「初めての楽天モバイル」の印象は顔は劇画だが体は幼稚園児の落書きのようだった

楽天モバイルが1年間無料を実質上延長するプランを出した。4月1にからは1GB以下であれば引き続き無料で使えるという。Rakuten Miniという1円で利用できる端末もあるので申し込んで見た。結果的に「タダより高いものはない」と思い知らされることになった。と同時に三木谷さんという人は経営者には向いていないんだろうなと痛感した。




まずはじめにお断りして起きたいのだが、私は三木谷さんを個人的には知らないし興味もない。つまりこれは個人としての三木谷さん批判ではなくあくまでも報道される虚像としての三木谷さんについての感想である。

申し込みそのものはうまくいった。申し込みボタンが押せないことで途中あれ?とは思った。結果的にこれが「悪夢」の始まりである。押しても画面が遷移しないのだ。何回かやってやっと受け付けられた。問題が起きたのはここからだった。マイナンバーカードで申し込んだのだが裏表を一つの画像にしてしまった。住所と名前がわかる面だけを送らなければならないという。AIで診断しているらしい。ウェブの申し込みの時に図表でもつけてくれれば間違えないのになあとは思ったが大した手間ではないのでまた送り直すことにした。

「書類際送付のお知らせ」の案内のメールがきたのだがリンクの一部が変数表示のままになっている。どうやら最初からやり直さないといけないようだ。指示に従って処理をやり直したのだがいつまで経っても画面が遷移しない。ボタンを押すたびにリクエストが発生するのでだんだんサイバー攻撃のようになってしまう。多くの人が連打するとやがて飽和してサーバーが落ちてしまうのである。

ほどなくして「メンテナンス中」になり「ご利用できません」ということになった。この状態は断続的に続いている。これは1月31日の出来事だったが2月2日になっても注文履歴のトレースができない。つまりいつ発送されるのかがわからないのである。

この時点で「あれ?おかしいぞ」とフリーダイヤルに思い問い合わせて見たのだが待ち子があふれているらしくFAQのリンクが送られてきて電話が切れてしまった。最終的に注文画面にアクセスできなくなり注文が消えたように見えてしまう。YouTube情報だが最後の砦になっていた「本当につながるサポート」も落ちてしまったのだという。本当につながるサポートとそうでないところがあるのだ。

2月1日朝の時点では「申し込みを途中までしている人はご利用できません」となった。午前0時30分のお知らせが出ていて「一部機能を切った」そうだ。表題は「(第2報) Webサイトおよびアプリ、店舗での一部のお申し込みが完了しにくい状況について」となっている。店頭のシステムも混乱したようだ。また配送も遅れている。おそらく当初の予想より多くの人が殺到したのだろう。Rakuten Miniのキャンペーは2回目だそうだが初回も混乱したそうである。Twitterでは「本人確認でトラブルが起きた」とする声が多く聞かれた。AI診断が不具合を起こしているようで佐川急便による本人確認に切り替えるとうまくゆくそうだ。

その時は「ご契約内容がありません」と表示されるので契約がなかったことになっているのだろうと思った。ただ不思議と腹は立たない。NTT DoCoMo、Amazon,クロネコヤマト・佐川急便のようなライフラインを扱う会社ではないしそのような会社にはなり得ないだろうからである。所詮その程度の会社だ。

Business Insderの記事にも「ただだから使ってやるか」という人だけが残るだろうという観測記事が出ていた。

では三木谷さんには何が欠落しているのか。それがチームワークである。

三木谷さんの頭の中にはかなり壮大なビジョンがありそうだ。YouTubeにいくつもの観測動画が出ているからビジョンそのものは理解されている。楽天は後発参入なのでいくつかの面で国際標準を取り入れている。その一つはRCSという電話番号をベースとしたサービスである。SMSの後継規格なのだそうだ。海外では電話番号をベースとしたSMSが主流になっていて、RCSではよりリッチなデータが格安にやり取りできるようになっている。今はあまり知られていないが、これはスマホが知られていなかった時代によく似ている。日本人は海外の事情をあまりよく知らないのである。

日本は三大キャリアが高い利用料をとるためこうしたサービスが発達しなかった。代わりデータ網を利用したLINEのような面倒臭いサービスが一般化した。今、電話番号とLINEアカウントを使い分けなければならないのは実は日本の三大キャリアが電話番号を囲い込んだからなのである。するとユーザーは電話を使ったサービスから離反してしまうのである。今でもNTT DoCoMo、au、ソフトバンクは自前のガラパゴス化したRCS網を構築しているという。圧倒的なサブスクライバー数を背景にユーザーを囲い込み交渉力を高めようとしているのだろう。

ガラケー時代のチャレンジャーはiPhoneを日本に導入したソフトバンクだった。割高なスマホを割賦払いで販売し敷居を低くし、結果的にガラケーは駆逐され、ついでに日本の電話メーカーも没落した。ガラパゴス自体に生育環境が良すぎて恐竜化してしまったことになる。おそらく三大キャリアはガラパゴス化している。5Gの投資ができないという話が出ているが、おそらく今の官僚体質を抱えたまま投資をしようとすれば却って成功は遠のくだろう。

楽天は概念的にはこうしたゲームチェンジャーになれる可能性を持っている。携帯電話としてつながりやすいプラチナバンドを持っていなかったとしてもwi-fiを利用してRCSにつなげば海外とのやりとりで圧倒的に有利になれる。RCSは電話番号で一体化されているのでシームレスで使える体。

楽天モバイルの経営陣はかなり国際的な感覚を持った優秀な人材を揃えているのだろう。ところが首から下が全くひどい状態である。店頭の対応も極めて悪い上にサーバーのレスポンスや作りも壊滅的である。最近では引き抜いてきた人がソフトバンクから技術情報を盗んできたとして問題になった。今後ソフトバンクは楽天の技術に厳しい目を向けるだろうが「盗まれた側」としては当然のことである。

おそらく「首から下」の人たちは給料ももらえずユーザーからはただだから副回線として使ってやると言われ続けているのだろ。実際に店頭でそう言ってみればいい。販促員の態度が急変する。

楽天の三木谷社長はおそらく優れたビジョネアー(ビジョンを持った人)ではあるのだろう。だが、おそらく自分の側近以外にはあまりきちんと報いない人なのではないかと思う。プログラマーに金を払わず、営業や代理店を使い倒しているのではないか。これが企業としての信頼感を損ねている。頭から上は劇画なのだが首から下は子供の落書きのようになっていてライフラインを任せるような会社にはなれない。

「ビジョンはいいのに誰もついてこないのはユーザーがバカかスタッフの努力が足りないからだ」ということになる。おそらく社内では社員を叱責し代理店に圧力をかける。かつては楽天の出品者に運送料を押し付けようとしたこともあった。Amazonに負けている理由を出品者のせいにしようとしたところサイトの使い勝手が悪いというクレームが広がったそうだ。おそらくきちんとスタッフに報いていないのであろう。

サイトは断続的につながったので間隙を縫って2月1日のお昼ごろに接続したところつながった。AIによる審査を諦め佐川急便の運転手に身分証明を見せるという選択肢で注文が通った。だが、そのあとまた発送プロセスが追えなくなり、いつ届くのかはわからない。さすがにこんなことはAmazonでは起こりえないが、これもまた楽天品質なのだろうと考え気長に待ちたいと思う。

一部の人たちが独断で決めてあとがついてこないという状況は菅政権に似ている。菅政権では総理が窮地に立たされても誰も助けに来ないそうだ。多くの議員や官僚がただただ「傍観している」という記事も出ている。お友達人事の成れの果てである。楽天で何が起きているかはわからないがトップが優秀なことが却って仇となってしまう場合があるのだ。

Google Recommendation Advertisement



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です