なぜネトウヨはやたらに黒人差別問題に首を突っ込みたがるのか?

最近、興味深い現象を観察した。アメリカの黒人抗議運動に反対する日本人がいるのだ。黒人問題に興味もないのになぜこの問題に興味を示すのだろうと観察していたのだがこういう理屈らしい。




  • 日本の左派が少数民族救済のキャンペーンをやっている。これが苦々しいと思っている。
  • だからマイノリティのキャンペーンはすべて悪である。
  • アメリカでBlack Lives Matter運動があったがきっかけになったジョージフロイド氏には犯罪歴があったらしい。犯罪者は格下でありだからこのキャンペーン全体は意味がない。

この時になぜか彼らは自分たちを白人・主流派に重ねてゆくのが不思議だなあと思った。

今回またウイスコンシン州で同じような事件が起きた。被害者はなくならなかったがもう歩けるようにはならないらしい。地元では暴動も発生しているようで2名が亡くなったようだ。この事件はまだなぜ発砲に至ったのかということがわかっていないのだが、早速「この被害者にも何か悪いところがあるのではないか」というような「疑惑」を感じている人が現れた。

そしてこれに抗議した大坂なおみ選手にも「スポーツに政治を持ち込むな」と言いがかりをつけた。スポーツに政治を持ち込んではいけないのは個人の競争であるべきスポーツに国の理屈を押し付けてはいけないからである。大坂さんはこの件を通じて大会を変えたいとは思っていない。別に何も変わらないのだろうが抗議の意思を示したいと言っているだけである。だが言いがかりをつける人たちはそれには興味がない。ただただ誰か弱いものを見つけて叩きたい。

問題を理解するつもりはなくとにかく権力者の側に立って誰かを叩きたいという欲求が渦巻いている。ネトウヨというのは一言でいうと「勝ち組に乗っていることで自分があたかも勝った側にいる」と感じたいために他人の権利を抑圧する運動である。ゆえに議論に付き合うのは純粋に時間の無駄にしかならない。

  • ネトウヨ運動というのは他人の権利要求にたいするカウンターであり議論に建設的要素がない。
  • 議論は無効化運動に終始する。
  • 議論の目的は自分が社会の主人であるという仮想的な万能感を得ることである。

アメリカのトランプ大統領現象を見ているとその裏にあるのはこれまで議論に勝ってきたものに対する恨みのようだ。

「ネトウヨ議論に建設的要素がない」という点については議論がありそうだ。どんな議論であってもそこから建設的要素を探すことはできるのではないか。

そのことが分かる事例があった。青山繁晴参議院議員らが消費税減税に向けて動き始めたというニュースである。一時期ネトウヨ層の間で「財政より市場にお金を流すことの方が重要だから消費税を減税するのは当然である」という議論があった。だから、さぞかしこの話題も盛り上がるだろうと思ったのだが、全く盛り上がっていない。

青山さんらの側で理論構築ができていないようだ。消費税を減税すれば消費が拡大するはずだという見込みを語っているだけで説得力がないのである。だが、どうやらこの運動が盛り上がらない理由は他のところにありそうである。

  • 自民党主流派が消費税増税に傾いており減税派が非主流化する可能性がある。
  • 主要野党が増税を主張しているわけではないので野党征伐に向けて結束できない。

やはりネトウヨ議論というのは「勝てる」と思ってやっているだけで、実際の議論の中身にはあまり興味がなさそうである。おそらく消費税減税運動が盛り上がるためには次の二つのうち一つが必要なのだろう。

  • 官僚は増税を画策しているが自民党主流派がそれを打ち滅ぼす。
  • 野党が増税を画策しているが自民党主流派がそれを打ち負かす。

青山さんはおそらく賢い人なのでまた別のフィールドを見つけるはずである。米中対立が起きているので材料には困らないはずだ。現在ネトウヨの人たちは中国討伐に夢中になっている。自民党が彼らの期待を満たせなくなっている今「アメリカ・特にトランプ大統領」が中国を打ち滅ぼしてくれるだろうということに期待をしているようだ。

ヤフーニュースのコメントは二つのうちどちらかで占められていた。

  • 中国はものすごく追い込まれており北朝鮮のような暴挙に出たのであろう。
  • 日本はアメリカ・オーストラリア・ニュージーランドなどと組んで中国を懲らしめるべきだ。

トランプ大統領はキャンペーンで中国を攻撃しており、彼らの欲求は満たされているように思われる。最近では南シナ海にミサイルを打ち込んだという「事実」もあり、世界秩序に挑戦する悪の中国共産帝国にアングロサクソン+日本の連合軍が立ち向かい正義の聖戦を実行すべきであるというようなお話ができつつあるようだ。

だがこうした彼らの「中国悪の帝国論」を打ち砕く一枚の写真がある。ロイターの写真である。彼らは中国に対して期待をしているのでこの写真では中国がGiverでありアメリカ人が諂っているように見えてしまうのだ。中国の経済的プレゼンスの大きさを否応無しに見せつける写真である。日本の安倍首相がアメリカに何かを与えても「当然だ」としか思ってもらえず次の要求がであるところを考えると格の違いまでわかってしまう。

ライトハイザーUSTR代表(左)とムニューシン米財務長官(右)が中国の劉鶴副首相と電話協議した(写真は19年10月)=ロイター

トランプ大統領は中国との間での交渉を進めているということを宣伝したい。中国も心得たものでキャンペーンラリーに合わせるように「中国は2020~21年の2年間で対米輸入を2千億ドル(約21兆円)増やす約束だ」と発表して見せた。この写真は2019年のものだが副首相は満面の笑みだがアメリカ人高官二人の顔はどこか張り付いている。アメリカ側は与えてもらう立場なのだからもう少し作り笑いの練習をした方がいいと思う。

いずれにせよ、トランプ政権はキャンペーンで受けるからアメリカを叩いているだけであり、実際に中国とことを構えるつもりはないのではないかと思われる。さらに実際にディールがなくてもいい。進展しているように見えていれば構わないわけである。

ただこういう画を見せてもネトウヨの人はあまり気にしないだろう。何か大きなものを見つけてはそれに張り付き新しい「議論」を見つけるからだ。彼らの万能感にはもともと基礎がない。だから彼らの説得を試みてもあまり意味がないのだ。おそらく彼らは今までもそうしてきたし、これからもそうし続けるであろう。

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