厚生労働省の杜撰なマイナンバーシステム

いまさらながら安いiPhone8を購入した。Felicaチップの読み取り装置がついていてマイナンバーを使ったシステムログインができるはずだ。早速、健康保険証をマイナンバーカードに入れると言う手続きをやって見たのだが、これができない。システムの作りがとても杜撰なのだ。厚生労働省の杜撰なシステムと書いてふと思った。一体このマイナポータルプロジェクトの主管者は誰なのだろう。




まず立憲民主党などの野党に言っておきたい。総理大臣の揚げ足取りは時間の無駄なのでやめてもらいたい。代わりにプログラマー、テスター、コールセンターなどの実務家にお金が回る仕組みを作って欲しい。というかシステムがあまりにもひどいのでまずはユーザーとして体験していただきたい。

マイナポータルの手順というか仕組みはわかってしまえば極めて簡単だ。まずスマホに「マイナポータルAP」というアプリを入れる。これは実はログインするためだけに作られたアプリであり他に使い道がない。鍵みたいなものである。とにかく、マイナポータルにログインするためには今後もいちいちこれを使わなければならない。さらにマイナポータルにログインしてもできることはほとんど何もない。

普通のサービスは何かやりたいことがありそれに合わせてログイン画面を作る。例えば銀行は預金残高を確認するサービスがありそのために必要なログイン画面を作る。家を作ったら鍵をかける。当たり前である。

ところが政府のサービスはまずログインサービスがあり、それに使えるサービスを後から考える。鍵を作ってからその鍵にあった家を作るのだ。苦労して家に入ってもそこには家具が全く置かれていない。

こんなの普及するはずがない。

「悲劇」はここでは終わらない。マイナポータルにアクセスして「健康保険との接続を申し込む」と「マイナポータルAPがインストールされていない」と言うエラーが出る。

マイナポータルAPはインストールした。メールアドレスの登録もした。つまり普通の人はここで詰んでしまうのだ。

実は秘密はiOSのブラウザー設定にある。デフォルトブラウザーをChromeに替えてはいけないのだ。実はマイナポータルはSafariでないと連携してくれない。そして「Safariじゃないとダメ」とは教えてくれず、お役所仕事的に全く見当違いのエラーを出して手続きを認めてくれないのである。

そもそもChromeが使えない理由がわからない。

昔ニュースで「政府が作ったサービスは標準ブラウザーしか対応していない」と読んだ記憶があり、Safariでないとダメなんだろうなあと思った。そしてiOSはデフォルトブラウザーの設定ができるので「ここを変えるんだろうな」と類推できた。

この類推ができない人も大勢いるに違いない。

ユーザーに忖度させる上から目線のアプリ設計になっている。使わせてやる・申請を認めてやるというお役所仕事の極地のようなことをやっている。

おそらく、

  • プログラマーは言われた通りにやりました
  • マネージャーは言った通りに作られたのを確認しました
  • 下請けコールセンターは苦情は受け付けてもそれをフィードバックとして上に伝えることはしない

からだと思う。現場にお金をきちんと払わないからこんなことになる。

銀行だったら潰れているところだが厚生労働省は潰れない。そもそもマイナンバーカードプロジェクトは総理大臣のペットプロジェクトであり厚生労働省には関心がないのかもしれない。総務省が悪いのかもしれない。いやむしろ原因は総理大臣だろう。だが総理大臣は自分が悪いと気が付いていない可能性がある。何しろ実務を経験したことがないからだ。

とにかくブラウザー設定を変えたところ「申し込みを受け付けた」というメッセージは出た。だが連携できたかどうかはわからない。これから作るんだそうだ。

なんじゃそりゃ?と思った。

この仕組みを体験した後でニュースを読むと虚しさだけが込み上げてくる。政府は令和4年までにすべての国民にマイナンバーカードを普及させる目標を持っているようだ。だが、こんな杜撰なシステムでは普及は無理だろう。

それでも2021年初頭には24%まで行ったそうだ。マイナンバーカードを持っていて電子マネーを使った人はもれなく5,000円もらっていると言うことを考えるとお金で買った数字である。それでも24%しか行っていない。やる気がないわけではない。だが結果的に全くやる気は感じられない。官僚のトップの人はともかく、現場は頑張っても頑張らなくても評価されないからだろう。やる気を出すだけ損なのだ。

おそらく実務をちゃんとやったことがない人は、現場で一体何が起きているのかがよくわかっていないと思う。

でも、これで何かが潰れることはない。ただ今までできなかったことがこれからもできないというだけである。政府では次から次へと高い目標を掲げた司令官たちが名乗りを上げ、何の総括もせず、反省もせず、責任も取らずにいる。なぜか高額な開発費の話が出てくるのだが、実開発者の手元には回ってこない。どこかに吸い込まれてしまう。

日本がIT大国になれない理由はIT担当大臣がバカだからではない。社会全体が下から積み上げるコツコツとした作業ができなくなっているからだ。そして、それを誰も気にしなくなっている。

マイナポータル自体は一旦コツをつかんでしまえば次からは簡単にログインできるようにはなる。将来的には同じ手順で色々な公的書類とつながるそうである。運転免許証やお薬手帳も連携できるようになるそうだ。

作った人が「こんな簡単なのになぜ普及しないんだろう」と思う気持ちはわかる。作った人は基本設計を知っている。だが知らない人がいるという想像力は働かない。コールセンターに聞けば教えてやるくらいのことは思っているのかもしれない。

これを利用し続けるためには常に最新のスマホを維持する必要がある。なぜ同じことを地方自治体でも受け付けないのだろうかとは思うのだが、おそらく政府は鍵を作ったので多くの人にそれを使わせたいという思いで頭がいっぱいになっている。国民が満足したかどうかは評価されない。あくまでも普及率のような数字が評価される世界だ。

政府は鍵には興味がある。家にもちょっと興味がある。だがそこに誰が住むのかということには全く関心がない。総理大臣はマイナンバーカードには興味を持っているが国民のことは見ていない。

この堕落しきった姿はまさに競争のない社会主義国の末路そのものである。その意味では日本の政府事業は自由主義とは全く別の経済世界を生きていると言えるのかもしれない。

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