寄せ集めの二流品を集めていても勝てない – 中国とエチオピア

最近「バイデン大統領の外交政策が良くない」とかそういう話ばかり書いている。すると専制国家中国の時代なのかなあなどと思ってしまうわけである。新型コロナ対策でも成功しているらしい。だがこちらはこちらで問題がある。二流品を集めてきても一流になれないのだ。




資本主義社会の経済の仕組みを模倣して大成功した中国は「欧米が威張っているのは経済圏を持っているからだ」と考えたのだろう。一帯一路政策という新しい政策を打ち出して独自の経済圏を作り始めた。この一帯一路政策の最初のモデル国家の一つがエチオピアである。

エチオピアから港湾のあるジブチ共和国までの鉄道が作られた。総工費34億ドル(約3500億円)の7割を中国輸出入銀行が出資したそうだ。この結果、エチオピアの経済はケニアを抜いた。ところがその後の報道を見ると鉄道への援助は打ち切られてしまったようである。エチオピア政府からの返済が思わしくないようだ。

さらに、この時に中国から投資を引き出していたティグレ人政権は多数派のオロモ人に政権を奪われた。2017年の記事にはオロモ人が弾圧対象になっていると書かれているので、その後形成が逆転してしまったことになる。エチオピアは内戦状態になりきちんとした経済統計が出なくなった。おそらくは経済的に停滞してしまったものと思われる。

エチオピアは中国から多額の融資を受けたもののGDPの60%近くの債務を負ってしまった。鉄道事業の収益も上がっていない。中国側もこれ以上融資をしていいものだろうか?と迷っている。そうこうしている間に中国に融資を呼び込んだ政権が倒れてしまい「このままバルカン化するのではないか?」というところに追い込まれている。数年のスパンで情報を再検討しないと本当に成功しているかどうかはわからない。

鉄道の入り口であるジブチも中国から投資を受けている。こちらの債務はGDPの40%だそうだ。ジブチは外国の基地を誘致して使用料を取るというビジネスをやっていて日本も拠点を持っている。もちろん中国も拠点を持っているので借金を理由に中国を保護国化するかもしれないという懸念があるそうだ。また返済条件を緩和してもらう代わりに国際機関で中国の味方をしろなどという可能性も考えられる。

ジブチはエチオピアへの物流の中間地点となっているのでエチオピアが安泰である間はそれほど大きな経済的打撃は受けないだろう。また近隣海域が不安定である間は外国からの基地収入で稼いでゆくことができる。つまりエチオピアの経済が傾き地域が不安定化すれば一緒に不安定化する可能性が高い。国土が乾燥していて食料の多くを輸入に頼っている上に天然資源もないそうである。

中国側は地域が不安定化すれば相手国がデフォルトするというリスクを負っている。結局、欧米が相手にしなかった二流の地域にお金を貸して経済圏を作ろうというのが「一帯一路」なので、近隣諸国に手を伸ばしたとて単に信用力のない借り手の駆け込み先になってしまうだけなのかもしれない。これは太平洋諸国でも同じことだ。アメリカの真似をして太平洋に拠点を作るのは構わない。だがそれを生かしきれなければ単に貧しい国のお世話を押し付けられただけになってしまう。更に言えば中国経済そのものがアメリカ経済の一部になっている。「世界の工場」としてで稼いだ金を一帯一路に使っているだけだからだ。

大変残念なことだが、西側諸国は何らかのメリットがある国だけを選んで経済関係を結んでいるのでメリットがない国には無関心なことが多い。さらに単独での植民地経営は効率が悪いことに気がつき「国際社会」という枠組みを作り共同利用する方法に切り替えた。日本は植民地こそ失ったがこうした国際ネットワークに入れてもらうことで国際ネットワークの利益を享受している。中国は、西側先進国が手をつけなかった国に近づいて経済的関係を自前で構築しようとしている。発想の基礎はおそらく中華帝国なのだろうが余り物を集めてきてもそれなりのものしか作れない。おそらく一帯一路構想は成功したとしてもそれほどの脅威にはならないのではないかと思う。

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