門川市長は京都市の財政破綻危機を救うことができるのか?

京都市が財政破綻の危機にあるという。あまりニュースにはなっていないのだがワイドショーなどでも少しづつ取り上げられるようになった。このままでは2028年には財政再建団体に転落する危機があると報じているところもある。財政再建団体になると国や京都府の監督なしに予算が組めなくなり大幅な市民サービスのレベル低下が起こる。

どうしてこうなったのかというより、今後現在の市長のもとで改革が進められるのかが焦点になりそうだ。出直し市長選挙をやらないと難しいのではないかと思うのだが京都市特有の政治状況があり難しいらしい。




きっかけは市長が6月7日に開かれた京都市の行財政改革推進本部会議に示した行財政改革の計画案だった。この後市民に意見を募った後具体的な計画を作る予定だという。

NHKの報道によると「コロナで税収が落ち込んだ」ということになっている。これでは一時的なものなので「コロナが収まればなんとかなるのではないか」と思われる。つまり本質的な危機感は伝わってこない。ニュースの中には「京都市は基金の取り崩しを毎年160億円以下に抑えなければならない」と書いてある。政治に詳しくない我々が読むと「それくらい抑えればいいのだな」と思える。

日経新聞は少し細かく書いている。理由はNHKと同じくコロナということになっている。このままゆくと2024年には基金が枯渇すると言っている。日経新聞は具体的な期限は書いておらず「10年以内に財政再建団体に転落する」という表現だ。

最も細かく書いていて深刻さがわかるのが読売新聞の記事である。

  • 借金の重さを示す将来負担率は191.1%と政令市の中ではワースト一位
  • 借金増大のきっかけになったのは地下鉄東西線。2004年から17年までに967億円を補填し続けている。
  • 福祉は高い水準にある。
  • 納税義務者の割合が最も低い。
  • 寺社が多く景観も守られているので固定資産税が入ってこない。

コロナはきっかけに過ぎず構造的に借金体質に陥っていたことがわかる。税金が入ってこない状態になっているのだが高い福祉水準を維持し続けて来た。納税義務者が少ない理由はわからないのだが宗教法人と学生が多いことが影響しているのかもしれない。

では現在の市長のもとで改革が進められるのかということになる。財政再建を果たした政令指定都市には大阪市と千葉市がある。比較的若い市長が外からやってきて民間活力を利用した再建をやっているという共通点がある。では門川市長はどうか。

門川大作市長は2008年から4期にわたって京都市長を務めて来た。教育委員会に勤めていて働きながら夜間大学を出たそうである。Wikipediaを見て驚いたのだが最初の選挙では二位の共産党が推薦する弁護士の中村和雄候補との票差が1000票もないという大接戦だったようである。2020年の選挙では日本共産党とれいわ新選組が推す福山和人候補との間の票差が5万票弱だ。共産党が強い土地柄でとても低福祉には切り替えられなかったのだろうなと思うが、それにしても教育委員会出身では民間がどのように経費を削減しているかということはわからないんだろうなと思える。

京都党という党をつくって選挙戦を戦ったものの94000票の得票に終わった村山祥栄さんが「基金からの支出は最初から禁じ手のはずなのに、そもそも今回の再建案では基金からの支出そのものをやめるとは言っていない」と批判している。だから「単なる先延ばしにしかならないのではないか」と指摘している。NHKは「基金からの支出を抑える」と伝えていたのだがつまり村山さんによると「それは単なる先延ばしだ」とことになるわけだ。

では民間経験がある若い人であれば誰でもいいのかということになる。大阪の橋下徹市長はマスコミへのアピールが得意だが敵を作って味方をまとめるタイプだった。このため現在の維新体制には強烈なアンチがいる。また、新型コロナ対策で医療体制が崩壊しかけたことでもわかるようにおそらく必要な医療資源を削減してしまっている。このように維新の改革にはかなり強力な副作用があったと言って良い。

一方で千葉市長は敵を作らないタイプで共産党以外の市議たちをまとめながら財政再建を6年で成功させた。千葉市は首都圏に近く産業には恵まれているためきちんと運営すればそれなりに財政再建が実現できるという素地があった。住民サービスが極端に下がったという印象はなく、むしろ市役所職員の態度はよくなっているという印象がある。

このような成功事例はあるのでやる気になれば財政再建はできる。つまり財政再建計画はこの世の終わりではに。しかし、やり方によっては将来に大きな禍根が残る。加えて言えば門川さんのように京都市のことしか知らない人には改革はできないだろう。民間事業を経験した実務型の若いリーダーが必要だが敵を作るような人が改革をするとおそらくかなり禍根を残すことになるだろう。

さらにこの種の計画には必ず副作用が出るので「市民のご意見を拝聴します」とやっても中途半端な改革案になるかあるいは意見を聞くと言っておきながら結局は取り入れてもらえなかったという不満を生むことになるだろう。案を提示した上で出直し市長選挙をやったほうがいいのではないかと思う。

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