「早く逃げた人からおトク」を感じさせるみずほ銀行の障害騒ぎ

みずほ銀行がシステム障害を起こしたという。月末の日曜日のお昼に障害が出て翌日月曜日朝の復旧を目指して作業をしているそうだ。ネットニュースで見た限りだと「お取り扱いができない」としてキャッシュカードが吸い込まれたままになり電話も通じないという。このニュースを見て「みずほ銀行を使わなくなって正解だった」と思った。




おそらくみずほ銀行はシステムが怪しい動きを感知するとカードを取り上げる運用になっている。人がチェックする体制にしていたのだろう。これはシステム的には正しい。

ただみずほ銀行はリストラや配置転換をやっていた。ATM管理のような儲からないところから資産相談などのセクションに人を移動させようとしてたようだ。月末バッチ処理のトラブルが入りコールセンターの業務量が増えたことでシステム全体をダウンさせてしまったのだろう。みずほ銀行がどのように総括するのかは見ものだが原因は人力を前提にした古いシステムと人員整理なのではないかと思う。

ただ、一ユーザーとしてみずほ銀行を使わなくなったのはシステム障害のせいではない。単に不便になったからだ。第一にATMがどんどんなくなってゆく。支店が消えてサービスが不便になっている。今、通帳がいっぱいになったら電車に乗って支店に出かけなければならない。ATMでは新しい通帳は発行してもらえないからである。

そこに入り込んだのが流通系だった。彼らはもともと支払いと決済を担当していた。あとは銀行機能を追加すれば「お金の流れ」を囲い込めるのだ。こうして流通系銀行は、既存銀行から収益源を取り上げた。おそらく既存の銀行はそれに気がついていないだろう。

この「奪取」を実際に経験した。

みずほ銀行はイオン銀行と提携をしている。もともとクレジットカードを使っていれば4回まで提携先のATMが使えていた。だが、これがなくなりイオン銀行だけが残った。イオンはなんの得があってこんなことをしているのだろうかと思ったのだが、やがてその理由を実感することになった。

最初はイオン銀行のATMでみずほ銀行を使っていた。そのうち、行きつけのスーパーが「WAONを使わないとポイントをつけない」という変更を行った。

仕方なくイオン銀行に決済用の口座を作った。月々使うお金だけイオン銀行に移すことにしたのである。「スーパーが副業でやっている銀行」をあまり信頼していなかったのだが、実質値引きになっているポイントは魅力的である。小口ならいいやとその時は思った。

イオン銀行にはJ DebitとWAONが最初から付いている。これが意外と便利だった。オートチャージを使うと要するに引き出し手数料がいらなくなるのである。もう金曜日にATMに並ばなくてもいい。デビットカードはクレジットカードが使える店であればほぼ現金として利用できる。残高はスマホで管理する。

一方、みずほ銀行は手数料収入が減ることを恐れているのだろう。デビットカードの発行に当初は手数料を取っていたと思う。今でも「使わない人からは1,100円の手数料を取りますよ」と言っている。面倒だ。

「キャッシュレスってこんなに簡単なのか」と考えセブン銀行でも口座を作った。こちらもスマホで残高管理ができる。イトーヨーカドー系とイオン系は相互乗り入れしていないので「どちらかしか使えない」という店も多い。

さらにFelciaが入っているiPhoneを手に入れた。これでキャッシュレスがもっと便利になるだろう。

わざわざみずほ銀行にゆき時間外手数料などを気にしつつお金をおろし重い小銭を管理する手間がなくなった。残っている小銭の数を数えなくていいし手数料からも解放された。みずほ銀行だけを使っていた時代が原始時代のように遠く感じられた。

レジの前で小銭を数えて戸惑っている人を見ると「かわいそうに」とすら感じてしまう。

高齢者を中心に現金での支払いに苦労している人が多い。彼らは小銭を数えてできるだけお釣りの小銭を少なくするような工夫をしている。また大きな財布がどこにあるのかがわからないという人もいる。小銭の他にたくさんのポイントカードを持っているのだろう。スマホで一括管理すればいいのにと思ってしまうのだが人のことは言えない。2019年まで自分もガラケーを使っていたからだ。

知っている人と知らない人の間にはこれだけの差が生まれている。だが知っている人だけが知っていて、誰もそれを教えてくれない。宣伝もしていないので自分で気がつくしかない。

キャッシュレスに移行するのは簡単だが、決心するまでに時間がかかる。まずスーパーなんかが副業的にやっている銀行なんか使って大丈夫なんだろうか?と思ってしまう。さらにスマホもなんだか難しそうである。

実際には中古のiPhoneを買ってきて格安SIMを刺すだけである。やってみてはじめて「大したことがない」と思えるのだ。

おそらく流通系のATMのオペレーションはかなり簡便化されているのだろうと思う。また今回の事故で障害を起こさなかったことからシステムを切り離してきちんと管理してるのだろう。どっちみちコンビニに人を配置しなければならないのだから管理費用もそれほどかからない上に最新のテクノロジに合わせてシステムを最初から組むことができていたことが大きいに違いない。継ぎ足しながら新しい仕組みを相互乗り入れさせてきた銀行では太刀打ちができないのだ。

流通系はインフラの利用料を店舗に支払わせているのだろう。つまり手数料は客ではなく店が支払っている。より多くの人がキャッシュレスに移行すれば現金取り扱いの経費が減る上に手数料も安くすることができる。またポイントなどと組み合わせることでより多くの顧客を囲い込むことも可能だ。集客のための広告宣伝費が減らせる。

みずほ銀行は、前身である第一勧業銀行と富士銀行のサービスを合わせて使っている。このため統合作業に多額の費用が発生した上に今でも時々こうした大規模障害を起こす。おそらくこの障害がどういう原因で起きたものなのかということは総括されないままだろう。

日本の金融は護送船団方式で「全体をできるだけ潰さない」という方向で運営されていた。預貯金に対する信頼が深まり国内企業の資金調達が便利になるという利点があり日本の経済発展に大きく貢献した。しかし護送船団方式には競争がないという欠点もある。大きく・強くという方向で合併を繰り返すうちに新しい環境に対応できなくなってきているようである。

デジタルネイティブの人たちはキャッシュレスに対応できず障害まで起こすシステムを使い続けることはないだろう。

おそらく、みずほ銀行は「大手だから安心」と信じている高齢の消費者だけを囲い込みながら徐々に衰退してゆくに違いない。家電パソコンメーカーや携帯電話キャリアなど多くのサービス産業に同じような構図が見える。

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