菅政権は困窮者を救うつもりがない

今回の話は自分の政権維持のために汲々とする菅総理が、結果的に将来世代を犠牲にしているという話だ。

生活保護を求めてきた女性に虚偽の説明をしたとして横浜市神奈川区の福祉事務所が謝罪した。録音が明るみにでたそうだ。神奈川区といえば菅総理の選挙区の隣である。菅総理は国会議員に選出されるまでは横浜市の市議会議員をしていて横浜市には人脈があるはずだ。おそらく視野には入っているのだろうが菅総理は見えないふりをし続けている。




再度の10万円給付に消極的だった菅政権は春先の説明で「最後には生活保護がある」と嘯いていた。ロイター菅義偉首相は27日午前の参院予算委員会で、定額給付金の給付について「予定はない」と改めて述べた。政府のセーフティーネットとして「最終的に生活保護がある」とも語ったと伝えている。

だが生活保護は地方財政を圧迫する。だから、地方の福祉事務所などで防衛的に追い返している。野党議員がそのことを追求しても総理大臣は言葉を濁すばかりで具体的な対応を支持することはなかった。

今回の事案でも管理職は「離席してその場にいなかった」と弁明している。組織的な工作はなかったと言いたいのだろう。しかし実際には地方財政の困窮がありその原因を作ったのは自民党・公明党政権である。悪夢の安倍政権・菅政権だ。

困窮者に興味がない菅総理大臣の答弁は身内びいきが判明した後も続く。総務省官僚と自身の長男の接待疑惑が報じられた頃の答弁はここからさらに無慈悲なものになった。時事通信が5日の質疑で首相は「まずは一人ひとりが自分の力を最大限発揮する。そしてお互いに助け合う。それでも駄目ならセーフティーネットを整えることが大事だ」となった。自助で何とかしなさいというわけである。

実は会食問題の一つの肝はここにある。身内は徹底的に庇ってもらえるがその外側には荒涼とした自己責任社会が広がっているのだ。我々はおそらくこの対比に早く気がつくべきなのだろう。だが「自分は守ってもらえる」という漠然とした自信を持っている人が多いようだ。なかなか「かわいそうな例外者」への同情が集まらない。

まず自助をというのは構わない。だが最終的な公助があってのことである。ところが福祉事務所の管理職は「たまたま席にいなかった」と言い訳し、総理大臣も身内には甘いが庶民には冷たい態度を撮り続けている。彼らのいう「自助」とは自分たちが何もしないための言い訳に過ぎないのだろう。

自助や自粛を進める一方で、政府が庶民に特に何かをしてくれることはなさそうだ。首都圏の緊急事態宣言が解除されようとしている。政府は補償を伴う蜘蛛の糸を早く切りたいようだ。

神奈川県を除く首都圏の感染状況は下げ止まっている。政権の応援をすることが多い産経新聞が「もう打ち手はない」という観測記事を書き、次に読売新聞が「だらだらと緊急事態宣言を出していても仕方がないのでここで仕切り直すしをすべきなのだ」という記事を書いた。

どちらも「独自」と書きつつ政府の観測気球を流すという点に悪質性がある。閣僚の一人は16日、「宣言の効果が薄れている。解除で一度、仕切り直さないといけない」と述べたと書いているのだがその閣僚の名前が誰なのかは伝えない。説明責任を取らなくて済むように配慮しつつ「独自で抜いているのですよ」と伝えている。

官僚は生活がかかっているから総務省の鈴木信也電波局長は「野党が政権を取れば記憶も蘇るんですがねえ」という態度で「記憶にございません」を繰り返した。福祉事務所の管理職も「自分たちは席にいなかった、担当者が勝手にやったのかもしれない」という。

そして購読者数が落ち込む新聞も政府にすがり国民の知る権利をないがしろにしている。みな自己救済に汲々としている。おそらく政府は「こんな状況で蜘蛛の糸に人が殺到したら蜘蛛の糸が切れてしまう」と恐れているのだろう。

本来ならこの国のリーダーである首相が「万民の幸せこそ我が幸せ」と自己救済に汲々とする人たちを一喝すべきであろう。だが自身も政権維持に腐心する菅総理にはそのような広い視野はない。総理はアメリカに呼び出されて嬉々としてワクチンをうちに出かけた。4月に訪米が予定されていて「それに間に合わせるため」のワクチン接種だろう。

日本人はアメリカに救済してもらいたがっている。

アメリカの意向を背景に中国と対峙すればきっと自分のことを拍手喝采してくれるという計算があるのだろうし新型コロナが落ち着きさえすれば支持率も盛り返すことになるであろう。

おそらく、生活保護を断られた人や生業を失うような人たちは「一部の可哀想な人」として忘れされることになる。

最近の世論調査を見ると菅総理が支持される理由は「他に適当な人がいないから」「誰がやっても同じだから」だったそうだ。難しいことは考えたくないし誰がやっても同じだから結果にだけ文句を言おうというマインドが場当たり的な菅政権を生んだ。

幸いなことに日本の新型コロナ被害はそれほど大きなものにはなっていない。だが困窮者はじわじわと増えている。女性の自殺が増えていることが話題になったが、今になって子供の自殺も増えているそうである。逃げ場がない人が着実に増えている。皮肉なことにその多くは未来を担う将来の母親だったり子供だったりするようだ。

痛ましいことである。

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