危機の中にあっても「わしらを構ってくれない」と憤る老害政治

新型コロナ禍にも関わらず各地で県知事選挙が行われたようだ。山形県では2009年に初当選した非自民系の現職が4選を果たした。麻生政権下で民主党が強かった時代に誕生した知事とはいえいまだに「政権」を守っている人もいるのだなと思った。ただ、山形県らしく有名な元山形市長の親戚(甥のお嫁さん)という事情もあるようだ。

岐阜県でも現職が勝ったようだが、ちょっと気になるニュースが付属していた。保守分裂選挙で責任を取って野田聖子さんが県の支部長を辞任するという。一体何があったのか。




朝日新聞の記事を読んで見ても一体何があったかのかよくわからない。野田聖子議員いわく

事情を聴くと、一部の人たちと古田氏が食事をしていないと。それを聞いてびっくりした。仕事はよくやっているが、ごちそうしてくれなかったとか、そういう話だった。

「私にも打診」保守分裂の知事選、野田聖子氏語る 岐阜

ということだ。

つまり誰それさんが仲良しで誰それさんはそうでないという類の話らしいのである。最初に「田舎の自治会みたいだな」と思ったのだが「女子校の生徒会なんかもそんな感じなのだろうか」とも感じた。政治課題ではなく人間関係で揉めるとは、いかにも子供っぽい保守分裂である。

ここで特異なのは子供っぽいのは高齢者の側で、野田聖子さんはどちらかといえばそれをお守りする側になっているという点だ。朝日新聞には「重鎮」猫田県議の言い分も載っているが「糸が切れた」とか「絶対にダメだ」というばかりで県民への説明責任を果たしていない。ムラの心情なので外向けの説明ができないのだろう。岐阜新聞は「古田県知事が一部の議員と飯を食わない」ことを「コミュニケーション不足」と書いている。「構って欲しい」「重鎮と認めてそれなりに扱って欲しい」甘えた心情が透けて見えるが、それが堂々とまかり通ってしまうのである。

岐阜県の政治に何の課題もないというならまだいい。だが、愛知県と一体的な経済圏を形成している岐阜などは新型コロナ禍でかなり影響が出ているはずである。確かに老人を構ってやれない県知事にも「器」の問題があるのかもしれないが、知事が県民対応にかかりきりになっても議員側は「なぜわしらを構ってくれんのじゃ」ということになり国会議員を巻き込んで遺恨を残す。この国の老人のひねた心情がよく現れている。

岐阜県のドンである猫田議員らが連れてきた県知事候補は中央政界で期待されていた官僚のようである。この優秀な才能が生かせなかったという点も勿体無いなあと思う。

実際に何があったのかはわからないものの、岐阜県の選挙事情が「説明責任」とは程遠く、とても子供っぽい好き嫌いで動いていることがわかる。わがままな老人を子供世代がお守りをするという甘えた老害国家の姿である。

しばらく前に、二階幹事長と麻生財務大臣が「老害である」かどうかが問題になった。だが実際の老害はトップに立たず責任も取らず若手に構って欲しいと思っている半匿名の人たちであり、表に出ている老害は氷山の一角なのかもしれない。

福岡県の場合は麻生財務大臣が連れてきた新人と地元・現職という保守分裂選挙があった。逆転はしているが岐阜県と同じ構造である。福岡の場合は地元で威張りたい総理大臣経験のある国会議員が地元の政治をかき回したという話だった。福岡県のことを知った時には「地方の政治状況には危機意識がないんだろうな」と思っていた。だが、新型コロナが蔓延してもまだそんなことをやっている。

「老人の面倒を若手が見る」と書きたかったのだが、野田聖子さんは1960年生まれだ。おそらく高齢化が進んだ日本では「これでも若手」ということになってしまうという点にも愕然とさせられる。

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