バイデン大統領は「パルパティーン」になるか?

トランプ大統領支持者たちが起こした騒乱は革命なのかということが一部で話題になっていた。結論だけ書くと革命の要件である抑圧という要件を欠いていて革命ではないとは思う。これについて調べていて「スター・ウォーズのようだ」と思った。




スター・ウォーズはローマ帝国を参考にした初期の銀河共和国の元老院が腐敗にまみれているところから物語が始まる。ここにアメリカの独立運動のような分離独立運動が起こる。だがこの分離運動は裏でパルパティーン最高議長に操られてる。最終的にパルパティーン最高議長は「共和国への反乱には強い指導者が必要」ということになり非常時大権を手にする。これはヒトラーから着想を得ているのであろう。分離主義が殲滅させられたが共和国は帝国化する。つまりアメリカの独立失敗という背景がある。

スター・ウォーズ自体は善と悪に分離した人格の再統合の物語であり帝国の存在自体はあまり重要ではない。このためパルパティーンがなぜダークサイドに堕ちたのかということはあまり語られてこなかったようだ。「大衆抑圧」という事実無くしては抵抗や革命は成り立たないため存在としては絶対に必要だがその内面は重要ではない。

トランプ大統領の暴動も支持者たちにとっては革命だったのかもしれないが、そのためには支配者が必要なので「ディープステート」という存在が仕立てられた。救世主トランプ大統領が革命の指導者である。トランプ大統領は仕立てられた救世主という意味合いでオレンジ・メシアと呼ばれることがある。ドーランで肌色がオレンジになった救世主という意味だ。

一方で日本の悪は「絶対悪」としては語られないことが少ない。仮面ライダーのショッカーのような純粋悪は「子供騙し」と考えられ、悪の内面描写が重要になる。ガンダムのシャア・アズナブルにも宇宙戦艦ヤマトのデスラー総統にもそれなりの事情と心情がある。エヴァンゲリオンの使徒も絶対悪のようだが実際にはかなり込み入った設定が用意されているそうだ。

だから日本のSFは革命劇にはならない。絶対悪がないが共存できない悲哀が重要になる。

アメリカ合衆国では市民には投票の自由があり革命は成立し得ない。そのために「選挙が盗まれている」とか「誰かが抑圧している」とう仮説が必要だ。これがトランピズムが陰謀論と呼ばれる所以でありSNSで禁止の動きが起きるほどアメリカ中で蔓延している。

アーノルド・シュワルツェネッガー元カリフォルニア州知事はこの暴動をクリスタル・ナハトであるといった。つまり民主主義への攻撃だと言っている。スター・ウォーズ史観では悪に仕立てられた分離独立運動だ。ここで議会側が「民主主義の破壊運動」を理由に非常時大権を求めれば今度は体制側がパルパティーン化する可能性があるということになる。バイデン大統領が共和党壊滅を狙っているという図式である。

逆にトランプ大統領がパルパティーンで議会を悪者にして絶対的な権力を得ようとしていたともいえる。アメリカの政治はどこまでも「アメリカ型革命史観」という虚構に支配されている。虚構が現実を作り出していることになる。

気になるのでマトリックスについても聞いてみたが、こちらは公民権運動が失敗し非白人地域に逃亡国家が作られ、それがやがて白人国家を抑圧するというサイドストーリーがあるそうである。スター・ウォーズよりも歴史が少し進んでいるが、やはり現実の歴史が再利用されている。背景にあるのはやがて有色人種に抑圧されてしまうかもしれないというマジョリティ側の危機意識だということになる。

こうなると日本人が何に支配されているのかが気になる。一つは水戸黄門史観である。これは大衆と権力者は一体だが代官と越後屋に分離されているという一種の合理化である。トランプ大統領を支持する人が日本にもいるが彼らにとってみればトランプ大統領は中国を打ち負かす最高権威であり将軍である。「それを邪魔する中間層」がいると考えてトランプ大統領を支持するわけだ。アメリカとは背景構造が異なっている。

もう一つが自然災害史観である。仮面ライダーのショッカーは脅威ではあるがそれは取り除いてしまえばなくなってしまう。ゴジラも災害がメタファーになっている。シン・ゴジラでは意思決定が遅れた政治家は逃げ損なってゴジラに殺されてしまうが、これは現在のコロナの状況に重なる。あえて違いをいえばシン・ゴジラの官邸は法律の立て付けは気にしているがSNSの動向は気にしていない。いまシン・ゴジラをリメイクすれば総理大臣はおそらくTwitterと世論調査に一喜一憂する場面が追加されるだろう。

台風がなぜ人間の害悪になるのか考える人はいないし、コロナの内面描写も誰も求めない。だからゴジラがなぜ日本に向かってくるのかを考える日本人はいない。アメリカ人は抑圧に怯えてきたように日本人は災害に翻弄されてきたのだということがわかる。

このように虚構を考えると各国の政治状況の隠れた次元を知ることができる。フィクションとノンフィクションは実は地続きになっているのである。

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