国民の敵、二階派と高級ステーキ

GoToトラベルがやっと止まった。菅総理はこのままではGoToが悪者になると感じたそうである。この懸念は正しいように思える。有働由美子さんのインタビューに「生の反省」も語ったようである。ただ、感染が拡大するとおそらくGoToだけではなく観光や飲食業が悪者にされる可能性があると思う。




背景にあるのは国民の警戒感だ。国民はうっすらとした不安に苛まれている。テレビニュースは繰り返し逼迫する医療現場の声を伝えていて緊張感だけが増してる。この傾向が続けばどこかに敵意をぶつける場所が必要になってくる。情報が錯綜し明確な基準なき政策変更が繰り返される中、不透明性は増してゆくと叩く相手はなんでもよくなってくる。

我々はすでにそのような状態を経験している。安倍総理が一度目の政権投げ出しをしたあと麻生総理が退陣するまでの間ずいぶん叩かれた人たちがいた。それが建設業界である。公共事業は無駄であるというようなことが叫ばれると「無駄な公共事業を精査しよう」ということにはならずに「公共事業はいけない」と単純化されていった。最終的には建設業が悪いというような空気ができてしまった。

ここに重なったのがリーマンショックである。この時は貿易に依存する大企業が被害を受けたが実際に被害を受けたのは派遣切りにあった人たちであった。

経済の急激な悪化と言う意味では今回のコロナ禍はリーマンショックに似ている。

NRIが「失業者265万人増で失業率は戦後最悪の6%台:隠れ失業を含め11%台に」という記事を出している。2020年5月の記事である。この記事はGDPの下落から機械的に潜在的に失われた仕事の量を類推している。日本の雇用は比較的守られていてすぐに失業率が上昇するようなことはないそうである。だが、雇用はされていても仕事がないと言う人は増えることが予想される。これを「潜在失業率」と言っている。

それに対して現在では、最も大きな打撃を受けているのは飲食業など内需型サービス業である。それらは、中小・零細企業が中心である。大企業と比べて中小・零細企業は雇用を維持する力が格段に弱いはずだ。倒産や廃業に追いこまれることで、労働者が職を失うケースも多いだろう。

失業者265万人増で失業率は戦後最悪の6%台:隠れ失業を含め11%台に

コロナショックとリーマンショックには大きな違いがある。リーマンショックでは大企業を中心に影響があり結果的に非正規の人たちが被害を受けた。今回はレストラン経営者とか観光事業をやっている自営業の人たちが被害を受ける可能性が高い。彼らは廃業しない限り「失業者」にはカウントされない。つまり、お店を開けてはいるが客のいないお土産物屋さんなどがこの「隠れ失業」にカウントされてしまうのだ。売り上げが維持できなければ商売を畳むしかない。

つまり、観光業・飲食業は「コロナ拡大の原因」として叩かれるうえに実際にはコロナ禍の被害者になる可能性が高い。

彼らは「国の突然のキャンセルによって仕入れていた高級食材が使えなくなった」と言う被害も経験している。「もっと早く決断してもらえれば」と言う声がテレビでは繰り返し報道されるようになってきた。弱い産業ほど苦しめられると言う理不尽な構造が出来上がりつつあるようだ。

そんななか、一部のマスコミが二階派を叩き始めた。「菅首相に二階派が激怒「もう次はないぞ!」自民党内で根回しせず、GoTo中止 〈週刊朝日〉」と言う記事によると菅総理を二階派幹部が恫喝したと言うことになっている。

中止なら、業界への金銭的支援策とセットでやるべきだ。なんのバックアップも発表せずに、中止だなんて、二階幹事長の顔に泥を塗るようなものだ。『誰のおかげで総理になれたんだ』『もう次はないぞ』と派閥から強硬意見も飛び出した」(前出の二階派幹部)

菅首相に二階派が激怒「もう次はないぞ!」自民党内で根回しせず、GoTo中止 〈週刊朝日〉

野党がいくら自民党・安倍政権を叩いても世論は動かなかった。おそらくこのために「朝日系」のメディアは少しぐらい大げさにふかしてもそれほど世論に影響がないと思っているのかもしれない。

当事者である二階幹事長はこの空気の変わり目を感じ取っていないようである。二階幹事長が8名での忘年会を開催した。ここに総理大臣を呼んだことで騒ぎが大きくなった。騒ぎの中で見逃されたのは二階幹事長が有名人と会食する席に総理大臣を呼びつけたということである。総理大臣も「ご挨拶のつもりが長居した」と言っている。部下であるはずの幹事長に総裁がご挨拶するような情けない政権なのだ。

ごあいさつをさせていただいて、失礼しようと思ったんですけども、結果的には40分程度ですか、残って話をするような結果になりまして。そこは大いに反省をしている

首相「ごあいさつして失礼しようと…」 会食問題を釈明

また国民が明日の生活に不安を抱えているなかで「高級ステーキを食べていた」そうだ。国民には忘年会と年末年始の人の行き来を制限しておきながら自分たちだけは別と思っていたということになる。この二階派の騒ぎに恐れをなした岸田派も忘年会を中止したそうである。国民にはやるなと言っておきながら自分たちだけは特別だと思っていたのだろう。国会議員特権ではコロナも免責されると考えているのかもしれないなあと意地悪なことを思ってしまう。

国民の不満が蓄積している中「麻生おろし」に邁進した時の自民党もそうだったが今回も「空気が読めなくなっている」ことがわかる。政治家が国民の苛立ちの矛先になるのはある意味自己責任なのかなとも思うのだが、巻き込まれる人たちが大勢出てくるということは知っておいたほうがいいだろう。

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