意外と根が深いタジキスタンとキルギスの水資源争い

前回、タジキスタン・キルギスの間の国際紛争について書いた。給水施設の争いのようだ。水資源が重要なのはなんとなくわかるのだが、もう少し調べてみることにした。中央アジアは海から遠く従って乾燥した気候である。ただ、天山山脈・パミール高原からの雨水がアムダリヤ・シルダリアを通じてアラル海に向かって注いでいる。このため天山山脈から平地に出た辺りの土地に農地が集中している。この地域に暮らすのがトゥルク系とイラン系の人たちだ。タジクはイラン系でキルギスはトゥルク系である。




イラン系はパキスタンとアフガニスタンにパシュトゥーンという人たちがいる。またアフガニスタンとタジキスタンにタジク人が住んでいる。ウズベキスタンにも多数のタジク人がいるそうだがウズベク語とのバイリンガルであり表に出てこない存在だそうである。タジキスタンはタジク人の独立した共和国になっている。

トゥルク系はもっと複雑である。まずウズベクという塊がある。ここからカザフが独立した。ウズベクが約2700万から3300万人いるのと比べるとカザフ人は1600万人程度だ。カザフは独立した民族意識を持たず大ジュズ・中ジュズ・小ジュズという部族に分かれていた。定住地域に住むウズベクと比べ遊牧生活を送っている人たちである。さらに天山山脈に住んでいる部族をキルギスと言っている。つまり同じような人たちが分派を繰り返すという構造がある。

ソ連の統治時代に民族が後付けで作られた。そしてソ連は計画経済の一端としてこの地域に綿花栽培を「押し付けた」ことで話が複雑化する。綿花栽培は軍需産業だったそうだ。

ソ連は灌漑を行い共同で水資源管理をやらせた。水源地はタジク・キルギス領域に水源があり下流に当たるウズベクではその水を利用した感慨で綿花栽培が行われる。山からの雪解け水がが枯渇する冬季には火力発電で作られた電力がウズベクで作られてタジク・キルギスに送られる。こうして本来は農業ができない地域で綿花栽培ができるようになり上流域の電源も安定していた。

こうして中央アジアの国々は運命共同体になった。

中央アジアにおける水危機:キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンという記事ではソ連という調整役がいなくなった後に何が起きたのかを書いている。まず、ソ連時代からの無秩序開発でアラル海が枯渇する。アムダリヤ・シルダリヤの灌漑が原因だそうだ。さらにソ連が撤退するとウズベキスタンが市場価格でキルギス・タジキスタンに電力を売ろうとした。貧しい上流国は電気が買えなくなる。そこでダムを作りウズベキスタンの水資源が不足気味になった。

お互いに似たような言語を話すトゥルク系だけでも協力すればよさそうなものだが、長年独立志向が強くお互いに協力ができないものと思われれる。

加えてタジキスタンは民族構成が異なる。タジキスタンとキルギスは未確定国境の調整をしていたそうだが、今回水資源の確保をめぐって国際紛争が起きた。給水施設を取られてしまうと渇水の恐れが出てくるのだろう。

キルギスでは前大統領が汚職で収監され「奪還作戦」が行われたようだ。氏族社会で争いがあるのではないかと思われる。ウズベキスタンも政府は腐敗しているという。天然資源はあるようだが国民の生活向上には役立っていないようである。つまり、国内事情もなかなかに複雑でお互いに協力しようという気持ちになかなかなれないようである。ウズベキスタンは後発農業国に止まりいまだに綿花が主要産業なのだそうだ。上流二カ国にはその農業資源すら乏しい。

この中では北部のカザフと西部のトルキスタンは違った状態にある。トルキスタンは人口600万人程度で鎖国状態の独裁国家だ。天然ガスが豊富だが経済は破綻しかけているという観測があるそうだ。

一方でカザフスタンは天然資源の開発に成功し中央アジアの各国の中では豊かになっている。古くウズベクから独立した遊牧系の人たちがつくったこの国はどういうわけかこの地域では唯一の中進国状態になっているようだ。だが、天然資源の中には今後枯渇するかもしれないものが多数含まれているという話もある。

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