年度内予算成立を焦り逆回転する菅政権

「菅総理が今にも折れそうだ」国会中継を見ていてこんな感想を持った。長男をめぐる問題が炎上しているからである。これが年度内予算成立に暗い影を落としている。このまま4月の選挙戦に突入すれば菅政権は陥落してしまうかもしれない。




月曜日の国会中継は菅総理の晴れの舞台になるはずだった。票が得られる「グリーン政策」のお披露目の舞台だったからだ。朝日新聞が午前中のあらましを書いている。

だが公明党の質問あたりから話がおかしくなってきた。自民党が消極的な核兵器禁止条約のオブザーバー参加を迫った。自民党はおそらく左派やリベラル勢力の得点になる核兵器禁止条約にはコミットしたくないのだろう。

次に菅直人元総理が「党首討論をやらないのか」と迫った。野田元総理に続いて総理大臣経験者を質問に立たせて「政権政党の格」を見せ付けようという作戦なのだろうが、これは上滑りしてる。「立憲民主党は攻め切れていないなあ」などと思っていた。

ところがここで舞台が暗転する。昼休みに山田真貴子内閣広報官が菅正剛さんらから接待を受けていたことがわかったのである。「単価七万円接待」もあったという。国民が会食の自粛をさせられている中、偉いさん達は会食を繰り返している。しかもその中には7万円接待もあった。偉いさんは許認可権を笠に着ていい思いをしているなあということになる。

山田広報官といえばNHKにクレームを入れたと言う疑惑がすでに報道されている。ニュースウォッチ9のキャスターは退任するそうだ。山田広報官は「そんなことはしていない」と否定しているそうである。

どうやら「それなりのワインを開けると7万円くらいになること」はよくあることのようだ。つまり接待としてはそれほど高額なものではないらしい。だがワイドショーは「自分たちが食べている昼飯代」と7万円を比べるようなインタビューを盛んに流している。こういう庶民感覚が有権者には響くのである。安い食材を求めてスーパーマーケットをはしごする人もテレビを見ているだろう。

安倍・菅政権時代、総理に取り立てられていた人たちは「我が世の春」を謳歌していたようだ。マスコミは自分たちを守ってくれるという緩みがあったのだろう。今回の接待疑惑でも「記憶にありません」が一転して「やりました」に変わっている。文春はこの緩みがわかっていて彼らを泳がせる。いいおもちゃなのだ。

泳がせてから潰すという手法は松本純議員の時にも用いられた。最初に「否定できそうな」程度の情報を流しておいて後から決定的な証拠を出すのである。こうすることでショーとしての吊し上げが面白くなる。

支持が得られない立憲民主党もこの劇場型の政治に乗る。こんなやり方をして政権を取っても仕方がないのにと思うのだが、現実的にはこのやり方でしか政権が取れない。庶民は政策には興味がない。どちらかといえばテレビドラマを評論するように政治を見ている。おそらく有権者は「新型コロナ」で生活が制限されることに苛立ちを覚えている。だがぶつける先はない。

まず、支持率が下がり始める。支持率が下がると「菅総理は官軍ではなくなった」と言うことが知れ渡る。するとますます支持率が下がる。その過程で今まで政権を守っていたテレビも手を引いてしまうのだ。今は官軍が裸の王様に変わる潮目になっている。

安倍政権の時にも安倍昭恵さんの問題が報じられたことはあったがここまで問題にならなかった。日本人は「みんなが誰を支持しているのか」と言う空気に敏感だ。安倍総理と違って菅総理が叩かれるのは「叩いてもいい」人になったからである。

不機嫌の矛先が一転して政権に向かう。

冷静に考えると菅総理が悪いわけではない。菅総理の長男と総務省官僚の間に起こった問題だ。菅総理はむしろ被害者と言える。国民の間にイライラがありそこにぶつけてもいいターゲットがいればいじめに発展するのである。菅総理は耐え忍ぶしかない。

ではこの空気は政権にどんな影響を与えるのだろう。

年度内成立を目指すためには30日ルールを意識しなければならない。予算案を3月2日までに参議院送致すれば参議院で議論が難渋したとしても予算が年度内に成立する。

野党はここで菅正剛さんの国会招致を求めてスケジュールを撹乱したい。30日ルールが意味を失えば参議院を「実質的な審議の場」に変えることができる。早く予算を成立させたい与党はなんらかの妥協をしてくれるかもしれない。これが狙い目である。

2021年4月には北海道二区(吉川元農水大臣の汚職疑惑)参議院長野選挙区(新型コロナによる羽田議員死亡)参議院広島選挙区(河井杏里議員の公職選挙法違反)の選挙がある。二つは安倍政権時代の「後始末」であり、野党としては格好の攻撃材料になる。つまり、菅正剛氏の問題で「総理の首」が取れなくても疑惑を長引かせることで選挙戦を有利に運ぶことができる。

つまり、野党としては参議院を劇場化してその勢いで選挙戦に突入したいのだ。そしてそのためには3月2日以降にスケジュールをずらした方が有利なのだということがわかる。

一貫してイデオロギーや政策とは関係ないところで政局が動いている。日本というのは感情と空気で動く巨大な村なのである。

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