育環境を推定できる気象データベース「MeteoCrop DB」2009 年夏の水稲収量低下の要因を解析

地球温暖化の影響で梅雨が長引くと収量が落ちる可能性があるというようなことが書かれている。だが、広く流布している説ではないようだ。

さらに調べたところ「長引く梅雨が生育に影響 新潟米の品質低下を防げ」という新潟ローカルのニュースが出てきた。2020年7月28日のニュースである。日照不足で徒長すると軟弱になり病気に弱くなるという。この後8月に気温が高くなり大きな台風がくると稲作農家は大きな被害を受けるであろうと予測している。

では実際に「稲作農家に所得保障をすればいいのか」という話になると思うのだが、そんなに単純な話ではない。重要なのは今抱えている「なぞなぞ」に新しいパラメータが加わるということである。総合的に問題を解決できるスキームを提案しそれを実現できる政党が求められているのである。名前問題で右往左往している野党にはこの際消えてもらったほうがいい。

今抱えているなぞなぞとは何か。

日本だけでなく世界ではGDPが急速に落ち込んでいる。4月から6月でアメリカは32.9%の落ち込みを見せたしユーロ圏でも12.1%の現象だったそうである。現在、世界各国は新型コロナで「経済を動かすとウイルスが広まる」というなぞなぞと格闘中である。新しい環境に適応しようとすると経済が止まり、経済を動かそうとすると病気が蔓延するという状態にある。重要なのはおそらく政府そのものが「変数」になっているという点だろう。政府が動くと数週間の単位で状況が変わってしまうのである。

日本政府はこの解決を諦めて都道府県に丸投げして安倍政権は隠れてしまった。安倍政権は官僚がつくった正解を安倍総理が恭しく読むことで偽の安心感を与えてきた政権だった。だが答えがなくなった今もマスコミや都道府県が「国が正解を見つけるべきである」と連呼している。おそらく政府が正解を言わないことに対する不安が広がってゆくであろう。それが政権交代につながることはなくおそらく政情不安定に傾くのだろう。社会は表向き平安だが中でいじめが横行するという日本型の政情不安である。

問題の根底のあるのはおそらく地球温暖化だろう。新型コロナウイルスの拡散もこの環境変化の結果の一つに過ぎないのかもしれない。だが、今回の異常気象はおそらくイネだけでなく他の農作物にも被害を与えるだろう。さらにこの傾向はおそらく今年限りのものではなさそうだ。

ただコメは国内問題なのでこのパラメータは環境と国内の補助金だけで済んでしまう。さらにこれに小麦などの穀物価格の問題が加わる。そのメカニズムはよくわかっていないようだが各国の政策決定と市場の動向が価格を動かすらしい。各国が経済を閉じてしまうと輸出が減って小麦などの穀物価格が上昇する。だが逆に経済が停滞して原油価格が下がるとそれに連れて穀物市場が下落するだろうという説もあるそうだ。こちらは食糧輸出国にとっては大問題だが輸入国にとっては朗報になる。

現在は感染爆発に怯えつつワクチンさえできればなんとか収まるところに収まるのではないかと考えている人が多いように思うのだが、実際には新しい問題が始まったばかりということなのかもしれない。

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