若者を優先しようとして抵抗にあった菅総理

先日、高齢者の医療費負担について書いた。もう一度毎日新聞の記事を確認する。菅総理が医療費負担の先送りをやめようと大胆な政策変更案を選んだところ自民党と公明党が大混乱に陥ったと言う話である。将来世代には良い話なので菅総理を応援する声が上がってもよさそうだが、意外なことにこの話は全く話題にならなかった。当事者である若者が政治に関心がないからだろう。




団塊の世代が大量退職し健康保険制度は維持が難しくなりつつある。この議論は安倍政権時代から始まり菅政権に引き継がれた。つまりずいぶん長い間やっているのだが、自民党では議論がまとまらなかったそうだ。改革を訴える人たちと選挙を心配して問題を先送りしたい人たちがいる。

自民党は議論をまとめないままで菅総理に持ち込んだ。それではなんのための部会なのかわからないが、少なくとも最終裁定を菅総理に任せたのであればどんな裁定にも従う覚悟があるはずである。だがそうはならなかった。加藤前厚生労働大臣と田村厚生労働大臣は「もっとも無難な案を選ぶだろうう」と考えていたようだ。改革派を黙らせてつまり先送りの責任を菅総理に押し付けようとしていただけなのかもしれない。ここで菅総理が思い切った案を選んでしまったために混乱が生じた。誰も責任を取る人がおらず菅総理は自分で自分を否定せざるを得なくなった。

普通の国であれば「菅総理は若者の味方である」と言う声が生まれるはずである。だがそうはならなかった。マスコミはコロナで頭がいっぱいになっている。現役世代も年寄りの問題だと考えており関心がない。

ここから日本の政治がかなり深刻な状態に陥っていることがわかる。誰も責任は取らないし、自分の希望通りに話が進まないと「気に入らない」と言って騒ぎ出す。そもそもまとめる気もまとまる気もない。その収拾はすべて菅総理が担うのだが菅総理を支えようという人もいない。

永田町に集団思考シンドロームが蔓延する中、マスコミは「新型コロナの感染者が増え始めた」と慌て始めた。明らかに政府・自民党・公明党は意思決定で不具合を起こしてる。こうなると既存の権力から離れたところで誰かが救済に入ることが期待される。それはおそらく全国知事会だろう。確かに全国知事会は緊急提言を行ってはいる。だがこれがまた一段と怪しい。

基準を明確にしろとは言ってる。だが思い切って止めろと言ってるわけではない。長引くと経済に影響が出るから「再開の基準を示せ」と言っているだけなのだ。だが、再開すると医療が逼迫するので医療に援助もしろといっている。「俺が気にいる基準を示せ」と言っているだけで気に入らないものに従う気はない。

日本のリーダーは誰もが自分たちの心象に合わせて勝手に解釈ができる便利な神輿であり従うべき対象ではない。新型コロナ危機が実際に医療を脅かしてもなお政治家はパーティーを続けている。総理会食があれだけ問題になったあとも、竹本元IT担当大臣は「秘書のせいだから俺の責任ではない」と言い放ったそうである。当事者意識も危機感もない。

医療費負担の問題でいえば菅総理は「自分はこう決めたから選挙まではこれで行かせてほしい」と言ってもよかった。それができない理由は二つある。一つは統計をないがしろにし説明を怠ってきたからである。菅総理には根拠が示せない。また実際の選挙区に自分たちでアクセスができず公明党に依存している。リーダーシップ不在のツケは大きい。

日本の官邸は自分たちを権威の中に閉じ込めてしまったことになる。森友・加計学園の問題も桜を見る会の問題もそうである。実はそれをやったのは菅官房長官であり二階幹事長だ。自分たちで檻を作りその中に入ってしまったということになる。

皮肉なことにこれを許してきた我々国民もそれに巻き込まれつつある。政治に無関心だったことのツケはあまりにも大きい。

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