杉田水脈の失言問題について考える

杉田水脈議員が自民党の会合で「女性はいくらでも嘘をつける」と発言したとして問題になっている。共産党や社民党が反発しているので、「安倍総理大臣が連れてきた例の界隈の人たち」が「杉田さんが本当にそんなことを言ったのか」と防衛ムードである。だがおそらく野党の反発も杉田さんが何を言ったのかもあまり関係がないと思う。後になって「周りに指摘されて自分が言ったらしいと気がついた」と釈明しているようなので、おそらく自分が何を言っているのかよくわかっていない人だということになる。自民党は「自分が何を言ったのかよくわかっていない人」でも議員になれるということだ。あるいは「議員になれた」と言ったほうがいいのかもしれない。




順を追って見てゆく。自民党の会合で杉田水脈議員が「女性はいくらでも嘘をつける」と発言したという話が「複数の関係者」から伝えられたという。その会合は女性救済のための会合だった。聞きつけた野党が「これは問題である」と騒ぎ始めた。おそらく「自民党は女性問題には消極的対応しかしない」と選挙の争点にしたいのだろう。となると勝手連的な自民党応援団が出てきて「この発言がマスゴミの捏造ではないのか」などと言い出す。

まあ、いつものパターンである。だが変化もあった。

野党が自民党の会合にスパイでも潜り込ませていない限りこの発言は自民党からリークされたものである。なぜリークしたのかというとおそらく杉田さんを潰したかったからだろう。

では杉田さんはどんな人なのか。中国地方の比例の実質一位である。実際には小選挙区の人が一位になっているので単独の筆頭というような位置付けのようである。つまり自民党はこの人を議員にしたいと思って優遇していたのだ。ではこの「自民党」が誰なのかということになる。杉田さんは「安倍総理大臣が連れてきた例の界隈の人たち」が作ったスターなのだそうだ。

ただ杉田さんは結果的に発言を訂正している。謝り方を知らない人だなあとは思うがこんな人のことをいちいち気に留めていても仕方がない。おそらく状況が変化していることに気がついたのだろう。

菅内閣は表向きは安倍政権の後継ということになっているのだが、実際には「自民党貴族」と「地方議員出身者」の対立構造によって生まれたということがだんだんわかってきている。菅総理、二階幹事長が有名だが、例えば森山国体委員長も鹿児島市議を経て郵政造反組として処分された経歴を持っている。

彼ら叩き上げは貴族から見ると地下侍(じげざむらい)のような人たちだ。安倍総理や麻生総理のような自民党貴族が一段下に見て召使いのように使っていた人たちである。貴族の人たちは血統からプリンスである岸田元政調会長を押し上げようとしたのだが「叩き上げ組」に潰されてしまった。地下侍の深い恨みとルサンチマンを感じる。

具体的には「ネトウヨ言論界のスター」をリクルートしてきて地方議員から地道に上がってきた人たちにチャンスを与えない。地下侍たちが苛立つのは当然である。

おそらく、自民党貴族の人たちは「庶民というのは卑しい政治意識を持っていて杉田さんのような人を応援しするのだろうと」感じていたのではないかと考えられる。それは半分当たっていたわけだが「自分たちこそが庶民の気持ちを理解できる」と考えている叩き上げの地下侍にとっては無用の長物なのだ。

同じような位置付けの人に稲田朋美さんがいる。彼女もまた自民党貴族が考える「庶民受けしそうな」下卑た考えを披瀝してきたのだが、最近ではすっかり女性の権利保護に立ちあがるジャンヌダルク的な自己演出をしている。「稲田朋美氏 女性大臣2人「申し入れ響かず」 違和感「理論的でも感情的と」」とは白々しいがそれでも立ち位置はわかっていてそれなりの転身も図っている。

おそらく、自民党がどんな政治に傾くのかということは杉田さんの次の処遇を見るとよくわかるのではないかと思った。杉田さんが優遇されなくなったとしたら「自分たちは庶民の気持ちをつかむことができるから杉田さんに代表されるような人はもう要らない」と考えていることになる。もっともその庶民感情を掴む手段は携帯電話料金の値下げや印鑑の廃止といったものなのだが、まあそれが庶民感覚だと言われればそうなのだろう。

杉田さんが今後どんな発言をブログでするのかということはその意味ではどうでもいいことなんだろう。野党がどうこれを利用するのかということも現在の野党の影響力を考えるとほとんどどうでもいいことである。そして実際の言い訳は言い訳にもならないような稚拙なものだった。自分が言ったことの意味もわからず記憶もないのだからこの人を政治家として扱うのには無理がある。

おそらく問題は自民党が本質的に変わろうとしているのかどうかという点にありそうだ。ことによっては「安倍総理大臣が連れてきた例の界隈の人たち」はもう用済みの人たちなのかもしれない。次の何かを探したほうがいい。

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