アフガニスタンからの米軍撤退 – アメリカ合衆国は何に負けたのか?

バイデン大統領がアフガニスタン撤退を宣言してから短い期間でカブールが陥落してしまった。アメリカ合衆国は過去にこの手の過ちを繰り返している。古くは南ベトナムから撤退し、イラクからの撤退も失敗した経験がある。イラクのケースではISISが台頭した結果再駐留を余儀なくされたそうだが、こちらも再撤退が計画されている。




バイデン大統領は副大統領自体からアフガニスタンにあまり関心がなかったようだ。深入りすべきでないとオバマ大統領に進言し退けられた過去があると一部で伝えられている。今回すがってくるアフガニスタン人に発砲して飛行機に乗せなかったそうだ。関心がないものを切り捨てて大騒ぎになったという側面がある。

タリバンが急進撃した理由をBBCが分析している。まず西側諸国が準備したアフガニスタン軍では腐敗が横行していたそうだ。さらに自分とは関係のない地域に送られたアフガニスタン兵士たちの士気は低かった。地縁・血縁を大切にする部族社会を生きるアフガニスタン人が部族を優先し「国を守る」という意識を持たないのは当然である。アメリカはこれが理解できなかったのだろう。

これはアフガニスタン政府の側だけに言えることではない。タリバンという結びつきもなく「独立したフランチャイズ業者が緩やかに、そしておそらく一時的に、結びついた連合体に近い」そうである。まとまった指導者がいればそれを叩けばいいわけだが、フランチャイズが潰せないのは当たり前である。共和党はバイデン大統領の撤退を避難しているがこちらはタリバンの代表者と会談をして懐柔しようとした。フランチャイズの集まりであれば懐柔は不可能だ。

集団主義は小魚や鳥の群れに似ている。誰かリーダーがーいるわけではないが結果的に群れは一つの方向を目指す。だからその中の誰がリーダーなのかを探したところで答えは永遠に見つからない。

集団主義が理解できないアメリカ人にはこれがわからない。集団がいるのだから誰かが指揮しているはずだと考えてしまうのである。個人主義的なアメリカ人はこうした緩やかに結びついた集団の連合体のような地域の統治はできなかったし理解もできなかった。おそらくアメリカ合衆国は文化の違いに負けたのだろう。

例えばアメリカ軍を中心にしたGHQも日本が集団で戦闘になだれ込んでいった空気は理解できず、封建制や当時の天皇を中心とした国家観が問題なのであろうと分析した。誰かが指示したからそうなったはずだと考えたわけだ。さらに日本を直接統治できず協力的な官僚を選び出して間接統治しようとした。日本の統治がうまくいったのは、アメリカがリーダーを探し出して統括したからではなく日本がすでにまとまった群れを作っていたからである。イランにもアフガニスタンにもそれはなかった。

いずれにせよこの失敗はバイデン大統領の失敗だと理解されようとしているようである。CNNは珍しくバイデン大統領の政策を批判しているのだが、イラク撤退とISISの伸張を招いたのもバイデン副大統領だったといっている。この調子ではおそらくイラクでも同じような騒ぎが起こるのかもしれない。こちらは「年内撤退」が決まっているそうだ。

今後、何が起こるのかは誰にもわからない。共産党中国が嫌いな遠藤誉さんは「一帯一路政策にプラスになるだろう」といっている。一方で現実的な見方をする人もいる。アメリカがアフガニスタンを抑えてくれていたおかげで中露は直接この地域を管理しなくて済んでいた。特に中国は新疆ウイグル自治区を抱えている。対米対立からタリバンを支援するという見方もできるが、下手すればタリバンが東トルキスタン独立運動の基地になりかねないという危うい二面性を自分たちで管理しなければならなくなる。この地域が緩衝地帯でなくなれば確かにロシアと中国は直接対立することになるだろう。

今の所ロシアはタリバンと是々非々で交渉するようだ。中国は少し遠くから状況を見つつアメリカを非難している。

間も無くバイデン大統領の声明が発表される。国民に何を語るのかが注目される。

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