羽田雄一郎参議員議員の死とパルスオキシメーター

立憲民主党の羽田雄一郎参院幹事長が2020年12月に亡くなった。急激に状況が悪化したようだが「自覚症状がない」という理由で検査を後回しにされたことまではわかっている。糖尿病の持病もあったようなので特殊なケースと思われているのかもしれない。

検査体制の充実を訴える人が増えそうだが現実にはなかなか難しそうである。このままではリスクを抱えた人にとっては厳しい冬になるだろう。

後日、東洋経済の記事を読んだ。2020年4月の記事であり「旧聞」に属する。自覚症状なく呼吸困難に陥る患者の報告で、記事はパルスオキシメーターの利用を勧めている。今にして思えば羽田議員の症例と重なる。無自覚感染者の中にも「実は危険だった」という人は大勢いるかもしれない。




この記事はこう書いている。

自分で機器を使ってチェックするにせよ、クリニックや診療所で測ってもらうにせよ、パルスオキシメーターを活用したスクリーニングが広く普及することにより、新型コロナ肺炎に関連した呼吸障害を早期に発見できるシステムが確立できる。

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4月にすでに情報がでている。なぜ政府は気軽にパルスオキシメーターを利用できるような体制を作らないのだろうか?と思った。そのままこの記事に飛びつくのは危険かもしれないと考え、少しだけ調べて見た。

試しにアマゾンで検索してみた。価格は10,000円近辺のようなのだが値段にばらつきがありどれを選んでいいのかがわからない。体温計のように気軽に買えるものではなさそうだが、体調に不安がある人なら持っておいてもよさそうだと思えるくらいには安価である。

次にQuoraの過去ログを読んで見た。問題がいくつかあるようだ。

パルスオキシメーターの結果に懐疑的な医者や鈍感な医者もいるようである。これはいくらでも意識改革ができそうである。

むしろ「医療関係者が計らないと誤差が出てしまう」という問題の方が深刻そうだ。

AppleWatchに付いていたという話もある。Quoraでは「中止された」と書かれているが2020年9月のサポートの記事には酸素飽和度が測れると書かれている。42,800円とかなり高価でリスクのない人がいざという時のために持っておこうと思える価格ではない。それでもAppleがAppleWatchの紹介ページで酸素飽和度を全面に打ち出しているところから潜在需要が高いことはわかる。当然医療用ではないのでCOVID-19との関係は唄えない。また不安を感じた人がAppleWatchに殺到しても困る。このためAppleWatchのこの機能はあまり告知されていないのだろう。

WIREDの記事もQuoraと同じ指摘をしている。計測機械を安く提供することはできる。だが、そのデータをどう読み解くかということに関してはリテラシーが必要だという。おそらくUI上の工夫も必要なのだろう。

「市場に出回っているウェアラブル製品が抱える最大の問題は、技術やセンサー、あるいは収集されたデータにあるのではありません。そのデータがユーザーにどのように表示されるのかという点にあります」とモリタは言う。

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普段から記録を取っておき、それを医療機関と連携するような仕組みが作れていれば羽田さんのようなケースはあるいは防げていたのかもしれない。個人が自己防衛のためにAppleWatchに殺到するということもありうるだろう。春先のマスク騒動に似ている。国が率先して議論を先導して見てはとも思うが、今の政府には期待できそうにない。

驚くべきことは「すでに知見が出ているにも関わらずそれが十分に検討されていない」ということだ。4月といえば連休に向けて緊張状態は続いていたが実は収まりかけていた時期だ。様々な情報が飛び交っており議論として忘れかけられていたのだろうなと思う。だがそれにしても、これだけ情報通信技術が発達しニュースに関心を持つ人が多いにも関わらず、それが社会的協力に全く結びつかない今の日本の社会状況にはある種の驚きさえ感じる。

さらにQuora議論を読むと生半可な知識を持っている人ほど「素人には使いこなせない」と否定的になってしまっている様子もうかがえる。中途半端な専門性というのは恐ろしいなと思う。共感能力を持たない「情報通」ほど危険なものはない。単に豊富な情報を使って社会を思考停止に追い込むだけだからである。

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